週末駅弁

浜松名物「浜の釜めし」

2色そぼろに鰻の蒲焼きが楽しめる素朴な味の釜飯

「浜の釜めし」

 駅弁のなかでも釜飯は、人気ジャンルです。釜飯は主に山の食材を使ったものが多いのですが、今回の釜飯は「“浜の”釜めし」です。さて、どんな海の食材を使っているのか、ちょっと期待が膨らみます。

 先に記事にした「しらす弁当」と同時に掛川駅での購入です。そのなかでも触れましたが、新幹線停車中にホームで購入したい場合には、浜松駅が停車時間が長めなのでお勧めです。しらす弁当と同じ創業1854年(安政元年)の老舗、自笑亭の弁当です。同社の駅弁は、掛川駅と浜松駅で手に入れることができます。

 釜飯らしくヒモで十文字に縛られています。容器はプラスチックです。かけられたラベル紙はレトロなデザインで、恐らくかなり昔から変わっていないのではないでしょうか。これを外すと、スプーンが現われます。箸は付いていません。ここで「中身はそぼろ系かな?」などと一瞬想像がかきたてられます。

釜の容器はプラスチック。スプーンが付いている

 フタを開けると予想的中、黄色い卵と鶏肉のそぼろで2色に分けられた釜飯が現われました。中央には、鰻の蒲焼きがひつまぶし風に切り分けられて、3切れ乗っています。海の食材は、浜名湖のある浜松らしく鰻でした。ほかには、レンコン、花形の人参、椎茸の煮物、栗甘煮、大根とシソの漬け物、紅ショウガ、グリーンピースが彩りよく並んで乗っています。

「浜の釜めし」の中身。メインの鰻のほか、彩りよく盛りつけられている

 全体の下に敷かれたご飯は、醤油味の国産米を使った炊き込みご飯でうっすら味が付いていますが、食材の味を邪魔するほどの味付けではありません。鰻の蒲焼きは、蒸してふっくらさせるタイプでなく、香ばしくパリっと焼かれていて、タレがしっかり染みて濃いめの味です。関東では珍しくなってしまいましたが、個人的には妙にフワフワしているよりも、風味が感じられるこちらが好みです。

 おかずが乗せられた側の下が鶏のそぼろになっていて、よく見るとゴボウも混ぜられています。煮物系はやや濃いめの味ですが、栗の甘煮は甘さ控えめ。全体的に見て、素朴な昔ながらの弁当の味を守っている印象があります。今となってはこういった味も貴重かも知れません。

切り分けられた鰻の蒲焼きが乗っている。香ばしくタレの味がシッカリ
卵のそぼろと炊き込みご飯
鶏のそぼろには、ゴボウも混ざっている
レンコン、人参、椎茸、栗甘煮、大根とシソの漬け物

 1000円を切る価格も手頃で、浜松の鰻もせっかくだから食べたいという希望もかなえられ、お得な感じがします。東海道新幹線の「こだま」、「ひかり」で浜松駅を通りかかったら、ぜひこの懐かしい味を候補に入れてみてください。とくに「こだま」では車内販売はなくなっています。停車時間が5分ある浜松駅にて、1000円札を握りしめてホームの売店へダッシュしてみてください。

浜松名物「浜の釜めし」

価格:970円
販売駅:掛川駅
購入場所:掛川駅南口改札「cafe de laugh」
購入日:2016年10月19日