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サイクルモード東京2023に行ってみた(その2)。漫画「弱虫ペダル」設定は自転車の進化とともに変化

2023年4月15日~16日 実施

「CYCLE MODE TOKYO 2023」が4月15日~16日に開催された

 日本最大級のスポーツ自転車フェスティバル「CYCLE MODE TOKYO 2023」が、東京ビッグサイトで4月15日~16日に開催された。

 せっかくの機会、2日目は自前のパナソニック「ジェッター」でお台場の春の空気を感じながら訪れてみた。都内では昼過ぎから雹が降るところもあったそうだが、幸い雷雨にも見舞われずにお台場に到着。スタート地点の外苑前~皇居周辺~お台場間は、普段からサイクリストの多いエリアだ。銀座を抜けて有明のベイエリアに突入したところで、会場へ向かうのであろうロードバイクを何台も見かけた。

今回会場へ行くために乗ったパナソニック「ジェッター」
外苑前。車道は舗装がなめらかで自転車が走りやすい
皇居のお濠に沿って銀座方面へ進む
ビッグサイトまでもうすぐ

 東京ビッグサイトの駐輪場にはやはり、来場者のロードバイクが所狭しと並んでいる。前日の1日目も、雨が降るなか多くの人が行列をなしていた。屋外でソーシャルディスタンスを確保しながら楽しめるスポーツ自転車がいっそう注目されていることが窺える。

 会場には、各メーカーの最新モデルに加え、ハンドメイドバイシクルやヴィンテージバイクがずらりと並んでいた。気になる自転車があれば、ロング試乗コースで乗り心地を体感できる。屋内外にわたり巨大なコースが用意されていたが、雨が上がった2日目には、海風を浴びながら走れる外のコースまで多くの来場者が集ったようだ。

各メーカーの最新モデルや有名モデルがずらり
2日目には雨が上がり屋外も走ることができた

 鹿児島県・佐多岬から北海道・宗谷岬までの日本縦断最速を達成し、ギネス記録を更新した落合佑介さんの実車も展示されていた。滋賀県でオーダーメイド自転車を製造しているmacchi cycles製で、ライトには最適なCAT EYEの「GVOLT70」が搭載されている。担当者によれば、「GVOLT70」は稼働時間が長く、日本縦断に最適だったのだそう。

日本縦断最速記録を更新した落合佑介さんの実車
macchi cyclesによるオーダーメイド
ライトはCAT EYEの「GVOLT70」
この日本縦断でギネス記録を更新した

「弱虫ペダル」漫画家の渡辺航さんトークショー

「弱虫ペダル」のブース

 2023年は、コミックス累計2800万部を超えるロードレースコミック「弱虫ペダル」とサイクルモードのコラボレーションが、4年ぶりに復活した。作者の渡辺航さんが自転車や作品について語り尽くすトークショーに加え、サコッシュのチャリティサイン会も。トークショーは、通路近くまで人が集まり、イレクターフェンスが設置されるほどの盛況ぶりである。

 会場には、渡辺さんが普段から愛用しているという自転車として、トレックの超軽量バイク「エモンダSLR」も展示。会場までこの愛車で走ってきたそうで、35kmの距離をトレーニングがてら70kmかけてたどり着いたというのだから、さすがの自転車愛が溢れ出している。なお、トレックにはモデルやカラー、パーツを選んで自分だけのカスタマイズが楽しめる「Project One」というオーダーメイドシステムがある。渡辺さんの愛車にも、トップチューブにしっかりと名前が刻まれていた。

渡辺航さんの愛車。会場まで70kmも乗ってきたそう

 トークショーでは、渡辺さん個人の自転車ライフや、作品の設定などについて聞くことができた。渡辺さん自身、かつて乗っていたマウンテンバイクを買い替えようと考えたときに、友人に勧められてロードバイクに乗り始めたという。

 作品のキャラクターが乗っている自転車のブランドについても、「(小野田)坂道くんがBMCなのは、黄色いBMCが個人的にかっこいい(と思った)から乗せたいな」「真波くんがLOOK(ルック)なのは、LOOKかっこいいな……と思ったから」と、ユーモアを込めて話していた。各メーカーとキャラクターのイメージを擦り合わせ、作品を丁寧に作り上げている様子が浮かんでくる。

漫画「弱虫ペダル」の設定について語る渡辺航さん

「弱虫ペダル」が連載されている15年の間に、自転車もさまざまな進化を遂げてきた。最近も、スポーツバイク業界でディスクブレーキ化が進んでおり、リムブレーキモデルは非常に少なくなっている。作品の描写としては、おなじみの真波山岳がディスクブレーキ車を導入したほか、新たに登場したキャラクターの愛車にも工夫を凝らしているそうだ。ブレーキワイヤーについても、スタート地点で坂道が握っていたハンドル付近には描いていたが、なんとゴールするシーンでは現実の進化のとおり撤廃したという。作品への愛、そして自転車への興味と知識の深さから生まれるギミックを垣間見ることができた。