ニュース

ジェットスター、セントレアを2018年春に拠点化。片道758円の記念セールも

中部国際空港を成田、関空に続く第3の拠点に。新LCCターミナルにも言及

2017年5月24日 発表

ジェットスター・ジャパンは2018年春をめどにセントレアを拠点化することを発表した

 ジェットスター・ジャパンは5月24日、2018年春をめどにセントレア(中部国際空港)を成田国際空港、関西国際空港に続く3番目の拠点とすることを発表した。

 ジェットスター・ジャパンは現在機材を21機保有しているがこれを28機に増やす計画で、東京、大阪、名古屋の三大都市の空港に拠点を置く唯一のLCCとして路線の拡充、利便性の向上を図っていくという。発表当日には、セントレアにおいてジェットスター・ジャパン 代表取締役会長の片岡優氏、中部国際空港 代表取締役社長の友添雅直氏が出席して記者会見を開いた。

成田、関空、セントレアと日本の三大都市をジェットスター・ジャパンの拠点に

ジェットスター・ジャパン株式会社 代表取締役会長 片岡優氏

 記者会見ではまずジェットスター・ジャパン 代表取締役会長の片岡優氏が、出席者や関係者への感謝を述べたあと、スライドと共にプレゼンテーションを行なった。

 同社はエアバス A320型機を21機保有、国内線は16路線を運航しており、いずれも日本のLCCでは最大という。そのうちセントレアからは、国内線は2013年3月31日に新千歳線と福岡線、そののちに鹿児島線、那覇線を開設。国際線は2015年12月に桃園(台北)線、2016年4月にマニラ線を就航、合計6路線を運航している。これらの路線もいずれも通年で搭乗率は80%以上で推移しており、「非常に好調」と紹介。また、東京の成田、大阪の関空、名古屋のセントレアと日本の三大都市で路線を展開する唯一のLCCであることも強調した。

中部国際空港の拠点化について、片岡会長がプレゼンテーションを行なった
ジェットスター・ジャパンは2011年9月に設立された、ジェットスターグループのLCC
エアバス A320型機を21機保有しており、これは日本のLCCとしては最大だという
国内16路線というネットワークは、日本のLCCとして最大
東京の成田、大阪の関空、名古屋のセントレアと日本の三大都市で路線を展開
セントレアから国内・国際線を運航する唯一の国内LCCであり、いずれも搭乗率は80%以上で推移しているという

 続いてセントレアの拠点化については、セントレアに機材を3機配備、事務所を開設してパイロット(運航乗務員)、CA(客室乗務員)、整備士が合計約100名常駐する規模からスタートしたいと概要を説明した。それに向けて今後、採用活動も始めるとのこと。

 そして拠点を置くメリットとして、3つのポイントを挙げた。1つ目は「スケジュールの利便性向上」。現状は成田と関空に拠点があり、例えば成田の機材は成田~新千歳線のあとに新千歳~セントレア線と運航することで、セントレアからの路線として運航している。そのためセントレアを早朝や深夜に発着するスケジュールが運用上難しい状況にある。

 これがセントレアに機材を配備することで早朝や深夜の発着が可能になり、利用客が目的地での滞在時間をより有効に使えるようになり、観光やビジネス需要に応え、利便性向上につながるという。

 2つ目は「運航品質の向上」。セントレアで機材に何か不具合があれば、成田から整備士を派遣して対応しているため、整備に余計に時間がかかったり、当日中に整備を終えられなかったりと、欠航や遅延のリスクが高まりやすい状況だという。

 整備基地をセントレアに設けることで時間のロスを最小限に抑えられるようになり、万一遅延してセントレアに到着しても、セントレアでの迅速な整備を経て、定時運航に戻して運用を続行することも可能になると説明した。

 3つ目は「事業計画の柔軟性向上」。この2つのメリットにより、運航スケジュールを柔軟に改編できるようになり、需要の増加に合わせて増便を行なったり、新規路線の開設を検討したりといったことが容易になる。また、セントレアを発着するチャーター便など市場や環境の要望に対応しやすくなると話した。

 セントレアを拠点に選んだ理由については、人口の多さや観光・ビジネス需要からみて、東京の成田、大阪の関空に続く日本の三大拠点、それが愛知県名古屋市であると説明。2020年に向けて東京だけでなく日本全体が盛り上がるなか、中部エリアでも外国人旅行者が増えることが見込まれ、リニア中央新幹線の2027年開通など交通インフラの整備も進んでおり、昇龍道に代表される観光需要喚起の大がかりな取り組みがあり、自動車関連メーカーだけでなく航空機関連メーカーなどビジネス需要のさらなる伸長もあるなど、中部エリアの特徴を挙げ、「地元企業や自治体、そしてセントレアさまとの協力を密にすることで、中部エリアのこれからの長い将来にわたるビジョンの実現に、微力ながら貢献させていただけたらと考えております」と話した。

 ジェットスター・ジャパンの事業計画としては、所有する機材を2019年までに既存の21機から28機に増やす予定であり、この事業拡大に合わせた拠点化づくりであるという。セントレアで計画されているLCCターミナルについて、同社が利用することになるか具体的なことは未定としたうえで、「今後話が進むなかで、コスト的にも施設的にも有効なものであれば、ぜひ積極的に検討させていただきたい」とした。

 ちなみにセントレアに配備する予定の3機の内訳は今後の計画のなかで納入予定の2機と既存の1機で、いずれもエアバス A320ceo型機となる。エアバス A320neo型機については「今後は導入を検討していくことになると思うが、詳細は決まっていない」と説明した。

 プレゼンテーションの最後にセントレア拠点化の発表を記念したサプライズ企画として、セントレアを発着する6路線について、片道運賃758円というセール価格で5月25日10時から発売すると発表した。758円は「ナゴヤ(758)」にちなんだもので、6路線それぞれ200席ずつ、全1200席を用意する。

ジェットスター・ジャパン、セントレア拠点化記念セール

片道運賃:758円
対象路線:セントレア発着の新千歳(札幌)/福岡/鹿児島/那覇/桃園(台北)/マニラの6路線
販売期間:2017年5月25日10時~26日10時
対象搭乗期間:2017年8月31日~10月26日
対象座席数:1200席(各200席×6路線)

セントレアに拠点を置く3つのメリット
中部エリアのさらなる発展に寄与したいと説明
セントレアに拠点を置く記念として、片道運賃758円というセール価格を5月25日10時から発売する

中部エリアのLCC市場の開拓・拡大に期待

中部国際空港株式会社 代表取締役社長 友添雅直氏

 続いて中部国際空港 代表取締役社長の友添雅直氏が、「中部国際空港は、これからますます地域に貢献できる空港として発展していこうと努力を続けているところでして、ジェットスター・ジャパンさまが拠点化していただけることは、大きな弾みになると思っており、心から感謝と敬意とお礼を申し上げます」と挨拶。中部エリアでのLCCの潜在マーケットはまだまだあり、その開拓・拡大の大きなきっかけになると期待を寄せた。

 そして「ジェットスター・ジャパンさまのマスコットキャラクター『ジェッ太』くん、セントレアのマスコットキャラクター『なぞの旅人フー』くん、この2人は名コンビであると言われるよう、弊社も精いっぱいの努力、後押しをさせていただきますので、応援いただければと思います」と話した。

 発表されたばかりのLCCターミナルについては、「セントレアが発展していくための非常に重要な設備投資」と説明。LCCターミナルとしては後発になるものの、それによっていろいろな課題、ニーズの発見があるなかで計画を進められており、利用客にとって「非常に利便性が高く」、航空会社にとっても「将来の拡張性を確実に担保したLCCターミナル」であると紹介。「ジェットスター・ジャパンさまにも将来このターミナルに入っていただければ」と片岡会長に笑顔で語りかけ、挨拶を終えた。

握手を交わすジェットスタージャパンの片岡会長(左)と中部国際空港の友添社長(右)