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アメックス、プラチナカードのサービス拡大。「クレジットカードは人生を豊かにするための投資」と清原社長
メタルカードを10月15日から既存会員にも発行
2018年10月2日 17:30
- 2018年10月2日 実施
アメリカン・エキスプレスは10月2日、都内で会見を開き、「プラチナ・カード」のサービスを全面的に刷新、その概要を紹介した。これまでプラチナ・カードは自社Webサイトなどでもサービス詳細をあまり明らかにしていなかったが、大きく方針を転換したことになる。
プラチナ・カードは1984年に米国でサービス開始、日本では1992年に導入している。部屋のアップグレードなど世界中のホテル/リゾートにおける特典や、チケット/レストランの予約といった手配を個別に行なうコンシェルジュの設置など、カード保有者へのサービスが手厚いことで知られている。年会費は13万円+税。
新サービスでは、まずプラチナ・カードの「メタルカード化」を実施する。発行は10月15日から。既存会員も申し込みによってメタルカードへ切り換えることができる。
券面は、従来のプラスチックカードにあった表面のカード番号や姓名、カード期限の刻印を廃止し、裏面に彫り込む仕様になる。家族カードは4枚まで無料発行(計5枚)だが、メタルカードは本会員の1枚のみ。また、カード表面の右に表示されているアイコンから分かるように「コンタクトレス決済」にも対応する。コンタクトレス決済は“国際規格に完全準拠”としており、その例として英国ロンドンの地下鉄(London Underground)では、本カードをタッチするだけで乗車でき、事前の手続きやきっぷの購入などの段階を省略することができる。
旅における利用シーンでは、アメリカン・エキスプレスが運営する会員専用の空港ラウンジ「センチュリオン・ラウンジ」を無料で利用できる。センチュリオン・ラウンジは米国を中心に9か所(ヒューストン、シアトル、サンフランシスコ、ラスベガス、ダラス、マイアミ、ニューヨーク(ラガーディア)、フィラデルフィア、香港)で展開しており、著名シェフによる料理やバーの提供、リラクゼーションスペースやキッズスペースなどを設けている。なお、センチュリオン・ラウンジは2019年にニューヨーク(JFK)とロサンゼルスにも新設される予定という。
宿泊では、同社が毎年厳選した1000軒以上のホテルで特典を提供する「ファイン・ホテル・アンド・リゾート(FHR)」を用意。プラチナ・カード会員なら、対象施設で「16時までのレイトチェックアウト」「2名までの朝食サービス」「館内で使用できる100ドルのホテルクレジット」「部屋のアップグレード」「12時からのアーリーチェックイン」「ホテルのオリジナル特典」といったサービスを受けられる。国内の例として「アンダーズ東京」「パレスホテル東京」「ザ・リッツ・カールトン東京」「セントレジスホテル大阪」などを挙げた。
FHRの対象施設は、利用者への聞き取りや同社職員の調査によってサービスの状況を追跡しており、例えば「16時までのレイトチェックアウト」「2名までの朝食サービス」などは「部屋に空きがあれば」といった条件付きではなく、確実に履行されるサービスとして同社が保証している。
ほかにも、「スターウッド・プリファード・ゲスト ゴールドエリート」「ヒルトン・オナーズ ゴールド会員」「ゴールデンサークル ジェイド会員」「Radisson Rewards ゴールド会員」など、通常は年間数十回以上の宿泊などが条件になっている大手ホテルチェーンの上級会員資格も、プラチナ・カードを所有するだけで獲得することができる。
食における利用シーンでは、日本国内の予約の取れないレストラン(年間約50店舗)を同社が貸し切り、カード会員向けに案内する「Fine Dining 50」や、国内約200のレストランで2名以上で予約すると1名分のコース料金が無料になる「2for1 ダイニング by 招待日和」などのサービスを用意。
日常的な利用シーンでは、前述したコンシェルジュのほか、主要オンラインストアや海外での(外貨)利用でポイントが3倍になる「ボーナス・ポイント」、会員のための先行チケット販売「アメリカン・エキスプレス Invites」、各種旅行保険/ゴルフ保険などが付帯する。
会見に登壇したアメリカン・エキスプレス・インターナショナル 日本社長の清原正治氏は、これら「ラウンジ」「宿泊」「食事」「ライフスタイル」それぞれの利用シーンにおけるプラチナ・カード会員向けサービスを、「プラチナ・モーメント」と名付けていることを紹介し、現代の豊かさとは、「限られた時間を“より一層”豊かにできるような体験を得る。」ことであると定義した。
プラチナ・カードのサービスを拡充して会員数が増えることで「サービスや特典が受けにくくなるのでは」という懸念については、「コンシェルジュの品質を素晴らしいと褒めてもらっているが、例えば会議中にレストランの予約を変更したいなど、電話のできない状況もある。現時点では詳細を発表できる段階にないが、これからはコンシェルジュもデジタル化を進めていく予定があり、それによって電話がつながりにくいという状況を改善できると考えている」と説明。
会員増によって期待する利用者の属性については、「ラウンジや提携リゾートを本当に活用して楽しんでもらいたい。その意味ではグローバルなユーザー。そして、プライベートとビジネスがハイブリッド化されているユーザー。
例えばFHRの対象施設にしても、Webで最安値を探せば別のサービスが見つかる。しかし、そうしたサイトでは無料でキャンセルできるのが30日前までだったりする。FHRは直接予約と同程度のキャンセルポリシーで、これだけの特典を用意している。忙しい人は、直前で予定が変わってしまうことがよくある。安ければよいというものではない。
それから、13万円の年会費を払うことになるので、プラチナ・カードによって、人生をもっと充実させたいというユーザー。クレジットカードは人生を豊かにするための投資であって、コスト削減のためのツールではない。そう考えている方がターゲットになるのではないか」と述べた。