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JR東日本と西武HD、ワーケーションや移住トライアル、まちづくりなど働き方・暮らし方で連携。池袋、高田馬場ほか2社結節駅で共同開発も

2020年12月23日 発表

JR東日本と西武HDが包括的な連携を行なっていくことを発表

 JR東日本(東日本旅客鉄道)と西武HD(西武ホールディングス)は12月23日、都内で合同会見を開き、2社間で包括的な連携を行なっていくことを発表した。

 新型コロナウイルスの影響で価値観や生活様式に変化が生まれたことを契機に、両社の資産を組み合わせて新しいライフスタイルを作ること、地方創生を進めることを掲げている。

 具体的には、ワーケーションの浸透・拡大とステーションワークの拡大を目指す「新しい働き方・暮らし方の提案」、MaaS活用や駅周辺など拠点開発を推進する「まちづくりに向けた長期的な連携」、マルシェなどイベントの共催やMICEによる地方創生など「沿線活性化に向けた連携」という3つの柱を設定した。

 例えば、ワーケーションにボランティア活動を取り入れて、西武グループのプリンスホテルに宿泊しながら、いちご農園で農業体験を行なうといったプランを法人向けに提案する。外資系など一部の企業では勤務時間の何割かをボランティアに充てている場合があり、そうした企業とモデルケースを構築していくという。地域貢献につながるだけでなく、参加企業にとってもSDGsの取り組みとしてブランド価値の向上を目指せるとしている。

 設定時期や料金などもすでに決まっており、いちご農園(軽井沢ガーデンファーム)のボランティアは2021年2月から実施予定で、宿泊先は軽井沢プリンスホテル。短期滞在(3~6泊)は1泊1室1万6000円~、中期滞在(7~27泊)は同1万5000円~、長期滞在(28~31泊)は同1万3000円~という具合になっている。

 将来的に地方への移住を検討している人向けに実際の住環境を体験してもらう移住トライアルプランも展開する。JR東日本の新幹線チケット・レンタカーとプリンスホテルの宿泊を組み合わせるもので、レンタサイクルやゴルフなど体験を楽しむためのアクティビティを用意するほか、移住アドバイザーが移住にまつわる不安や疑問などの相談に乗る。

 まちづくりの視点では、ワーケーションの舞台として挙げた軽井沢において「観光にも生活にも使える地域の足」として観光・地域型MaaSを展開したり、2024年度にJR東日本がまちびらきを目指している品川再開発での都市型MaaSといった例を示すほか、池袋や高田馬場など両社の結節点6駅に代表されるようなエリアにおいて、それぞれ単独で進めてきた店舗開発などを共同で行なっていく。

 沿線の活性化では、新幹線を活用した生鮮食品などの輸送と、駅(高輪ゲートウェイ駅、石神井公園駅)での直売を組み合わせたマルシェイベントを共催したり、JR東日本とプリンスホテルのノウハウを活かしてMICEを地方分散開催したりといった取り組みを予定しているほか、JR東日本スタートアッププログラムで最優秀賞を受賞した企業が手がける非対面決済端末をプリンスホテルに導入する、などのスタートアップ企業を巻き込んだ連携も予定している。

 会見に登壇したJR東日本 代表取締役社長の深澤祐二氏は、コロナ禍の「集中から分散、マスからパーソナルへ」という生活様式の変化を捉えて、JR東日本が得意とする新幹線に代表される長距離輸送と西武HDが得意とするホテルやレジャー施設が組み合わさることで、自分たちだけではできなかったことが実現できる、とこの連携に期待を寄せた。

 また、西武HD 代表取締役社長の後藤高志氏は、すでに具体的なプランが動き出しているなど今回の連携で特に力が入っているように見えるワーケーションの取り組みについて、プリンスホテルがこれまで受け入れてきた利用者はのべ1万人弱で、特に軽井沢、箱根、京都が多いと説明。本連携での数値目標は現時点では設定していないとしつつも、苗場や雫石などに広げていくことで、それなりの規模感が出せるのではないかという。

東日本旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 深澤祐二氏
株式会社西武ホールディングス 代表取締役社長 後藤高志氏