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ヒルトン、4つの新ブランドを説明。ソーパー日本代表「開発は加速。将来を強気・楽観的に見ない理由はない」

2021年12月6日 実施

ヒルトン 日本・韓国・ミクロネシア地区 代表 ティモシー E. ソーパー氏

 ヒルトンは12月6日、今後日本で展開する4つの新しいブランドについて説明した。

 日本・韓国・ミクロネシア地区 代表のティモシー E. ソーパー氏は、コロナ禍の現況について過去に起きた大災害などを引き合いに出しつつ、「過去の危機に比べて、ここまで長く混乱を招いたものはない」と評し、ヒルトングループでも6軒のホテルの閉鎖を余儀なくされたことや、1桁の稼働率も経験したと苦境を振り返った。日本では10月に緊急事態宣言が解除されるなど状況が落ち着いた感もあるが、ここへ来て世界的にはオミクロン株の拡大が見られ、「どのくらい長くなるのか分からず、今も分からない」という。

 そのなかでも新たな取り組みとして、11月24日に発表した「ウォルドーフ・アストリア大阪」(2025年予定)と「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」(2024年予定)の開業や、3月に発行を開始したアメックスとの提携クレジットカード、スマホ向けの「ヒルトン・オナーズ・アプリ」でデジタルキーの共有機能を発表するなど、前向きなメッセージの発信を続けている。

 ヒルトンは現在、世界で18ブランド6700軒以上を展開しており、そのうち日本では5ブランド19軒が開業済み。今後の開業予定について、日本・ミクロネシア地区 開発担当 副社長の藤本博久氏は、コロナ禍にあっても「戦略に変わりはない」という。

 現在日本では5つのブランド(ヒルトン、コンラッド、ダブルツリーbyヒルトン、キュリオ・コレクションbyヒルトン、LXR)が稼働しており、拠点の継続的な拡大のために、東京・名古屋・大阪・京都といった主要都市に加えて、第二層・第三層の地方都市やリゾートへの参入も常に視野に入れている。また、新規出店だけでなく、ニセコ(ヒルトンニセコビレッジ)のようにリブランドの機会も探っているという。藤本氏は、こうした既存施設・跡地を1棟ごとに(スタンドアローンで)リブランドしていけるのはヒルトンの強みだと話す。

 藤本氏が説明した4つの新ブランドのうち、LXRは9月に京都で「ROKU KYOTO, LXR Hotels&Resorts」として開業したばかり。こちらは予約が好調という。このLXRのほか、旧軽井沢のキュリオ・コレクションbyヒルトン、タペストリー・コレクションbyヒルトン(日本未上陸)は「ソフトブランド」という位置づけで、既存の独立系ホテルを全面リブランドしてしまうのではなく、オーナーが掲げてきたコンセプトを大事にしながら、「ヒルトンがサポートする」というスタンスを取っているという。

 2026年に東京日本橋、2025年に大阪で開業するウォルドーフ・アストリアは、「ラグジュアリーのなかのラグジュアリー」と位置づける最上級ブランド。2024年に梅田で開業するキャノピーbyヒルトンは、いわゆるライフスタイルブランドだが、同社が定義するライフスタイルブランドとは、その地域(デスティネーション)と一体になって世界に発信していくという方針を持ち、特産品や文化を伝えることができる拠点を指している。

 例えばキャノピーでは、ロビーやバーを一体化して、顧客と地域が触れあいやすいようにした「キャノピーセントラル」や、チェックアウト前に訪問した人、あるいはチェックアウト後に時間のある人が滞在できる「トランスファーラウンジ」などを設けることで、その方針を示している。

 最後に紹介したブランドは「ヒルトン・ガーデン・イン」。日本では2022年12月に四条烏丸での開業が決まっているミッドスケールのホテルで、使いやすくコスパの高さを感じられつつ、安全・快適・安心といった要素をきっちり備えた施設になる。コンセプトは清潔感の漂う「エアリー」。

 ヒルトンの全18のブランドのなかでも急成長しており、52か国・地域で930軒を展開、開発中は300軒以上に上る。藤本氏はヒルトン・ガーデン・インの利用者のプロファイルを、35歳以上の男女、中間管理職で世帯年収が700万円以上、バリューを求めつつ、フルサービスホテルのクオリティを妥協したくない層と表現した。

ヒルトン 日本・ミクロネシア地区 開発担当 副社長 藤本博久氏

 説明会のなかでソーパー氏は、「黄金の旅行時代が来ると言われていて、実際に日本では2013年~2019年に急速な成長があった。パンデミックが収束するか影響がなくなれば、ホスピタリティ業界は2019年以前のように戻ると確信している」と述べ、まだ先の見通せない現況ではありながら「開発はむしろ加速するとき」と断言。その理由を、向こう1~2年というスパンではなく、30~40年先を見越しており、ホスピタリティ業界が将来を強気・楽観的に見ない理由はない、と説明する。

 日本の業界はこれまで2桁成長を続けており、政府も真剣にインバウンドを呼び込もうと取り組んでいた。世界から見ても日本は非常に魅力的なデスティネーションであり、「現在の苦境はパンデミックのみ。終息すれば2019年末の状況に瞬時に戻れると期待している」と展望を述べた。