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羽田空港近くに363室、仏アコーのホテル開業。メルキュール東京羽田エアポートに泊まってみた

2023年11月26日 開業

11月26日開業のメルキュール東京羽田エアポート。京急大鳥居駅から徒歩4分の場所にある

 アコーは羽田空港にほど近い、京急大鳥居駅近くに「メルキュール東京羽田エアポート」を開業した。建物は11階建てで、客室数は363室。レストラン&バー、ラウンジ、会議室、フィットネスルームなどを備えており、エアラインの乗務員向けの専用ラウンジも設けてある。空港近くのホテルのため、専用の無料送迎バスも用意している。早速、ホテルの概要や設備を紹介しよう。

羽田空港近くでインターナショナルのブランド力を活かす

 アコーはフランス・パリを拠点とし、世界110か国に5500を超えるホテルやリゾート施設を展開しており、ヨーロッパらしさと現地の文化を取り入れたデザインが特徴のホテルブランドだ。

 この地にホテルを開業した理由として、「羽田エリアにはインターナショナルホテルチェーンの展開がなかったため」と総支配人の猿丸新二氏は説明した。羽田空港は日本国内や海外との玄関口として、コロナ前までは順調に利用客が増加しており、2019年は8758万人(年度実績は8241万人)を数え、国際線利用客数は1871万人に達していた。

 海外との往来が戻りつつある現在、2023年は4月~8月までの実績で792万人まで国際線利用客数が回復している。今後も伸長が見込めることから、海外と国内旅行客を同社の培ってきた強みで取り込みたいとしている。

 アコーらしいデザインはヨーロッパと現地のよいところを取り入れたものであるとし、メルキュール東京羽田エアポートのコンセプトは「トーキョーエレクティク(TOKYO ECLECTIC)」と名付け、未来の東京のなかに過去の東京が見える空間を創り出していると説明した。インテリアの随所にはヨーロピアンスタイルと日本の手工芸の繊細さを取り入れており、日本・東京のサブカルチャーである漫画やアニメ、電化製品をモチーフにしたオブジェも飾られている。

メルキュール東京羽田エアポート 総支配人 猿丸新二氏

1階はヨーロッパと東京・羽田を取り入れた上品なデザイン

 1階にはフロントやレストラン&バー「ブラッスリー・サンヴォレ」があり、ホテルの顔になっている。トーキョーエレクティクのなかで“トラディショナル”としたデザインは目を見張るものであり、エントランスから趣向を凝らしたオブジェの数々が利用客を出迎えてくれる。羽田近辺はもともと町工場のエリアとして栄えてきた歴史もあり、ここでは日本の伝統的な工芸品に加え、溶接マスクなどもアーティスティックに展示されている。

ホテルのエントランスに足を踏み入れるとエレガントな空間が広がっている(画像提供:メルキュール東京羽田エアポート)
エントランスは吹き抜けになっており、工芸品をモチーフにしたアートがズラリと並ぶ
美術館を連想させるフロントとロビーラウンジ

 レストラン&バーは日本の伝統的なお茶屋を現代風にアレンジしたといい、随所に日本らしいデザインを見ることができる。ここではビュッフェスタイルの朝食と、フランスのブラッスリー(ビアホール)で定番の前菜であるパテドカンパーニュ(豚肉のテリーヌ)やメイン料理のステックフリット(ステーキとフライドポテトの盛り合わせ)が楽しめる夕食などを提供する。レストランは100席、バーは71席で、仕切りを取り外して1ホールとしても利用できる。

レストラン&バー「ブラッスリー・サンヴォレ」(画像提供:メルキュール東京羽田エアポート)
日本の雅を演出したバーカウンター
同ホテルならではのシグネチャーカクテルも用意されている。左から「アールグレーピーチマティーニ」「江戸ベイサイドネグローニ」「ジャスミンアップルフィズ」「スモーキーコールドブリューサワー」「ウイスキー&IPA」
ライム、ビターリキュール、ベルモット、バナナリキュールにほうじ茶を加えた江戸ベイサイドネグローニ。甘く香る多様なフレーバーと落ち着きのあるほろ苦さが上質な時間を提供してくれる

 朝食は自分流にカスタマイズできるビュッフェスタイル。和食、洋食メニューを豊富に用意している。目を引くのが、自分で作れる“おにぎり”コーナーがあることだ。世界各地でおにぎりが人気になっており、本施設では手順と型を用意することで誰もが日本らしい体験ができるようにしている。

ビュッフェスタイルは自分の好みで料理を選べるのがうれしい
和食はご飯とお粥にさっぱり系の料理が用意され、洋食コーナーは種類豊富なパンや生野菜、ソーセージやベーコンなどが並ぶ
外国人に人気になりそうなおにぎりコーナー。かなり詳細に記した作成手順が用意されている

2階はサブカルをコンセプトにしたラウンジ

 2階には利用客用のラウンジがある。サブカルチャーをコンセプトにしたインテリアのなかにはゲーム機をズラリと並べたオブジェも飾られている。実はこの場所には昔、セガの本社ビルが建っていたそうで、移転後の跡地に本施設が建設されたという経緯がある。海外でも大人気の日本のゲーム業界を牽引してきたリスペクトも込められているとのことだ。あまりにもオブジェがリアルなのでスタッフに聞いてみたところ、「実物を石膏で固めました」との答えが返ってきた。

 このほか、フィットネスルームやシャワールーム、会議室などが設けられており、一般客は利用できないが、提携したエアラインクルー専用のラウンジも用意されている。

2階のラウンジはサブカルチャーをコンセプトにしている
壁に飾られているいろいろなメーカーのゲーム機のオブジェ。どれがセガサターンかとか話のネタにしてもおもしろそうだ
3タイプある会議室とフィットネスルーム

エアポートホテルらしいデザインの客室はキングベッドを多く用意

 3階から11階は客室になっている。キングベッドを設置している「スーペリアキング」、ツインベッド仕様の「スーペリアツイン」が基本タイプで、ワンランク上の「プリビレッジキング」と「プリビレッジツイン」を10階と11階の高層フロアに用意している。

 浴室はシャワーブースのみとバスタブ付きの2タイプに分かれており、キングベッド仕様は両方のタイプがあり、ツイン仕様はシャワーブースのみとなっている。このほか、バリアフリー対応のユニバーサルルームとコネクティング仕様の部屋も設けてある。羽田空港近くのホテルはキングベッドを導入している部屋がそれほどないので、設置数が多いのもこのホテルの特徴であるそうだ。

スーペリアキングは159室。1名利用が1万4000円~、2名利用が1万8000円~
スーペリアツインは128室。1名利用が1万4000円~、2名利用が1万8000円~
ソファとテーブル
ベッドサイドにはType-Cの充電用USBポートがあるのもグッド!
オレンジ色が鮮やかなチェストのなかには、カップや電気ポット、冷蔵庫、セーフティボックスが収められている
トイレと浴室
バスタブ付きかシャワーブースのみかになっており、料金が若干異なる

 客室のコンセプトは“トラベル”であり、多くの場所に趣向を凝らしている。ベッドにボストンバッグを連想させる革製のワンポイントを施していたり、壁のオブジェは飛行機の窓から見た羽田上空をパンチングメタルで表現したりしている。廊下のカーペットの模様は地図をモチーフにしているそうだ。

エアポートホテルらしい旅情あふれるデザインをそこかしこに仕込んでいるので探してみよう

 上層階のプリビレッジルームはプレミアムな客室だ。床がフローリングになっていたり、洗面台が陶器製になっていたりと、より上品なインテリアになっている。冷蔵庫のなかには無料のソフトドリンクや有料のクラフトビールを用意しており、コーヒーメーカーも備えている。部屋の広さは変わらないので、少しの贅沢を楽しみたい人にお勧めしたい。

プリビレッジキングは42室。1名利用が1万7000円~、2名利用が2万1000円~
プリビレッジツインは34室。1名利用が1万9000円~、2名利用が2万3000円~
内装やサービスがグレードアップするプリビレッジルーム

宿泊客には羽田空港までの無料送迎バスを用意

 無料の専用送迎バスを運行しているのもメルキュール東京羽田エアポートの特筆すべき点だ。現在の時刻表はホテル発の始発が4時~、終バスとなる第3ターミナル発が25時10分発となっている。ホテル行きは第1ターミナルからの直通と第3ターミナル経由があり、空港行きは始発を除きすべてのターミナルに停車する。ちなみに駐車場は車いす専用も含めて49台のスペースが用意されている。

専用の送迎バス。バリアフリー対応の新車を2台導入した
現在の時刻表

 利用客数からすれば羽田空港周辺のホテルは少ないと言われており、これからもニーズはどんどん増えるとされている。そのなかで、インターナショナルブランドであることがメリットになりそうなメルキュール東京羽田エアポートは、注目のホテルと言える。スーペリアキングに1泊させてもらったが、快適に過ごせた。日本人にとっても過ごしやすいうえに、趣向を凝らしたデザインは一見の価値があるので、旅行や出張などで訪れてみてもらいたい。