ニュース

エアアジア井手会長、中部国際空港の機能強化講演会でエアアジア・ジャパンの展望を解説

7月か8月に就航

2016年2月15日 実施

 中部国際空港二本目滑走路建設促進期成同盟会は2月15日、中部国際空港への2本目の滑走路の建設や、それに伴う完全24時間化など、中部国際空港の機能強化の実現に向けた講演会を実施した。

 中部国際空港二本目滑走路建設促進期成同盟会は、2008年4月に中部国際空港の2本目滑走路の建設促進を目的に設立された東海3県1市の自治体と43の経済団体で構成する組織。講演会の実施や国への働きかけ、広報活動などを行なっている。

中部国際空港二本目滑走路建設促進期成同盟会の会長を務める愛知県知事 大村秀章氏

 同盟会会長の愛知県知事 大村秀章氏は講演会の冒頭で「中部国際空港は2005年の開港時が1200万人と一番多くて、その後はリーマンショック等の影響で落ち込んだ。昨年は久方ぶりに1000万人を超え、今年(2016年)、来年(2017年)も増える見込み。中部空港には空きがあると言われていたが、今は海外からの便が359便と過去最高規模に増え、深夜の滑走路のメンテナンスなど、だいぶ制約が出てきた」と2本目滑走路の必要性を強調した。

エアアジア・ジャパン株式会社 代表取締役会長 井手隆司氏

 続けて登壇したエアアジア・ジャパン株式会社 代表取締役会長の井手隆司氏が「就航エアラインが地域に望むこと」をテーマに講演を行ない、エアアジア・ジャパンの現状と今後の展開について語った。井手氏は、スカイマーク代表取締役会長を経て2015年12月1日にエアアジア・ジャパンの経営体制強化のために代表取締役会長に就任。就任後、初めて公の場に出席した。

 井出氏は「12月に新体制となり会社を点検し、ビジネスプランの見直しを行なった。以前の会社はエアアジアの日本支社というイメージで、航空会社ではなかった」と話し、安全を最優先に理念の見直しを行ない、現在の体制での航空便の初就航は、2016年の夏頃になる見通しを示した。

 井出氏は「夏休みは外したくない」とし、7月か8月に就航、年末までに15万人の旅客を想定する。「2016年は飛ばすことに集中したい」と話した。

就航までのスケジュールを示す井手氏
2020年に向けた事業展開の概略

 就航が遅れることについて、井出氏は「航空事業者として承認を受けたら、すぐに飛べるという方向で事業が進められており、本来やらなくてはならない、運航、整備の規定作りが後回しになっていた」と話し、「本来あるべき姿、安全管理の仕組みを作り、運航、整備の規定を作り込んで、航空会社としての認可を取得。航空法に則った施設検査を国にしてもらい、初めて航空会社として飛ぶことができる。この順序が逆になっていた」と説明した。

 また、同社が導入したエアバス A320の初号機については、2015年10月の到着以降1度も飛行しておらず、長期間駐機されていたため、再び飛ばすための整備が必要。2月16日にも飛べる状態になる見込みで、3月15日~6月中旬くらいまで、乗員の実機訓練を実施する予定。それと並行して4月中旬に施設検査行ない、5月中旬から6月中旬にかけ通常とイレギュラーの実証試験を実施、6月末にその見直しを行なうと、就航は夏になるというスケジュールを示した。

 今後の事業展開について井出氏は、2017年には運用機を6機体制として、中国の北京(天津)、上海(無錫)、マカオ(香港)、ソウル、グアムに就航し、単年度黒字を目指すとした。エアアジアグループ各社は中国路線を多く展開しているため、その知名度を生かしてインバウンドを取り込む方針。就航地についてもインセンティブの用意があり、かつ市場が大きな空港を選択する。

 2018年には、エアバス A320型機を3機投入して成田空港を拠点化。A320型機を9機体制とする。また、将来の太平洋路線就航を目指しエアバスA330型機をさらに2機導入し、中部~シンガポール線に就航。売り上げ250億円を目指す。

2016年のネットワーク計画。中部から札幌、仙台、台北へ就航
2017年のネットワーク計画。中部から中国本土、ソウル、グアムへ就航
2018年のネットワーク計画。成田を拠点化し路線を拡大。A330を導入し中部-シンガポール線就航

 2019年にはエアバス A330型機を4機体制として中部、成田からホノルル線を就航させ、2020年にはエアバス A330型機を6機体制で中部、成田からアメリカ西海岸を就航させる。アメリカ西海岸の就航地については、シアトルのほかにロサンゼルス、サンフランシスコなどを検討していると話した。2020年までに中部発着便を30便、成田発着便10便の計40便体制とし、年間でインバウンド100万人、アウトバウンド70万人の計170万人の旅客を目指すとしている。

2019年のネットワーク計画。A330型機4機体制で中部、成田からホノルルへ就航
2020年のネットワーク計画。中部、成田からアメリカ西海岸へ就航
セントレアが日本の中心に位置する好立地であることをアピール

 最後に、中部国際空港は日本の中心に位置していることに触れ、インバウンドに人気のある昇龍道をはじめ、日本各地どこへ行くにも便利な土地であることをインバウンドに広くアピールし、広域観光連携を拡大していきたいと話した。

(鈴木崇芳)