ニュース
「変なホテル 舞浜 東京ベイ」が千葉県浦安市にオープン
ロボット受付でエンタテイメント性を高めたホテル、今後5年間で100軒展開
2017年3月16日 16:24
- 2017年3月15日 オープン
H.H.H.(H.I.S.ホテルホールディングス)は3月15日、千葉県浦安市に「変なホテル 舞浜 東京ベイ」をオープンした。「変なホテル」は最新技術のロボットを導入し、エンタテイメント性を高めたホテル。2015年7月に長崎のハウステンボスに初号棟を開業し、「初めてロボットがスタッフとして働いたホテル」としてギネス世界記録に登録された。今回オープンした「変なホテル 舞浜 東京ベイ」は、「変なホテル」として2棟目となり、6階建てで客室数は100部屋。
「変なホテル 舞浜 東京ベイ」は、大型テーマパークがすぐ近くにあるという立地で、テーマパークへの来訪客を中心に、ファミリー層や修学旅行の学生、カップル、女子旅といった目的での利用客を想定。テーマパークのイメージ、ホテルへの期待度を裏切らないように、レストラン、ホテル館内の至るところでエンタテイメント性、満足度を高めているという。オープン時点で9種類、約140体のロボットが稼働している。
ロビーは、木々がうっそうと繁り、ジャングルのような雰囲気。1/1スケールのティラノサウルス模型が出迎える。このティラノサウルスが象徴するように、ホテル全体のモチーフが恐竜となっている。また、ロビーには水槽があり、そこではロボットの魚が優雅に泳いでいる。この魚ロボットは、ホテルとしては関東初の導入となる。
フロントは、2体の恐竜ロボットがチェックイン・チェックアウトを行なう。日本語だけでなく、英語、中国語(簡体)、韓国語の4カ国語に対応する。海外からの宿泊客は、パスポートをセンサーにかざすとチェックインができる。ロボットのアナウンスに従って音声認識やタッチパネルを利用しチェックインを進めると、ルームキーが自動で用意される。
客室は、スタンダードツイン、スタンダードダブル、スタンダードトリプル、コーナーツイン、コーナートリプルの5種類。2名~4名で利用できる。花火などがよく見える景観のよい高階層スタンダードツインは別プランとなっている。「寝るまではスペースを広く、就寝時はベッドを広く」というコンセプトで、展開しやすいソファベッドをエクストラベッドとして用意している。ピッタリとベッドに付けて、1つの巨大なベッドのように使うこともできる。
すべての客室に、客室ロボット「Tapia」が設置され、室内の照明、エアコン、テレビなどの操作など、滞在をサポートする。Tapiaは「変なホテル」1号棟にもすでに設置されているが、この2号棟に導入されたTapiaは、AI(人工知能)を搭載し、宿泊者の顔と名前の認識や、接し方によって応答を変化させることができるように進化している。また、人の手の形を識別することで、ジャンケンなどの遊び機能も搭載する。
ベッドは、ホテル業界で初めて、新幹線のグリーン車シートにも使用されている東洋紡が開発したマットレスを採用した。体圧分散性や通気性に優れ、堅めの寝心地が特徴。バス・トイレは完全セパレートで、浴室は洗い場もあり、小さな子供がいるファミリーでの利用に快適だという。浴槽は、大人が疲れた足を癒やせるように、深くて幅の広いバスタブを採用している。
一部の客室には、日本のホテルとして初めてクローゼット型クリーニング機を導入した。コート、ぬいぐるみ、スーツやワイシャツなどを洗濯できる。
オープニングセレモニー
オープン当日の10時より、H.I.S.(エイチ・アイ・エス)代表取締役会長兼社長 澤田秀雄氏、H.H.H.代表取締役社長 平林朗氏、変なホテル 舞浜 東京ベイマネージャーの長井超生氏らが来賓と登壇し、オープニングセレモニーが開催された。
H.I.S.の澤田氏は、「“変なホテル”は、決して変ではなく、変化し進化する、という意味がある」と切り出した。「さまざまな業務にロボットの技術を使うことで、世界一生産性の高いホテルを目指した結果がロボットホテル」と説明した。
澤田氏はまた、「今も1号店は実験を重ね、当初30人いたスタッフも、現在は7人で運営している。2号店である“変なホテル 舞浜 東京ベイ”も、最初から7人で始める。これからは、人材難。若い人材が減っていく。この新しいビジネスモデルを将来、世界に展開していこうと考えて作られた」と、少人数で運営するホテルを始めた経緯を説明した。
続いて、浦安市 副市長の中村健氏が登壇し、「浦安市はコンパクトな行政。16.98km2しかないなかで、このホテルを含め、ホテルの客室数が1万に到達するような状況」と、浦安市にホテルが増えている状況を説明。少人数で運営しているという澤田氏の挨拶を受けて、「雇用の増進にも尽力していただきたいと小さい声でお願いした」と会場の笑いを誘った。
立教大学で日本で最初に観光学科を作ったという日本総合研究所名誉会長の野田一夫氏は、「変なホテルを作ったと聞いて、ハウステンボスに見学に行ってびっくりした。変なホテルは、長いホテル業界の歴史のなかで革命」と、観光に長く携わっている立場からも「変なホテル」を評価した。
H.H.H.の平林氏は、挨拶とともに事業計画として、「今後、H.H.H.は日本だけではなく、世界にホテル事業を展開していく」と説明した。現在、H.H.H.では、この「変なホテル 舞浜 東京ベイ」を含めて13軒のホテルを所有。2017年の計画で30軒、2021年には100軒のホテルを運用する考えを発表した。
国内展開エリアは、東京、大阪、京都。中国、台湾、東南アジア、オセアニアに、今年から来年にかけて進出していく。展開方法は、自社建設・自社運営のほか、リースやフランチャイズ契約などを含むマネージメント契約、M&Aといった3つの手法を組み合わせていくという。
展開するブランドとして、ロボットや最新技術を投入してエンタテイメント性を追求した「変なホテル」、オーストラリアやバリ島、長崎、札幌で展開している既存ブランドの「ウォーターマークホテル」のほか、都市型のローコストホテルとしての「変なホテル(ビジネスユース)」が追加される。「変なホテル(ビジネスユース)」は仮称で、ビジネス需要に特化し、出張などで利用しやすいブランドとなる。
直近の展開としては、8月に愛知県蒲郡市にあるテーマパーク「ラグーナテンボス」に3軒目の「変なホテル」をオープンする。ここでも新たな技術を導入する予定で、この3つのホテルの運営、実証実験からそれらをシステム化し、5年後をめどに世界で1000件前後のシステム導入(販売)を目指す。平林氏は最後に、「既存のホテル業界にはなかったビジネスモデルを提供することによって、ホテル界のゲームチェンジャーになることを目指す」と締めた。
最後に「変なホテル 舞浜 東京ベイ」ホテルマネージャーの長井超生氏がホテル概要を説明し、登壇者らでテープカットが行なわれた。「変なホテル 舞浜 東京ベイ」は、客室単価2万円、稼働率80%強を目標としているが、すでに予約が好調で、稼働率は達成しているという。