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広島県知事 湯﨑英彦氏とサイボウズ社長 青野慶久氏が「第1回広島地域クラウド交流会」で対談

「瀬戸内は世界一の観光地になれる」と湯﨑知事

2017年2月25日 開催

「第1回広島地域クラウド交流会“せとうちツーリズムイノベーション”」で対談を行なった、サイボウズ株式会社 代表取締役社長 青野慶久氏(左)と、広島県知事 湯﨑英彦氏(右)

 2月25日、広島県庁内で「第1回広島地域クラウド交流会“せとうちツーリズムイノベーション”」が開催された。このイベントは、クラウドシステムを活用して各地域における観光提案をサポートし活性化、新しいビジネスにつなげていこうというもの。クラウドシステムを提供するサイボウズが各地域で行なっているもので、中国地方では初の開催となる。主催はせとうちHolics(ホリックス)、共催は経済産業省中国経済産業局、せとうち観光推進機構(兵庫県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県が参画)、後援は広島県、協賛はサイボウズ。

 具体的には、地域の参加者が観光プレゼンテーションを持ち寄り、一般参加者などの前でプレゼンテーション。一般参加者は参加費(1000円)を払って参加しており、気に入ったプレゼンテーションに投票すると、プレゼンテーターはその投票数に応じた参加費の分配を受けることができる。つまり、一般参加者は気に入った観光プレゼンテーションを投票という行為によって金銭的に支援することになる。顔の見えるクラウドファンディングであり、この地域交流会にはサイボウズのクラウドシステムである「kintone」が使われている。

 また、プレゼンテーターと一般参加者が同じ場に集まるため、ビジネスマッチング的な側面もあり、地域のビジネス創業を支援する取り組みとなっている。

 そのオープニングセッションとして、広島県知事 湯﨑英彦氏、サイボウズ 代表取締役社長 青野慶久氏による対談が行なわれたので、本記事で紹介する。

 湯﨑知事は1990年に通産省に入省。2000年にアッカ・ネットワークスを設立し代表取締役副社長を努め、その後退任。2009年にからは広島県知事として活躍している。

 サイボウズの青野氏は、瀬戸内海を挟んで広島県の対岸となる愛媛県今治市生まれ。1997年にサイボウズを愛媛県松山市に設立し、取締役副社長に就任。2005年4月より代表取締役社長を務めている。

ルールではなくビジョンが大切と語る青野氏

対談は広島県庁内で行なわれた。来場客は広島県内の人が多く、青野氏のプロフィール紹介から対談は始まった

 広島県庁内で行なわれたイベントであり、広島県内の参加者が多いことを配慮してか、湯﨑知事は青野氏が瀬戸内出身であり、広島と地理的に近い愛媛県出身であることを紹介。青野氏も、子供のころは広島ホームテレビなど広島のテレビ番組をよく見ていたと語り、広島の文化と愛媛の文化が近いことを伝えていた。

 対談では広島県の観光をどう盛り上げていくかが語られ、双方で昔と今の瀬戸内の違いについて言及。湯﨑知事は、「廿日市生まれで、五日市育ち。小さいころの瀬戸内のイメージは“汚いな”というのがあった。ドブ川が流れていて、ボラとかがピチピチ跳ねていた」という状態から、「今は瀬戸内がキレイになりすぎて、実はサカナが困っているという話もある。生活排水などは浄化しているため、栄養がなくなり、サカナが減っているという話もある」と、大幅に変わってきていることを紹介。青野氏も、「今治は今治タオルが有名で、川には染料が流れていて、それほどきれいではなかった」と子供時代を語り、今はまったく異なっているという。

 そこからしばし瀬戸内の魚談義となったあと、魚の食文化へと言及。たとえば、広島と岡山と愛媛と高松ではよく食べる魚の種類が違い、この違いが大切だと湯﨑知事は強調。「愛媛の観光名所といえば、道後温泉。広島だと宮島、香川は金比羅さん。これをどう使うかがカギだと思っている。これまでは観光も画一的なアピールをしてきた。これからは、瀬戸内の多様性をいかに世界の人にアピールしていくかだと思っている」(湯﨑知事)と語り、観光プロモーションの改善点は多く、瀬戸内に面する7県が協力していくことで新しいアピールをしていくことが必要だという。

 それを受けて青野氏は、「(瀬戸内を)東京や大阪と異なる観光地としたいですね。外国から人が来てものを購入していく、それで競争しても勝てないので」「そこでポイントになるのが掛け合わせですよね。Aというのがある、Bというのがある。で、AとBを掛け合わせたときに一気に希少化する。たとえばクラウドを知っている人、農業を知っている人はいるけど、クラウドと農業両方知っている人は少ない」といい、瀬戸内の希少価値をどう作り出していくかがポイントになるという。

魚の食文化談義から対談は盛り上がりを見せる。青野氏のビジネス手法や、湯﨑知事がIT会社経営陣だった時代のイベントなど、ITの手法を観光ビジネスに採り入れることが必要だという

 そしてそれらさまざまな人を結びつけ、掛け合わせをしていくためにはビジョンが必要という。青野氏は、「バラバラな人をつなぎ合わせるのはビジョンしかないというのが私の経営理念。ビジョンがなければバラバラになってしまう。バラバラをつなぎ合わせるのは、ルールではなくビジョン。今までの日本はルールで縛り付けていた」と、サイボウズの社内文化を紹介。そのビジョンを大切にする文化をどう作っていくかが必要であるとした。また、「今回、すごいのは7県連携していること。これがフラットでオープンでいい。知事が言われていますが、オレはこういうのがいいよね、おれはこういうのがいいよねというのがいい。オレのいうことを聞けという縦の関係ではなく、横の関係での掛け合わせがいい」と、瀬戸内7県の取り組みを評価。何かが生まれることへの期待を述べた。

 湯﨑知事は、「瀬戸内のビジョンは、海と島と山に育まれた景観。古来からあらゆる文化が瀬戸内を流れて京都へという歴史がある。江戸時代が終わり、陸の交通になるまで海の交通を担った文化がある。“瀬戸内は世界一の観光地になれる”というのがみんなに信じてほしいビジョン」だとし、それをどうビジネスにつなげていくかが大切だと、自身が考えるビジョンを紹介。この広島地域クラウド交流会は、各自が観光振興のアイデアを持ち寄り、そのような共通ビジョンを持って取り組むことで何かを生み出せればと、交流会の成果に期待した。

 地方の観光振興で最も大きな力を持っているのは行政の取り組みだが、湯﨑知事はそのような行政だけの取り組みでだけではなく、県民一人一人のアイデアが大切だとし、その一人一人のアイデアを育てていくためにサイボウズの持つICT(Information and Communication Technology)が必要という。