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琉球エアーコミューターのボンバルディア Q300型機が慶良間~久米島上空を巡る退役記念チャーター。アーク塗装との別れを惜しむ

2018年2月1日 実施

RACが定期便から退役したボンバルディア Q300型機の記念遊覧飛行を実施した

 RAC(琉球エアーコミューター)は、5機目のボンバルディア DHC-8-Q400CC型機の投入に伴い、1月31日でDHC-8-Q300型機を定期便から退役させた。2月1日からはQ400CC型機 5機体制で運航を行なっている(関連記事「琉球エアーコミューター、2月1日からボンバルディア『DHC-8-Q400CC』5機体制へ。記念式典開催」「琉球エアーコミューター、ボンバルディア『DHC-8-Q300型機』が定期便から退役。スタッフが感謝の横断幕で出迎え」)。

 定期便の最終日となった1月31日には、久米島発那覇行きのRAC882便を同社スタッフが駐機場で出迎え、「ありがとう Q300 退役 感謝を込めて!!」と綴った横断幕で記念撮影などを行なったが、翌2月1日にはJAL JTAセールスが主催する退役記念遊覧飛行を実施した。限定40名のツアーは即完売、当日は沖縄内外から熱心なファンが集まった。

 ツアーの開始前には、那覇空港28番ゲート前でRAC 代表取締役社長の伊礼恭氏が「このQ300型機は2007年に導入して10年間、およそ3万便以上のフライトをこなし、運航時間は2万2000時間以上、約100万人のお客さまに搭乗していただきました。本日はQ300の最後の勇姿をご覧いただき、最後のフライトを見届けてください」とあいさつし、参加者に感謝を伝えた。

琉球エアーコミューター株式会社 代表取締役社長 伊礼恭氏
RACのスタッフとともにあいさつする伊礼氏
搭乗時もスタッフが見送った
このRACロゴも見納め

 チャーターフライトは那覇空港を出発して、慶良間諸島上空を経て久米島上空まで飛び、那覇空港へ戻るというルートが設定されていた。慶良間と久米島では旋回して機体どちらの窓からも景色が眺められるようにしたり、フライトの途中で窓側と通路側の席の入れ換えを行なったりと、誰もが機窓からの眺めを楽しめるように配慮がなされていた。

 Q300型機は高翼式のため、機窓から眼下の景色が遮られないのがよいところ。しかも高度6000フィート(約1800m)と大変低空を飛行したため、特に久米島の東に広がる「ハテの浜」では、曇り空でもエメラルドグリーンに輝く海がキレイに見えていた。

 滑走路の混雑で那覇空港への着陸が遅れたものの、2時間程度の遊覧飛行が終了。駐機場で記念撮影を行なって、最後のプログラムであるトークショー会場へ移動した。

那覇空港を離陸。ギアが格納された
高翼機なので眼下の景色が楽しめる
配布された搭乗証明書
裏面は歴代RAC機材の年表になっていた
フライト後のトークショーで「お客さまとの距離が近いので親しみを感じてもらえる」とコメントしていたとおりの和やかな機内
慶良間諸島や久米島上空を遊覧。久米島のハテの浜は冬でもエメラルドグリーン
久米島の東に広がる「ハテの浜」
再び那覇空港へ
青いシートとコンパクトなギャレーも見納め
チャーターフライトを終えたDHC-8-Q300型機

 那覇空港内の一室に場所を移して行なわれたトークショーでは、遊覧飛行で機長を務めた二田(ふただ)晋弥氏、客室を担当したCA(客室乗務員)の國仲愛梨氏と吉里あかね氏、長年Q300型機の整備に携わった中本幸也氏がそれぞれの思い出を語った。

 二田機長はQ100型機とQ300型機に20年間乗務しており、「Q100とQ300はベーシックに近い飛行機なので、飛びながらいろいろ考えつつ操縦しなければならないという点で、自分はパイロットらしいパイロットなのではと自負している」と切り出し、「最近の飛行機は計器任せにできる部分が増えているが、これ(Q100/300型機)は風の強さや流れを見ながらどこで降下を開始するかなど、自分で決めなくてはならない。乗っていて大変勉強になったし、育ててもらった」と述べ、訓練時代の大変さなどを思い出しているようだった。

 入社30年という整備士の中本氏は、退役したQ300型機をカナダで受領した際の思い出話を披露。製造日は2007年1月20日で、整備士3名とパイロット1名を含むメンバーで11年前にカナダへ渡った当時について、「私が初めて受領した機体なので思い出深いし、感激した記憶がある」と振り返った。また、事前にマニュアルを読み込んで、9割方はQ100型機と共通の仕様なので理解しているつもりでいたが、「現地の整備士との言葉の壁で苦労した」と苦笑交じりに明かしてくれた。

 Q300型機は当時のJALグループの機材と同じアーク塗装が施され、退役まで塗り替えられることはなかったが、「この機体を見たお客さんからRACはJAL/JTAグループなんだと言ってもらえてうれしかったし、同時に身が引き締まる思いがした」と、塗装一つとっても思い入れの深い機材であると話した。

 CAの國仲氏は、Q100/300型機について「お客さまとの距離が近いので、(気持ちの面でも)距離を縮めることができる」機材だったと述べ、これにはCAの吉里氏も同意。また、多良間空港にQ100型機が就航していたころ、多良間の修学旅行生が39人乗りのQ100型機では乗りきれず、Q300型機を手配するために消防にかけ合うなどして実現できたことを振り返り、「生徒たちがすごく笑顔だった」と当時を懐かしんだ。

最後はQ300の思い出を語るトークショー
左から、進行を務めたCA 國仲愛梨氏、整備士 中本幸也氏、機長 二田晋弥氏、CA 吉里あかね氏
あいこの連続で盛り上がったじゃんけん大会
会場ではRACグッズの即売も