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1日2回まで初乗り料金がタダに。タクシー配車サービス「DiDi」が沖縄で開始

「検挙数が全国平均7.8倍の沖縄で飲酒運転撲滅に一役」と菅野氏

2019年8月20日~ 実施

DiDiモビリティジャパンは沖縄でタクシー配車サービス「DiDi」を開始した

 DiDiモビリティジャパンは、8月20日から沖縄エリアでタクシー配車プラットフォーム「DiDi」のサービス提供を開始した。日本国内では、2018年9月の大阪を皮切りに、東京、北海道、福岡、広島など9エリアで展開しており、今回の沖縄が10エリア目となる。

 同社は中国のライドシェアサービス企業である滴滴出行とソフトバンクの合弁会社で、日本国内での「DiDi」はタクシー配車サービスとして提供されている。スマホのみで配車依頼、乗車、支払いまで完結する点は日本以外で展開するサービスと変わらない。

サービス開始当日に会見を開いた

 沖縄でのサービス開始当日に行なわれた記者会見に登壇したDiDiモビリティジャパン 取締役副社長の菅野圭吾氏は、「本日サービスを開始した沖縄は記念すべき10都市目。沖縄県内の20の業者が参加して、本島のほか宮古島、石垣島でも利用できるようになった。沖縄では飲酒運転検挙数が全国平均の7.8倍と聞く。タクシー事業者と協力して、DiDiによってタクシーの利用を促進し飲酒運転撲滅に一役買えれば。そこで沖縄限定キャンペーンとして、夜の時間帯に初乗り無料サービスを提供する」と説明した。

 これは、20時から25時(翌1時)までの時間帯にDiDiを使ってタクシーを利用すると、初乗り料金が無料になるというもの。沖縄のタクシーの初乗り料金は550円が主流なので、利用料金が550円引きになると考えればよい。同キャンペーンは1日2回まで利用できるので、行きと帰りの2回使ってもらおうというのがDiDiの狙いだ。キャンペーンの終了時期は未定とのこと。好評であればできるだけ長く続けたいと菅野氏は語る。

 そのほか、初回限定クーポン3000円分のプレゼント(9月30日まで)や、知人友人を紹介すると紹介クーポン1000円分がお互いにプレゼントされるキャンペーンも実施する(全国で展開中)。

DiDiモビリティジャパン株式会社 取締役副社長 菅野圭吾氏

 続いて、来賓あいさつとして県内のタクシー業界関係者とOCVB(沖縄観光コンベンションビューロー)会長の下地芳郎氏が登壇した。

 沖縄第一交通グループの社長で沖縄県ハイヤー・タクシー協会副会長の稲益強氏は、「第一交通グループは今回の沖縄で9都市目の参加となり、3000台のタクシーがDiDiによって月間7万回乗車されている。DiDiのサービスは外国人観光客だけでなく日本人ユーザーへのアプローチも強いと感じており、特に若年層には配車アプリがとても有効で効果が出ている」と述べた。

沖縄第一交通株式会社 社長 稲益強氏

 沖縄個人タクシー協同組合理事長の義永勉氏は、「個人タクシー協同組合がこのような配車アプリに参加するのは初めてのこと。今回お声がけいただいて、県内大手のタクシー会社が参加するのに、個人タクシーが参加しないことはないだろうと参加を決めた。現在は組合員全員の参加ではないが、引き続き声かけをして参加車両を増やしたい」という。

沖縄個人タクシー協同組合理事長 義永勉氏

 沖東交通の社長で、沖縄県ハイヤー・タクシー協会会長を務める東江一成氏は、「沖縄のタクシーの1日の平均走行距離はだいたい300km。日本で一番といわれている東京は230kmほどだ。DiDiの活用によって、これまでと同じくらいの収益のまま、沖縄も東京並みの230~240kmの走行距離になるかもしれない。1日の走行距離が60km短くなることは、働き方改革の第一歩になると期待している」とあいさつした。

株式会社沖東交通 社長 東江一成氏

 沖縄県ハイヤー・タクシー協会副会長兼八重山支部長を務める、かびら観光交通 社長の伊良皆高司氏は、「石垣島、宮古島にも声をかけてもらって参加することになった。現在社会はものすごいスピードでキャッシュレス化が進んでいる。石垣島には中国や台湾から多くのお客さまがこられるが、現金を持ち歩かない人がかなりいるのでDiDiには大きな期待をもっている。タクシー業界もキャッシュレス化の波に乗り遅れないよう、取り組んでいきたい」と述べた。

株式会社かびら観光交通 代表取締役社長 伊良皆高司氏

 OCVB会長の下地芳郎氏は、「沖縄観光を取り巻く環境は大きく変わっているが、ずっと言われていることが二次交通の問題。DiDiサービスの開始によって3つの期待をしている。まず、利用者の利便性向上。観光客だけでなく県民にとっても利便性が高いものと期待している。次に、導入されるタクシー事業者の生産性の向上。ITCを利活用することによって企業の収益向上につながるのではないか。3つ目は、こういったITCの利活用が沖縄県内のさまざまな業種に広がり、事業者、県民、観光客それぞれに大きな効果をもたらすことを期待している」とあいさつした。

一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー 会長 下地芳郎氏

 DiDiは現在、中国、日本、オーストラリアなど全世界で5.5億人のユーザーが利用している。DiDiモビリティジャパンの菅野氏は、「グローバルなアプリなので、例えば中国のユーザーが沖縄に来てすぐにタクシーを利用できることがメリット」とするが、事業者にとっては、タブレット端末をクルマに設置するだけという手軽さ、導入のための費用がかからないことがメリットになる。

 菅野氏は、「事業者の皆さまと一緒にAI技術の革新に取り組んでいけたらと思っている。データの蓄積がマッチング精度を上げていく。DiDiの利用者が、もう1ライド、と思ってくれるようなサービスに育てたい」と締めくくった。

デモンストレーションのようす。ユーザーも事業者も、導入が容易であることが大きなメリットだ
運転席に取り付けられたドライバー用のタブレット端末
DiDiのステッカーが貼られたタクシーと担当ドライバーさん。「売り上げアップにとても有効だと期待している」と語ってくれた