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生き物の魅力や多様性を堪能できる“生きているミュージアム”「NIFREL」

「EXPOCITY」内にオープン

2015年11月19日 オープン

2015年11月16日 内覧会実施

万博記念公園駅からEXPOCITYへ歩いてくると一番最初に目に入る建物が「NIFREL」だ

 11月19日に大阪府吹田市の万博記念公園内にオープンした大型複合施設「EXPOCITY」。そのなかでも注目のエンターテイメント施設の1つが、海遊館が初プロデュースしたNIFREL(ニフレル)だ。

 NIFRELは「感性にふれる」をコンセプトに、従来の水族館、動物園、美術館のジャンルにとらわれない「生きているミュージアム」として、生き物の多様性や自然の魅力を、まるでアート楽しむかのように、直感的に間近で触れられる。

 展示のテーマは「多様ないのちと個性のつながり」。館内は「いろ」「わざ」「すがた」「WONDER MOMENTS」「みずべ」「うごき」「つながり」の7つのゾーンで構成され、それぞれ照明、音楽、映像を融合した展示で、子供はもちろん大人の感性も刺激する。11月16日に行なわれた内覧会でも長蛇の列ができ、人気施設として注目されている。

 本記事では7つのゾーンで構成された館内の様子をお伝えする。

いろにふれる

 館内に入って最初に現れる「いろにふれる」。柔らかな曲線と円筒形の水槽で構成されたこのゾーンは、時間ごとに色が変化する不思議な空間。真っ赤な殻を持つシロボシアカモエビや、明るいオレンジと白のコントラストが特徴のカクレクマノミがひときわ目を引くこのゾーンは、生物がもつ「色彩」の多様性をテーマに展示。まるで深海に紛れ込んでしまったかのような深い青、太陽を連想させる真っ白な光、夕暮れを連想するような淡い紫など周囲の色が変化することで、同じ水槽にいる生き物が、まるで全く別の絵画を見ているかのように、その変化が心に響いてくる。

やわらかな曲線で構成される「いろにふれる」ゾーン
シロボシアカモエビ(写真左)とカクレクマノミ(写真中央、右)周囲の色の変化とともに水槽の雰囲気も変化。さまざまな表情で感性を刺激する
スクリーンでは、展示されている生物の色の構成や、その色の特徴を感覚的に説明する

わざにふれる

「わざにふれる」ゾーンに入って最初に感じる、水族館のバックヤードにいるかのような雰囲気。生物の「行動」の多様性がテーマのこのゾーンでは、水辺に棲む生物の生態や変わった能力を間近で観察できる。

 子供の頃に身近な自然にいる小さな生き物、例えば蜘蛛の巣の様子など、小さな動きが気になったことはないだろうか。ここは大人になり忘れてしまっている、そんなワクワク感をかき立ててくれる。来館者と生き物を繋ぐ役割をもったキュレーター(飼育員)と呼ばれる専門のスタッフが、分かりやすく解説してくれ、タイミングが合えばサメに餌を与える瞬間を見ることもできる。

「わざにふれる」ゾーンは、まるでバックヤードや理科の実験室のような雰囲気
それぞれの生物が持つパフォーマンスをもっとも披露しやすい環境が特徴。是非とも間近で体感してほしい

すがたにふれる

 モノトーンで光のドットが無限に続く不思議な空間が広がる「すがたにふれる」ゾーン。ここは生物の「形態」の多様性がテーマ。

 ゾーンに入ってすぐのところにあるチンアナゴの水槽は、砂の代わりに透明な粒が敷き詰められ、通常は砂の中で見ることができないチンアナゴの姿を見ることができる。水槽の下から照明を当てるなど、落ち着いた空間の中で生き物たちの特徴的な姿を観賞できる。

「すがたにふれる」ゾーンは、光ドットが続く不思議な空間
水槽の真下から照明を当てることで、それぞれの生物がもつ特徴的な形が浮かび上がる

WONDER MOMENTS

 アーティストの松尾高弘氏が描く光のインスタレーション「WONDER MOMENTS」。まるで宇宙から星を眺めるような神秘的な空間が広がっている。宙に浮く球体のスクリーンに映し出される約10分の映像は自然の美しい情景を全16のシーンで抽象的に表現。床に映し出された映像の世界に飛び込むと、人の動きに反応して変化する演出もある。

上映プログラムは「WATAR」「SENSE OF NATURE」「UNIVERSE」「EARTH」の4種類。「SENSE OF NATURE」は14のシーンがランダムに上映され、人の動きに反応して、モチーフが自然に変化する

みずべにふれる

 2階に上がると、そこには木立を思わせるような水槽が並ぶ空間が広がっている。そしてさらに奥へ進むと光が差し込む開放的な空間へと続いている。「みずべにふれる」ゾーンは体長約2mのホワイトタイガー、コの字型の水槽では体長約3mイリエワニなどの猛獣を360度死角なしで見ることができる。こんな間近でワニを見られる機会はなかなかないのではなかろうか。

 このゾーンにはカフェが併設されており、まるで水辺でピクニックをしているような雰囲気で軽食やスイーツを楽しむことができる。

「みずべにふれる」ゾーンの前半は木立をイメージした水槽が並ぶ。豊かな自然の中でのびのびと生きているような、生物の様子を感じることができる
明るく開放的な空間に出ると、目の前にはホワイトタイガーやイリエワニ、ミニカバなどの突如目の前に出現する。意外性のある配置で大迫力
フードコート「EAT EAT EAT」ではホットドックやサンドイッチなどの軽食やスイーツを取り揃える。そんななか、気になる一品が「食べる水」。風船の中に入った水を爪楊枝で割って食べる。味はまさしく水なのだが、水を食べるという行為はとても不思議な経験だ。興味あれば、是非とも試していただきたい

うごきにふれる

「うごきにふれる」ゾーンは自然光が降り注ぎ小川が流れる、まるで森にいるような空間。小川を隔てた先にはワオキツネザルやカピバラ、アナホリフクロウなどの生き物たちが展示されている。しかし、ここで驚くのは、なんとこのゾーンには檻や水槽がないのだ。

 まさに、生き物の動きに触れることができる。ワオキツネザルはすばしっこく頭上を飛びまわり、カピバラはのんびりとひなたぼっこをしている。キュレーターがしっかりと見守っていてくれるので、思う存分動物たちの動きに触れてみよう。

「うごきにふれる」ゾーンへ入ると、記者の目の前に平然と現れたワオキツネザル。あまりに自然な出会いにとても驚いた。小川までが人間がおじゃまできるエリア。この日はワオキツネザルとアナホリフクロウが小川のこちら側へ遊びにきてくれていた
ペンギンやペリカンも手が届きそうなほどの近さ。そのかわいさにとても人気が集まっていた

つながりにふれる

 最後の「つながりにふれる」ゾーンでは、壁と床2面のスクリーンで迫力ある立体的な映像を楽しめるシアター。自然、生き物、人間、現代生活にある「同じもの」と「違うもの」、「つながり」を問いかける。

おみやげも充実の品揃え

 ホワイトタイガーやペンギンのぬいぐるみ、キーホルダーやお菓子など、子供がよろびそうなグッズから、大人でもうれしい実用品までNIFRELオリジナルのグッズを多数取り扱う。

 家族連れを意識したTシャツや下着などのアパレル商品や、カプセルトイで人気のフチ子さんがキュレータの格好をしたNIFREL限定のグッズも。

迷ってしまいそうなほどたくさんの種類のおみやげを取りそろえる
動物をかたどったスマホスタンドや、紅茶専門店ルシピアとコラボしたNIFREL限定ブレンドのお茶も。大人の来館者を意識した商品も多数取り扱う
家族連れを意識したアパレル商品も充実、おそろいで普段使いもできるデザイン

 NIFREL館長の小畑洋氏は「生き物たちや自然の魅力を伝える施設を作ろうと思い、水族館、動物園、美術館などといったジャンルをあまり考えずに構成した。そのためそれぞれの要素がうまく合わさった『生きているミュージアム』となった。NIFRELの名称もコンセプトの『感性“にふれる”』が由来。いろんな生き物の展示や体験を通じ、お客様それぞれが感性に触れることによって、生き物や自然の魅力を再認識したり、気付いてくれるとうれしい」と話した。

 館内には150種およそ2000匹の生き物たちがたっぷりと展示されているNIFRELだが、まるでアート作品を楽しむかのような、シンプルな感覚で見学することができるので、とても落ち着いて楽しむことができる空間だと感じた。アニマルセラピーという言葉があるが、休日にふらっと訪れて、のんびり心を癒すのにちょうどよい空間ではないだろうか。

(鈴木崇芳)