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宮城県の航空自衛隊松島基地で6年ぶりにブルーインパルス復活!
震災後初の航空祭「松島基地復興感謝祭2016」開催
2016年9月3日 00:00
- 2016年8月28日 開催
宮城県の航空自衛隊松島基地で8月28日、「松島基地復興感謝祭2016」が開催された。2011年3月11日の東日本大震災で被災した同基地の復興を記念して開催された航空祭。通常行なわれる航空祭は一般入場が自由だが、今回は全国から抽選で選ばれた1万名のみを対象としたイベントとなった。
松島基地は東日本大震災で津波により大きな損害を受けた基地で、Car Watchでも当時の様子を取材し、レポートしている。
松島基地は航空自衛隊のアクロバットチームである「ブルーインパルス」が所属する第11飛行隊が置かれていることで知られるが、戦闘機のパイロットを養成するための第21飛行隊も置かれている。パイロットとなるべくして入隊した隊員が戦闘機のパイロットとしてより高度な技術を習得するための部隊で、復座型戦闘機「F-2B」に搭乗して戦闘機の実戦的な技術を学ぶ場となっている。松島基地は未確認機に対してスクランブルを行なう戦闘航空団が所属する実戦部隊ではないが、未来のファイターパイロットを養成する重要なポジションにある基地だ。
なお、ブルーインパルスのパイロットはこうした課程を経て戦闘航空団に配属され、さらにパイロットとして経験を積んだうえで選抜されるエリートで構成される。
震災直後、松島基地は津波に襲われ、基地内に駐機していたF-2Bをはじめとする機体は、津波に流されるなど損害も多く、復旧には時間がかかった。不幸中の幸いだったのはブルーインパルスは偶然、九州新幹線の祝賀飛行のために福岡県の芦屋基地に展開していたため無事だったことだ。
損害が軽微だったブルーインパルスが所属する第11飛行隊は2013年3月30日に松島基地に帰還を果たし、訓練飛行や全国各地で開催されたイベントなどでのアクロバット飛行を再開したが、その間、松島基地での航空祭は自粛されていた。
そして2016年3月30日、これまで三沢基地を仮住まいとして訓練をしていたF-2Bを主力とする第21飛行隊もようやく同基地に復帰して松島基地での訓練を再開。ならびに津波対策として4mかさ上げをしたエプロン地区(駐機場)も完成し、松島基地は復興を遂げた。基地周辺には長大な防潮堤も建設されており、これらと連携することで基地が防潮堤の一部として機能し、防災効果を高めているという。
今回のイベントはあくまで「松島基地復興感謝祭」ということで、正式な航空祭ではなく、基地の復興にあたって、地元や関係部署への感謝を表わすためのイベントとされている。新規に作られたエプロン地区を使って開催するということもあり、まずは規模を縮小して開催することになった。規模が小さいとはいえ、基地に所属する機体が展示飛行を行なうのは通常の航空祭と同じ。震災以前、松島基地の航空祭は毎年8月下旬に開催されていたため、航空祭が開催されたのは2010年の夏が最後で、実に6年ぶりの“航空祭”となった。
感謝祭当日の8月28日はあいにくの曇天であったが、雨が降ることはなく、イベントは滞りなく実施された。感謝祭では松島基地に所属するブルーインパルスによる展示飛行はもちろん、戦闘機「F-2B」をはじめ、松島救難隊や消防庁のヘリによる放水デモなどが披露された。
展示飛行の合間には、航空学生(パイロット候補生)によるファンシードリルの演技や、原付オートバイを使った「ブルーインパルスジュニア」の演技なども実施された。ファンシードリルとは、銃を持った隊員が音楽に合わせて行進し、さまざまな動きを披露するもの。自動小銃を軽々と扱う自衛官らしいキビキビとした動作が特徴だ。
ブルーインパルスジュニアはブルーインパルスの機体を模した改造をした原付オートバイを使った、ブルーインパルスのパロディ的な演技を行なうチーム。松島基地所属の有志隊員によるチームで、全国各地の航空自衛隊基地で行なわれる航空祭で展示“走行”を行なっており、自衛隊らしからぬゆるいナレーションと、意外にマジメな演技で親しまれている。
そのほか、格納庫内では屋内展示も行なわれた。戦闘機の武装や各種装備品の展示、戦闘機などに搭載されている射出座席へ座っての記念撮影や、F-2Bコクピットの見学など、普段はなかなか見ることのできない展示が多く、いずれも行列ができていた。
なお、2017年の開催については、本来の航空祭にするか、2016年と同じように限定的な開催になるか現時点では不明で、例年3月以降に発表される航空自衛隊のイベントスケジュールを参考にしてほしい、とのことだった。