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所沢駅西口、映画館など約150店が入る大型商業施設が2024年秋開業。起工式で「ゆっくり長時間滞在できる施設目指す」と西武HD後藤社長

駅西口・ワルツ所沢を含めた巨大モール形成へ

2022年10月28日 実施

「所沢駅西口開発計画」起工式を実施

 西武鉄道と住友商事は、「所沢駅西口開発計画」(埼玉県所沢市東住吉10番)」において商業施設を共同で開発する。10月28日にその起工式を行なった。

 場所は、西武鉄道新宿線と池袋線の所沢駅西口より徒歩4分という位置で、元は西武所沢車両工場の跡地。駅西口直近には、西武とそごうの商業施設「西武所沢S.C.(ワルツ所沢)」があり、ペデストリアンデッキにて下層階が商業施設の地上29階建て複合タワーマンション「シティタワー所沢クラッシィ」と接続している。ここを通り過ぎたエリアになるのだが、完成すると駅西口徒歩圏内で巨大なショッピングモールのように広がることになるだろう。

 なお、東口には2018年の第1期から2020年の第二期で、所沢駅直結の商業施設「グランエミオ所沢」が開業していて、その様子はすでにレポート済みだ(関連記事「グランエミオ所沢、第2期内覧会。所沢駅直結の商業施設がついにグランドオープン!」)。こちらも含めると、西武新宿線と西武池袋線の2本が交わり鉄道でアクセスしやすい所沢駅近辺が商業施設群で囲まれ、さらに利便性が高まることになる。

所沢駅西口を出たところ。駅には「グランエミオ所沢」が入っている
ペデストリアンデッキが作られている。奥に見えるのが「シティタワー所沢クラッシィ」
デッキ上から所沢駅西口開発計画の敷地が見える
拡大して見たところ
「西武所沢S.C.」側から見た所沢駅西口開発計画の敷地
「シティタワー所沢クラッシィ」側から見た所沢駅西口開発計画の敷地
南側から。「西武所沢S.C.」と「シティタワー所沢クラッシィ」が見える
敷地内の様子。完全に更地になっている
これから使われる重機が並ぶ
敷地に貼られている「開発事業計画のお知らせ」

 所沢駅西口開発計画の敷地面積は約3万4000m2、建物は地上7階建てで延床面積は約12万9000m2になる。店舗面積は約43,000m2で、店舗は約150店が出店する予定。駐車場は約1700台を収容する。開業予定は、2年後の2024年秋としている。名称はまだ未定だ。

 運営主体は、西武リアルティソリューションズ、住友商事、住商アーバン開発が担当。住友商事グループは1976年から商業施設事業に参画。近年の「グランエミオ所沢」や「Utsunomiya Terrace」(2022年開業)など、全国で65施設を手掛ける。

 西武グループでは、所沢エリアでこれまでのベッドタウンで人々が「通り過ぎる街」から、「暮らす・働く・学ぶ・遊ぶ」が揃った「集い・過ごす街」となるリビングタウンへと進化させる取り組みをしている。所沢駅西口開発計画は、その集大成とも言える事業。都市と郊外双方の魅力を享受できる「所沢スタイル」を創造・発信する拠点としていきたいとしている。

 グランエミオ所沢も同じ事業主の西武鉄道と住友商事が手がけているため、差別化として所沢駅西口開発計画では「ゆっくり長時間滞在してもらえるような施設を目指したい(西武ホールディングス 後藤社長)」とのこと。グランエミオ所沢は「コミュニティ型の駅ビル」で、所沢駅西口開発計画はフードコートやシネマ、広場などを備える「広域集客型商業施設」と位置づけている。テナントはこれから本格的に誘致を始めるとのことだが、敷地に貼られている「開発事業計画のお知らせ」には「物販店舗、飲食店、映画館、駐車場」と書かれているので、映画館が入ることは確実のようだ。

 施設内にはイベントに対応するスペースや、新たな交流をもたらすスクリーンのある広場空間を設けられ、ゆったり過ごせる食ゾーン空間は隣接公園との一体性を感じられるような施設内外の連続性が演出される。子育て世代やファミリーをターゲットにしたテナントが中心となっていて、4階には屋上広場と室内空間が一体となったレストランフロアや映画以外のコンテンツ上映も可能な映画館が入る。

「周辺は緑が豊かな住宅街。施設周辺や4階の屋上庭園などに緑を多く取り入れて、長時間気持ちよく過ごしてもらえる施設にしていく(住友商事 商業施設事業部 白石幸成氏)」とのことだ。

所沢駅西口開発計画の完成予想イメージパース(西武グループ提供)
1階西南側フードコートのイメージ。緑が多く配されている(西武グループ提供)
2階広場空間のイメージ。パブリックビューイングなど各種イベントを開催予定(西武グループ提供)
4階屋上庭園のイメージ。子供が遊べる噴水も見え、中と外で一体感ある作り(西武グループ提供)

 起工式の神事では、西武ホールディングス 代表取締役社長の後藤高志氏、住友商事 常務執行役員 生活・不動産事業部門長の為田耕太郎氏、清水建設・西武建設共同企業体代表者として清水建設 代表取締役社長の井上和幸氏が地鎮ノ儀にて、鍬入れを行ない工事の安全を祈願した。

鍬入れを行なった

 神事のあとには、事業主として西武ホールディングス 代表取締役社長の後藤高志氏と住友商事 常務執行役員 生活・不動産事業部門長の為田耕太郎氏が登壇した。

株式会社西武ホールディングス 代表取締役社長 後藤高志氏
住友商事株式会社 常務執行役員 生活・不動産事業部門長 為田耕太郎氏

 後藤社長は冒頭、所沢駅西口開発計画が行なわれる土地が戦前は立川航空工廠所沢支廠跡であり、戦後は西武鉄道所沢車両工場として創業を開始、日本大手私鉄としては唯一の直営工場として、西武鉄道の鉄道車両生産、修理を行なっていたこと、2000年に工場を閉鎖したあとには、所沢の街づくりを今後どのように進めるべきか、所沢市とともに検討を重ねてきたという歴史を紹介した。

 続けて、商業施設として、メインターゲットのファミリー世代を中心に幅広く利用できる施設を目指し、訪れることで体験、体感ができる施設を目指すこと、そしてほかにはない、所沢らしさを実現できる商業施設として開発していくことに触れ、さらに建物周辺において、所沢市が行なう、歩行空間や道路公園の整備なども計画されてることにも触れた。

「所沢のまちづくりの方向性は、これまでのベッドタウンから『暮らす・働く・学ぶ・遊ぶ』の四要素が揃ったリビングタウンとして、この街を我が家のように進化させていくことです。そういった方向のなかで所沢駅のグランエミオ所沢の開業、ベルーナドームのボールパーク化、西武園ゆうえんちリニューアルを順次進めています。この所沢駅西口開発計画は所沢という街を進化させていくうえで、重要な要素であります。所沢市の玄関口にふさわしい、魅力と活気のある街並みの形成を目指しております。2024年秋の開業にご期待ください」と述べた。

 為田事業部門長は、冒頭に住友商事という総合商社の歴史は不動産業であったことに触れ、遡ること103年前、現在ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが建つ大阪北港地域の開発を行なう会社が設立されのが、住友商事の前身である歴史を紹介。最近では、首都圏・近畿圏を中心に大規模な複合開発を進めていること、そのほかに住宅やオフィス、物流施設を開発し、そしてその運営をグループ内で行なうようになっていることの説明があった。

「商業施設に関しては、それぞれの土地の特徴を深く理解したうえで、地域の皆さまに長くご利用いただける施設作りを目指しています。一つ一ついわばオーダーメイドという形で商業施設を作り込んでいくということをモットーにしています。本事業は我々にとって、埼玉県における初めての商業施設の開発です。地域の皆さまの安心安全これを第一に考え、所沢地域のますますの発展に貢献する新しい交流の拠点になり、いこいの場となる施設を作っていけたらと考えています」と話す。

所沢市 藤本正人市長
清水建設株式会社 代表取締役社長 井上和幸氏

 そして、所沢市 市長の藤本正人市長が来賓として登壇。「ここ所沢駅西口のまちづくりは私が視聴就任以来、成長戦略の柱として積極的に取り組んできた事業。所沢駅前に残された。最後の大規模な空間であり、その土地利用が市の発展の鍵でありました。現在、市ではゼロカーボンシティ、歩いて暮らせる街づくりに全面的に取り組んでいるところです。所沢駅西口開発は環境に配慮した施設として、周囲に緑をふんだんに配置し、憩いの空間を設けられ、所沢駅前における新たな緑と人の空間であり、まさしく市が目指している。まちづくりに即していると非常に期待しています」とあいさつした。

 最後に、清水建設・西武建設共同企業体 代表者として、清水建設 代表取締役社長の井上和幸氏が施工者として登壇。「今日より着工ですが、施工にあたっては安全管理はもちろんのこと、近隣の皆さまへの影響を最小限にするべく、コミュニケーションをしっかりととって進めていき、無事故かつ無災害で工期内に引き渡しすることを全社を上げて取り組んでいきます」と述べた。

「所沢駅西口開発計画」起工式にて。写真左から、藤本正人所沢市長、株式会社西武ホールディングス 代表取締役社長 後藤高志氏、住友商事株式会社 常務執行役員 生活・不動産事業部門長 為田耕太郎氏、清水建設・西武建設共同企業体 代表者 清水建設株式会社 代表取締役社長 井上和幸氏