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ユーレイル、2019年第1四半期は日本人旅行者が1割増。ユーレイルパスの電子化も予定。スマホアプリ利用呼びかけ

2019年5月14日 実施

2019年、ユーレイルパスを利用する日本人旅行者が増えている

 ユーレイルグループは5月14日、アジアマーケットを統括するYi Ding氏が来日し、2019年に新しくなったユーレイルパスを紹介するとともに、2018年のユーレイルパス利用実績と、2019年第1四半期の日本人旅行者の動向などを明らかにした。

 2019年第1四半期の日本からの旅客数は前年同期比10%増となったほか、ユースパス利用者である12~27歳が全体の42%を占めるなど、大きな変化が表われている。

Eurail Group G.I.EでMarket Manager Asiaを務めるYi Ding氏

人気エリアは西・南ヨーロッパだが、日本人は紙媒体のガイドブックを多用

 ユーレイルグループが提供する、欧州の鉄道やフェリーの乗り放題も可能になるユーレイルパスは、創立60周年を迎えた2019年、チケット種別や料金体系を刷新した。

 具体的には、訪問先の国を選んで購入するセレクトパスを廃止。全加盟国の鉄道などを自由に利用できる「グローバルパス」と、1か国内でのみ乗り放題となる「ワンカントリーパス(1か国パス)」、ギリシャの島々をフェリーで周遊できる「ギリシャアイランドパス」の3種類のラインアップとなった。

ユーレイルパスは3種類に。2018年まであったセレクトパスは廃止された

 また、グローバルパスは対象国が3か国増え、英国、マケドニア、リトアニアが新たに追加。最大で37%の値下げが行なわれたほか、使用可能日数が3日間の短期間パスも登場したことで、よりリーズナブルに利用できるようになった。12~27歳まではユースパスとして最大2割引、60歳以上はシニアパスとして1割引でそれぞれ提供され、11歳以下の子供は大人1名につき2名まで無料となる。

英国、マケドニア、リトアニアが追加され、31か国を周遊できるように
グローバルパスは最大37%値下げ

 ユーレイルパスリニューアル前の2018年全体の概況としては、ユーレイルパス利用者のなかで最も多かった地域が北米とアジアで、それぞれ37%で並んだ。国別のトップは米国で、それにオーストラリアと韓国が続き、日本は7位となった。アジアのなかで日本は韓国、中国、インドの次に利用者が多く、旅客数は1万3000人超となっている。

ユーレイルパス利用者の居住地域は、北米とアジア全域が37%でトップ
日本人旅行者はアジアでは4番目に多くユーレイルパスを利用

 ユーレイルパス利用者が訪れた都市は上から順にミュンヘン(ドイツ)、フィレンツェ(イタリア)、パリ(フランス)、ローマ(イタリア)、ミラノ(イタリア)となっており、とりわけイタリア旅行の人気が高いことが分かる。

 一方、日本のユーレイルパス利用者の訪問先はドイツが29%で最も多く、次いでスイスが15%、以下、イタリア、フランス、オーストリアの順に並び、西ヨーロッパと南ヨーロッパが人気となっているようだ。

グローバルではミュンヘン、フィレンツェ、パリの順に人気が高い
日本人の旅行先はドイツが最多。スイス、イタリアと続くが、トップのドイツとの差は大きい

 グローバルと日本の旅行者の違いはほかのデータからも見て取れる。グローバルでは旅行の始点となる国と終点となる国が異なる割合が高いが、日本人は始点と終点の国が同じ場合が多いという。つまり、最初の始点から同じ国内を観光するか、周辺国を巡ったあと、再び出発国に戻って帰国するというパターンが見られるとのこと。旅行の日程が平均してそれほど長くないことが影響しているとも考えられる。

日本人は旅行の始点と終点の国が同じ割合が多い
旅行の比較的直前にユーレイルパスを購入している

 また、日本人旅行者はユーレイルが提供している「Rail Planner」のようなスマートフォン向けアプリを活用することが少なく、代わりに紙のガイドブックや地図を利用しがちという調査結果も明かされた。グローバルでは旅行のガイドツールを平均2.6個使用するのに対し、日本人は平均2.8個とやや多いのも特徴で、複数の紙媒体を巧みに使って旅行している姿が浮かび上がる。こうした点については、旅行者の年齢層が高く、デジタルツールの使いこなしや外国語が不得手であることが影響している可能性もありそうだ。

日本人のアプリの利用率はグローバルと比べて低い
紙のガイドブックや地図を使いがち

英国のEU脱退は影響ないとの見方。パスの電子化プロジェクトも進行中

 ユーレイルパスリニューアル後の2019年第1四半期の実績も公表された。それによると、グローバルパスの購入者は全体の約7割に達し、ユーレイルパスのシンプル化や値下げの効果がはっきり表われる形となった。日本ではこれまでセレクトパスが選ばれることが多かったが、グローバルパスのリニューアルを機に、多数の国を周遊できるそのフレキシブルさが見直されているとYi Ding氏は分析している。

2019年第1四半期の日本人旅行者のユーレイルパスにおける実績

 日本人旅行者の数は前年同期比10%増となっている。これは、ゴールデンウィークが長期間になったことも影響していると見られ、グローバルと比べても顕著な伸びを示しているという。さらに、ユースパスの占める割合が42%と、約30%だった2018年のグローバルでのユースパスの割合と比べても大きくなっており、ここでも値下げなどの影響が見て取れる。

2018年のグローバルにおけるユーレイルパスの利用実績では、ユースパスの割合は30%だった

 そんななか、ユーレイルの「Rail Planner」アプリが、この5月初めにアップデート。インターフェースが大幅にリニューアルされたほか、指定席の事前予約が可能になり、ユーレイルパスに付帯される施設利用時の割引サービスなどボーナス特典の情報も得られるようになったとのこと。現在のところ指定席が予約可能な鉄道は主要路線に限られるとしているが、今後は対応路線を広げていくほか、日本語版アプリのリリースについても検討を進めていくとしている。

「Rail Planner」アプリがアップデートし、指定席予約など多数の新機能が実装された
ユーレイルパスにはボーナス特典が付帯。各社との提携による施設利用時の割引などのサービスが受けられる

 31か国で利用可能となったユーレイルパスは、今後も引き続き対象国の拡大を目指す方針。ユーレイルパスへの参画は個別の鉄道会社の判断によるため、Yi Ding氏は、英国がEUを脱退した場合でも対象国から外れることはないだろうと期待している。現在、ユーレイルパスの電子化も検討しており、「近い将来」の提供を目指し開発を進めていると語った。