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東京ディズニーランドに新エリアが開業! アニメ版「美女と野獣」そのままの世界に行ってみた

2020年9月28日 開業

美女と野獣の城

 東京ディズニーリゾートは9月28日、東京ディズニーランドに約3年をかけて工事を行なってきた大規模開発エリアをオープン。

 約4万7000m 2 の敷地に、ディズニー映画「美女と野獣」をテーマにしたエリアと大型アトラクション「美女と野獣“魔法のものがたり”」が登場したほか、隣接する「トゥモローランド」にはアトラクション「ベイマックスのハッピーライド」やポップコーン専門ショップ「ビッグポップ」が登場。さらに「トゥーンタウン」にもキャラクターグリーティング施設「ミニーのスタイルスタジオ」がオープンした。

 ここでは、このなかから「美女と野獣」をテーマにしたエリア(ニューファンタジーランド)とアトラクションについてレポートしたい。

キーワードは“没入感”。映画「美女と野獣」の世界へ

 今回の大規模開発エリアは、当初2020年4月15日開業を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために行なわれた、2月末からの4か月間にわたる臨時休園や再開後の利用人数制限を経て約5か月遅れてのオープンとなった。

 美女と野獣をテーマにした新エリアは、トゥーンタウンとトゥモローランドの間に位置しており、ファンタジーランドの一部。トゥモローランドのスペース・マウンテン横からエリアにアクセスすることも可能だが、トゥーンタウンの入口の右側からアクセスした方が、ストーリーに沿って体験できる。特に初めて来場するときは、こちらからのアクセスがお勧めだ。

 このエリアのキーワードは“没入感”。アニメ版のディズニー映画「美女と野獣」で描かれたフランスの田舎町の世界観がそのまま出現している。「美女と野獣」のストーリーはディズニー作品に限らずこれまで繰り返しモチーフとなっているため、絵本や実写版などいろいろな触れ方をしているかもしれないが、今回のエリアはアニメ版美女と野獣の印象的なシーンやアイテムが多数再現されているので、ぜひこのディズニーのアニメ版を見直してから訪れて、圧倒的な没入感を楽しみたい。

 まず、シンデレラ城からトゥモローランド・テラスの横を抜けてトゥーンタウンに向かうと、主人公の「ベル」と父親が住む「モーリスのコテージ」の裏側が見えてくる。ここは今回登場した大型アトラクション「美女と野獣“魔法のものがたり”」のディズニー・ファストパス発券所になっているが、現在はファストパスの発券はなく東京ディズニーリゾート・アプリから「エントリー受付」で利用予約を行なう方式になっているため稼働はしていない。

トゥーンタウンに向かう現われるファストパス発券所はモーリスのコテージの裏側にある
表にまわると“町はずれ”にあるモーリスのコテージだと分かる

 さらに進んでその表に回ると、「美女と野獣」をテーマにした新エリアがスタートする。両側には映画から抜け出た田舎町風の建物がずらりと並び、広場の中央にはアニメでベルがヒツジに本を読み聞かせていた噴水もある。アニメとは違い、ベルに恋する力自慢のうぬぼれや「ガストン」とその子分「ル・フウ」の銅像が飾られている。この町でのガストンの影響力の強さを物語っているようだ。

 向かって左側の建物は、“ガストンの酒場”を意味する「ラ・タベルヌ・ド・ガストン」と、チュロスを販売する「ル・フウズ」などのフード施設。この「ラ・タベルヌ・ド・ガストン」の中も見どころいっぱいだが、当面、入場には入店予約が必要なので注意しよう。

 右側の建物は、村のお店をイメージしたグッズショップ「ビレッジショップス」だ。本屋の「ラ・ベル・リブレリー」、村の職人たちの小物や製品のお店「リトルタウントレーダー」、帽子屋の「ボンジュールギフト」の3店が並んでおり、中で1つにつながっている。入口はエリア手前の1か所のみで、こちらも当面は事前来店予約が必要だ。建物のほかにもガストンのぶどう畑や、迷子ヒツジの貼り紙など物語の世界観に沿った仕掛けがいっぱいあって隅々まで楽しめる。

「美女と野獣」をテーマにした新エリアの街並み
左側の建物は「ラ・タベルヌ・ド・ガストン」などのフード施設
中央の噴水にはガストンとル・フウの銅像が飾られている。
この噴水の周囲は、夜の雰囲気も抜群
右側は「ビレッジショップス」。この部分は本屋の「ラ・ベル・リブレリー」
「ビレッジショップス」の出口が帽子屋の「ボンジュールギフト」になっている
迷子ヒツジの貼り紙や卵などさまざまな小物も注目
ガストンのぶどう畑もあった

 このエリアを抜けると、左奥に野獣が住む城「美女と野獣の城」が見えてくる。その手前には映画でベルの父親が城から帰されるときに乗せられた、鉤爪足の馬車があり、城をバックに絵になっている。

 先へ進むと、大型アトラクション「美女と野獣“魔法のものがたり”」の入口となる城の門が登場。現在「エントリー方式」が取られているため中に入れるのはパスが入手できた時間帯のみだが、城の迫力は門の前からでも十分感じられる。明るい昼間に見られる美しい城の様子と、夜の迫力ある姿はまるで別の城に見えるほどの変化なので、ぜひ昼と夜、両方の時間帯に見てみてほしい。

 城のゲートの先には、まだオープンしていない大型屋内シアターの「フォレストシアター」の入口が見えてくる。まだこのシアターはオープン時期が未定だが、森の奥には山々の稜線も出現し、本当に山が近いように感じられて不思議な気分になる。今後のシアターのオープンにも期待したい。このエリアにはポップコーンワゴンの「ル・プティポッパー」もあり、美女と野獣のポップコーンバケットが購入できる。ドリンクやスイーツなどの販売ワゴンの前を通り、トゥモローランドへ抜けられる通路までがこのエリアの全体像だ。

鉤爪足の馬車は夜に見るとさらに雰囲気抜群
美女と野獣の城の門。ここから先はパスが必要
城の右側はまだオープンしていない大型屋内シアターの「フォレストシアター」の入口だ
美女と野獣のポップコーンバケットが購入できるポップコーンワゴンの「ル・プティポッパー」
トゥモローランド手前に位置するドリンクやスイーツなどの販売ワゴン

幅広い世代で物語を楽しもう! 魔法が散りばめられた「美女と野獣“魔法のものがたり”」

所要時間: 約8分
乗車定員: 1台あたり最大10名
対象: 身長制限なし(※安定して座れる必要がある)

 このエリアの象徴である「美女と野獣の城」に作られた大型アトラクション「美女と野獣“魔法のものがたり”」は、魔法のカップに乗り込んで、美女と野獣のストーリーに沿って名シーンの数々を楽しむライド型アトラクション。1つの魔法のカップには10名まで乗れるため、グループでも楽しみやすく、身長制限もないので幅広い年齢で楽しめる。ただし、魔法のカップが動いて横回転したり座面が上下したりするので、1人で安定して座れる必要はある。

 このアトラクションは密を防ぐため、当面「エントリー方式」で運営され、城への入城には東京ディズニーリゾート・アプリから「エントリー受付」したパスが必要となる。パスが入手できた時間に門から城に入り、待機列に並ぶことができる仕組みだ。城内は待機列に並んでいる間もじっくり楽しめる仕掛けであふれているので、この待機の時間もぜひ楽しもう。

 まず、城の門を抜けて石橋を渡ると、昼間でも霧が城を覆う。ここが魔法にかけられた城だと伝わってくるようだ。夜はさらに怪しい雰囲気であふれ、映画でベルが恐る恐るたずねた野獣の城の雰囲気そっくりでお勧めだ。

「美女と野獣の城」は夜になるとさらに怪しい雰囲気に
近くから感じられる城の迫力もこのアトラクションの魅力の1つ
パーク入園後に「エントリー受付」から「美女と野獣“魔法のものがたり”」を選択
入場希望の時間帯などを選択していき、取得できると待機列に並べる「パス」が入手できる

 一歩中に入ると、本格的な城の部屋や通路が並ぶ。最初に通される応接室は、夜道で迷ったベルの父親「モーリス」が、一夜の宿を求めて城に入り込んだ時に入った部屋。暖炉の前には、モーリスが座ってしまった野獣のイスと、魔法で足置きにされた犬の「サルタン」がいる。尻尾を振るサルタンのかわいい姿や、暖炉の上で眠る燭台姿の「ルミエール」と置き時計姿の「コグスワース」にも注目だ。

 待機列の床にはスタンディングラインが描かれているので、ソーシャルディスタンスもしっかり保てる。通路の壁には豪華な絵画が並ぶだけでなく、壁紙にもルミエールやコグスワースが隠れているのでぜひ探してみよう。カタカタ音がする銀食器が並んでいたり、ベルと野獣が朝食を取っていた部屋に「ポット夫人」とその息子でティーカップ姿の「チップ」がいたりと見どころもたくさん。さらに両側によろいが並ぶ廊下を通ると、大階段とステンドグラスのある広間に出る。

最初に入る「応接室」。待機列の床にはスタンディングラインが描かれているのでソーシャルディスタンスも保てる(画像提供:オリエンタルランド)
モーリスが座ってしまった暖炉の前の野獣のイスと、魔法で足置きにされた犬の「サルタン」。動く尻尾がかわいい
通路の壁には豪華な絵画が並ぶ。壁紙の隠れ「ルミエール」や「コグスワース」を探してみよう
ベルと野獣が朝食を取っていた部屋には「ポット夫人」と「チップ」がいる
通路の両側に並ぶよろいからは、カタカタとした音や息づかいが聞こえてきて不気味

 大広間では、映画と同じように、ステンドグラスを使って野獣や城が魔女に呪われてしまった経緯が語られていき、野獣とベルのオーディオ・アニマトロニクスによるやり取りは、まるで演劇のステージを見ているような迫力で圧倒される。アトラクションへの期待が最高潮になる瞬間だ。

 さらに部屋を進むと、左側の通路沿いにはポット夫人とチップの会話が聞こえてくる部屋が、右側の通路沿いには、野獣のシルエットを背景に燭台のルミエールと置き時計のコグスワースの会話が聞こえる部屋が並び、すぐにアトラクションの乗り場であるキッチンへ。入口には大きなコンロのシェフがお出迎えする。ずらりと並ぶ乗り場から、魔法のカップに乗り込めばアトラクションのスタートだ。1つのカップには10人まで乗れるが、感染症対策としてアクリル板が設置されているので1人や2人でも乗りやすい。

大広間では野獣とベルのオーディオ・アニマトロニクスによるやり取りも(画像提供:オリエンタルランド)
乗り場直前にもキャラクターたちのやり取りが聞ける部屋が並ぶ(画像提供:オリエンタルランド)
アトラクション乗り場では巨大なコンロのシェフがお出迎え
魔法のカップは10人乗り。カップの中にも感染症対策としてしっかりアクリル板が設置されている

 ドアが開くと、映画でベルが最初にもてなされたダイニングルームへ。映画の挿入歌「ひとりぼっちの晩餐会」に乗ってお皿やシャンパン、豪華な料理でにぎやかにベルをもてなしていく。魔法のカップは曲に合わせてダイニングテーブルの周りを回転しながら縦横無尽に動き、オーディオ・アニマトロニクスのベルや、にぎやかな映像のマジックであふれる部屋を進んでいく。

 晩餐会が終わってダイニングルームを出ると、挿入歌「愛の芽生え」が流れる雪景色の城の庭へ。ベルと野獣が徐々に心の距離を縮めていくシーンがほほ笑ましく描かれている。さらに進むとドレス姿で寄り添うベルと野獣の幸せそうな後ろ姿が見られるが、挿入歌「夜襲の歌」をバックに野獣をやっつけようと城を襲ってくる村人との戦いのシーンへ。ガストンとの戦いで負傷した野獣にベルが愛を告げると、映画と同じく野獣が王子の姿に戻る感動的なシーンへ。

 最後に、魔法のカップは「美女と野獣」の曲が流れる城のボールルームに移動。王子とドレス姿のベルが踊る姿や、人間の姿に戻ったルミエール、コグスワース、ポット夫人とチップ、ダスターになっていた「フィフィ」や、犬のサルタンも一緒に楽しむ姿が楽しめる。曲に合わせて踊るように動く魔法のカップに揺られながら幸せなエンディングをゆったり感じよう。魔法の呪いが解けた城のボールルームには明るい日差しが降り注ぎ、天井に描かれた天使の姿に心が洗われるようだ。

魔法のカップで回転しながら映画『美女と野獣』の物語を体験(画像提供:オリエンタルランド)

「美女と野獣“魔法のものがたり”」は8分間と長いライドだが、充実の内容で見応えたっぷり。ディズニーリゾートのさまざまなアトラクションで取り入れられている最新技術や仕掛けを取り込んで、美女と野獣の世界を体験できる。「夢がかなうおとぎの国」がテーマのファンタジーランドは、子供たちが魔法の冒険を安心して楽しめる場所。そのアトラクションにぴったりだと言えるだろう。

 また、次々に流れる挿入歌が、映画「美女と野獣」がミュージカルだったことを実感させてくれる。コロナ禍の今は難しいが、いつかライドしながら自由に歌える日が来たら、挿入歌を歌いながら楽しみたいアトラクションにも感じた。大人も見とれるほどの迫力ある城、魔法が散りばめられたアトラクションの場面の数々を存分に楽しもう。