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東海環状道 柿田トンネルで貫通発破! 4車線化へ向けて外回りの最長1638mが開通へ

2023年1月29日 実施

東海環状自動車道の一部区間の4車線化へ向け柿田トンネルが貫通

 NEXCO中日本 名古屋支社は1月28日、東海環状自動車道(C3)土岐IC~美濃加茂IC間において、「柿田トンネル」の貫通式を実施した。

 東海環状道は愛知県、岐阜県、三重県の3県に跨がる延長約153kmの高規格道路。関広見ICを境に東側は「東回り」、西側が「西回り」と呼ばれ、延長距離はそれぞれ約76km、約77km。東回りとなる豊田東JCT~関広見IC間は2009年までに土岐JCT以北を暫定2車線としながらも開通しており、現在は西回りの未開通区間となる山県IC~大野神戸IC、養老IC~大安ICの建設が進められている。こちらの開通時期は令和6~8年度(2024~2026年度)の予定。

 開通済みの東回り区間となる土岐JCT~可児御嵩IC間(10.4km)においては、現状の暫定2車線から4車線に拡大する事業が2018年3月に可児御嵩IC側の6.0km、2020年3月に土岐JCT側の4.4kmとそれぞれ事業化され、早期完成を目指して工事が進行中。

 今回貫通した柿田トンネルは、事業化区間内に5本存在するトンネルのなかでも最長となる1638m。4車線化後は外回り(豊田東JCT方面行)として利用される。切羽を爆破しつつ表面を吹きつけコンクリートやロックボルトで強化していくNATM(ナトム)工法により2020年10月から掘削がスタート。1日に1~7m程度を掘り進め、約27か月を掛け掘削が完了。今回の貫通式を迎えることになった。

柿田トンネル概要

所在地: 岐阜県可児市柿田~可児市久々利
トンネル延長: 1638m(掘削延長1624m、抗門部14m)
掘削方式: 爆破掘削
掘削方法: 補助ベンチ付全断面掘削工法(NATM:New Austrian Tunnelling Method)
トンネル掘削断面積: 約80m3
トンネル掘削土量: 約16万m3

 柿田トンネルを含めた可児御嵩IC側の6.0kmは2024年度の開通が予定されており、土岐JCT側の4.4kmについては未発表となっている。

 なお、開通を記念して下記要領で「貫通石」の無料配布を予定している。

貫通石無料配布

日時: 2023年2月1日9時~
場所: 道の駅 可児ッテ(岐阜県可児市柿田字杉坪416-1
数量: 先着100名分

トンネルは可児御嵩IC側から掘削されたため貫通点は土岐JCT側抗口となる
貫通点から土岐JCT側抗口の眺め
すぐ横に供用中の道路が見える。このあと、短い橋梁とともに対面に見える山に「久々利第3トンネル」が掘削される
土岐JCT側抗口から貫通点側
トンネル内部の様子。吹き付けられたコンクリートともにロックボルトが埋め込まれている(赤い部分)のが分かる
非常電話の設置場所や内回りとの連絡用通路もすでに準備されている
防水シートが貼られトンネル内への漏水を防ぐ処理が行なわれている部分も(動画からの切り抜き)

開通式典には約60名が参加

 式典は柿田トンネルの土岐JCT側抗口に近い坑内で実施された。まず貫通の儀として来賓による貫通発破を実施。職員による貫通確認のあと、NEXCO中日本 名古屋支社 岐阜工事事務所長の藤原由康氏が「設計どおり誤差なく無事貫通しました」と貫通報告。貫通点清めの儀、貫通点通り初めの儀により、無事開通を迎えた。

式典会場。貫通発破に備え黒いシートが貼られている
来賓のボタン操作により貫通発破を実施
来賓による貫通発破
職員による貫通確認を実施
中日本高速道路株式会社 名古屋支社 岐阜工事事務所長 藤原由康氏が貫通を報告
貫通点清めの儀が行なわれた

 発注者として登壇したNEXCO中日本 名古屋支社長 池田光次氏は、「柿田トンネルの工事は供用中の高速道路が近く、低土被りの区間もあったことから、より一層の正確かつ慎重な工事が求められる大変難しい工事」だったとコメントし、「無事故で貫通の日を迎えることができた」と工事関係者に感謝を伝えた。

 今後も「供用中の高速道路のすぐ脇で多くのトンネルと橋梁を施工する難しい工事が続く」としつつも、「安全を最優先に1日も早い運用開始を目指し、着実に事業を推進していく」と述べた。

中日本高速道路株式会社 名古屋支社長 池田光次氏

 来賓として最初に祝辞を述べた衆議院議員の金子俊平氏は、今回の貫通により「いよいよ可児御嵩(インターチェンジ)まであとちょっと」だと述べるとともに、この先の関IC方面についても「地元の夢を成し遂げるように邁進していきたい」とした。

 参議院議員の渡辺猛之氏は国土交通副大臣時に受けた要望として全国的に多かったのが、高速道路の「“ミッシングリンク”の解消」と「4車線化」だったと述べ、この区間についても順調に進んでおりしっかりと引き続きやっていきたいとした。

 参議院議員の大野泰正氏は「4車線化は機能維持、強靱化のために一番大切なもの」であるとし、1日も早い全線の4車線化ができるように努力すると述べた。

衆議院議員 金子俊平氏
参議院議員 渡辺猛之氏
参議院議員 大野泰正氏

 岐阜県議会 副議長の加藤大博氏は、議長 平岩正光氏の祝辞を代読。そのなかで東海環状道については「クルマ社会である本県にとりまして、県民の皆さま方の日々の生活や地域の経済活動を支える」「災害時の緊急輸送道路としての機能の充実」などが期待されていると前置き。

 同路線は2005年の供用開始以降は「沿線の市町村における自動車産業の集積」「新たな企業進出、雇用の促進」などの大きなストック効果が現われているが、より大きな効果のために「東回り区間の4車線化による物流の効率化、広域観光の魅力向上を図ることが必要不可欠」であるとし、「暫定2車線区間の4車線化、西回りルートの早期開通に向け、より一層の努力をしていく」とした。

 可児市長の冨田成輝氏は開通について、「住民、多くの企業の長年の念願を着実に進めていただいて感謝しかございません」と前置き。また、沿線住民から「1つも苦情がない」とのエピソードを披露し、「工事関係者が丁寧に安全に配慮して進めていただいた」と述べた。

岐阜県議会 副議長 加藤大博氏
可児市長 冨田成輝氏

 来賓による鏡開きのあと、美濃加茂市市長であり東海環状自動車道中東濃地域建設促進協議会 会長の藤井浩人氏が感謝の意を示し、乾杯の発声を行なった。

 最後に施工者を代表して大林組 常務執行役員 名古屋支店長の山本裕一氏が登壇。4車線化工事について「意義深く重要な工事」の施工にあたり、「持てる技術と経験を結集し工程の遵守と厳格な品質管理」を実施してきたと説明。「非常に浅い土被り区間のトンネル掘削」などさまざまな困難があったものの貫通を迎えたと述べた。また、今後「本格的な仕上げの段階」に入るとしつつ、「工事の完成までの施工の品質、安全はもとより、共用線の通行に対する安全に万全を期して誠心誠意取り組んでいく」と話した。

来賓による鏡開きを実施
鏡開きには地元可児市の林酒造「美濃天狗」を使用
ドライバー以外の参加者に配られた
枡も貫通を記念したもの
東海環状自動車道中東濃地域建設促進協議会 会長も務める美濃加茂市長 藤井浩人氏
株式会社大林組 常務執行役員 名古屋支店長 山本裕一氏