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【旅のプロに聞く韓国】HISの担当者が教える韓国の最新事情とお勧めエリア
2023年1月26日 06:00
各国が水際対策を緩和し、日本も2022年9月初旬からワクチン3回接種を条件に帰国時のPCR検査や陰性証明書の提出が不要になった。10月からは訪日旅行が本格的に再開し、海外路線の増便などにより、海外旅行に行く人も増えている。
トラベル Watchではそんな海外旅行を応援するため、旅行会社のプロフェッショナルに各国への渡航の現状やお勧めスポットを聞いていく。
韓国はビザなし・隔離なしで旅行が楽しめる国の1つ。コロナ前から人気の高い旅行先だったが、HIS(エイチ・アイ・エス)が例年発表している「年末年始海外旅行予約動向」で、2022年はソウルが11年ぶりにホノルルを破って1位に返り咲くなど、人気が沸騰中だ。今回はその韓国について、HISの海外旅行事業部で韓国パッケージツアーを企画担当する森理紗子さんと山田大二さんに、韓国の現状や最新のホットスポット、旅行のコツなどを聞いた(敬称略)。
――まずは韓国旅行の現状を教えてください。
森:2022年7月まではビザが必要だったため、日本からのお客さまはVFR(知人・家族訪問)がほとんどでしたが、8月に韓国が日本からの入国者はビザなしで入国できるような暫定措置を行ない、状況が変わりました。
実は、HISでは6月時点で「ビザが取れれば韓国に行けるので、8月からツアーを再開しよう」と決めていたので、ちょうどよいタイミングでした。このためスムーズにツアーの露出ができ、ツアーを再開することができました。
山田:10月下旬に、11月1日から日本国籍の方はビザなしで渡航可能と確定しました。このため11月から渡航するお客さまが急激に増えています。HISでは現在「初夢フェア」を実施していて、2019年よりは少ないですがかなり予約が入ってきています。
――旅行者の傾向はコロナ前と比べると変化しましたか?
森:ツアー再開直後に多かったのは、時間と金銭的に余裕がある50~60代の母と、20代の娘のような親子の参加です。当時30代、40代の働き盛りの方々は会社との兼ね合いで海外旅行に消極的だったように思います。11月以降は若い方も多くなりました。年末年始は幅広い層のお客さまが来ています。
渡航目的としてはコロナ前と同様、K-POPコンサートをはじめとしたイベントやショッピング需要が高いです。BTSの事務所や聖地巡りも相変わらず人気です。
――韓国に行くにあたって必要な手続きを教えてください
森:出発前72時間までにK-ETA(韓国電子旅行許可制度)を登録し、渡航許可を得ることと、渡航前に「検疫情報事前入力システム(Q-CODE)」に登録する必要があります。K-ETAについてはパスポート番号が違うと空港のチェックインカウンターで申請し直しになるので、間違えないよう注意が必要となります。
HISの店舗にてお申し込みの場合は出発の流れや必要な手続きを書いた書類をお渡ししています。オンライン上の場合はメールで、手続きを忘れないようフォローアップしています。
繁華街は夜まで営業。タクシーは掴まえるのが難しくなった
――韓国での旅行中に気を付けるべきことはありますか?
森:コロナ前と違い、流しのタクシーが激減しました。現地の人々はアプリでタクシーを呼んでいますが、韓国に住んでいないとアプリでの予約は難しいのが現状です。流しのタクシーはほぼないので、夜遊びをして電車がなくなった場合にタクシーを呼ぼうとしても今は難しいですね。そういう場合は空港や大きい駅でタクシーに乗るか、ホテルで呼んでもらうことをお勧めします。
ちなみにソウルについてはレストランや商業施設は割と遅くまでやっています。一時期さびれていた明洞(ミョンドン)も屋台が出てきて以前の様子を取り戻しつつあります。東大門(トンデムン)のナイトショッピングは健在です。
現在は円安ですが、韓国のウォン安でもあります。レートとしてはコロナ前よりはややわるく、物価は食品を含めて多少値上がりしていますが、ハワイなどに比べると過ごしやすいですし行きやすいです。
――ホテルや航空券の予約に変化はありましたか?
森:コロナ前にあったホテルが閉まるなどでホテル数は減少しましたが、コロナ前から計画していたホテルが完成し、徐々に数は増えてきています。ただし、従業員不足などで100%稼働できていないホテルもあります。
ホテルの予約は欧州や東南アジア需要の高まりを受け、12月は取りにくかったですが1月以降はそこまでではありません。ただし、明洞などでは一部のホテルがすでに埋まっているので、よいところに泊まりたいのであれば、早めに予約した方がよいと思います。特に日系ホテルはコストパフォーマンスがよいと好評です。
航空座席については各航空会社が増便したことで、ほぼほぼコロナ前レベルに戻ってきています。1月にはJALが羽田~金浦線をコロナ前の1日3便に戻しましたし、12月23日にはコロナ前には日本未就航だったエアプレミアが成田~仁川線を新規就航しました。韓国系航空会社も増えてきているので、今後はコロナ前よりも座席が増えるのではないかと思います。
こうした増便は旺盛な訪日需要も一因ですが、韓国と日本では人気の時間帯が真逆なので、席の取りにくさは今のところありません。
――韓国でお勧めの過ごし方や訪問先を教えてください。
森:韓国では「ニューレトロ」が流行っています。昔の建物や工場、倉庫をリメイクしたおしゃれなカフェがブームです。聖水洞(ソンスドン)や明洞近くの乙支路(ウルチロ)のカフェでお茶をするのが今の流行です。
初心者向けにはやっぱりソウルで、明洞に泊まり、地下鉄や徒歩圏内で行けるスポットを巡るのがお勧め。東大門でショッピングやナイトマーケットを楽しんだり、益善洞(イクソンドン)で韓国の伝統家屋「韓屋」をリメイクしたカフェに入ったりして楽しめると思います。ソウルの地下鉄は番号が振ってあるので分かりやすいですし、日本語表記があるので個人で移動もできます。
リピーター向けには、2022年5月に74年ぶりに一般開放された韓国の大統領府だった「青瓦台」がお勧めです。前大統領が執務をしていた場所で、執務室や官邸などを見学できます。今までは韓国人需要が高過ぎて予約が全然できませんでしたが、ようやく落ち着いてきました。
釜山についてはコロナ前とあまり変化はありませんが、10月にBTSがコンサートをしたことで日本における知名度が上がってきた気がします。今後の釜山の需要増加に期待しています。
2か所の現地支店で旅行者をサポート。ツアーデスクも
――旅行会社を使って韓国に行くメリットは何だと思いますか?
森:HISにはソウルと釜山とチェジュに現地支店があるので、お客さまの滞在中のサポートができますし、何かあったときに24時間対応できます。この2年半、コロナの影響で海外旅行に行けず、久々に海外旅行する人も多いでしょうし、初めて韓国に行くという人も多くいらっしゃいます。旅行に不慣れな人が増えたなか、リアル店舗があるのはお客さまの不安が解消でき、大きなメリットになると思っています。
山田:ソウルに関してはロッテ ホテル ソウル内にHISのツアーデスクがあります。オプショナルツアーも販売しています。
森:コロナにかかった場合のサポートも行ないます。お客さまの体調を毎日お伺いしながら、保険や帰国の航空券の手配などをサポートしています。お客さまアンケートなどでもご好評いただいています。
これから学生旅行シーズンを迎えるにあたり、若い方でワクチンを接種していない方もいると思われますが、その場合は帰国前にPCR検査を受けなければなりません。HISではオプショナルツアーサイトでPCR検査の事前予約ができるので、ご活用いただければと思います。
――最後に、HISお勧めの韓国商品を教えてください。
森:先ほどご紹介した青瓦台を訪問する半日観光商品が一押しです。青瓦台は事前に予約しないと入れないのですが、外国人は事前予約の際に携帯番号が必要なためハードルが高くなります。
HISではもちろん建物内に入ることができますし、昼食に2023年ミシュランガイドのビブグルマンに選ばれた「三清洞(サムチョンドン)スジェビ」で韓国風のスジェビ(すいとん)ランチが楽しめます。
担当者のイチオシ「ワウパスカード」
森さんが「韓国旅行の際にぜひ活用してほしい」と勧めるのが2022年7月に始まったばかりの「WOWPASS(ワウパス)」と呼ばれるプリペイドカードだ。
空港や駅、主要な観光地やホテルなどにあるWOW EXCHANGEの無人両替機を使って円でチャージできるカードで、どこでも韓国ウォンで決済できる。自動的に両替が可能で、森さんいわく「レートもわるくなくて便利。海外でクレジットカードを利用したくない人や、クレジットカードを持っていない学生さんにはお勧め」とのこと。モバイルアプリで決済内容や残高の確認もできるので便利だ。
さらにこのカード、T-money(交通カード)機能も付いているので地下鉄に乗ることが可能。加えて韓国各種ブランド購入時、最大で20%還元するという。使い終わったあとは無人両替機で残額を出金できる。韓国旅行の際にぜひ活用してもらいたい。