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5周年を迎えた京成電鉄「新型スカイライナー」に乗ってみた

広いシートピッチとコンセント全席完備で仕事がはかどる車内

5周年記念のヘッドマークを掲出した新型スカイライナーAE形。車両もヘッドマークもデザインは山本寛斎氏
車両の側面にも5周年記念のヘッドマークを掲出

 2010年7月17日に京成グループの北総鉄道 印旛日本医大駅~成田空港第2ビル駅間が開業した。これに伴い、京成 成田空港線(成田スカイアクセス線)として上野・日暮里~成田空港を結ぶ「新型スカイライナー」の運行が開始。2015年7月17日でちょうど5周年を迎えた。また、7月15日の記事でもお伝えしているが、7月17日より5周年記念のヘッドマークを掲出した車両の走行が開始されている。そこで、いま一度「新型スカイライナー」(以後スカイライナーと記述)の乗り心地や使い勝手を確認してみることにした。

 成田空港はLCC専用の第3ターミナルを4月8日から供用開始し、6月1日よりジェットスターが成田~香港線を就航するなど、LCCの発着本数が増加しつつある。また、フルサービスキャリアでも7月17日にANA(全日本空輸)が成田~ホノルル線を増便するなど、成田空港を利用する機会はますます多くなりそうだ。その成田空港と首都圏を結ぶ交通手段は、京成 成田空港線、JR東日本 総武本線・成田線ルート、高速バス、タクシーなどが挙げられる。このうちの1つである京成 成田空港線の特急が「スカイライナー」だ。

 スカイライナーの日暮里駅~空港第2ビル駅間の所要時間は最短で36分。起点駅が違うため純粋な比較にはならないが、JR東日本の「成田エクスプレス」は東京駅~空港第2ビル駅間の最短は50分であるため、スカイライナーの方がやや早い印象だ。これは京成 成田空港線が都心から直線的に成田空港へ向かう路線の形をしているのと、スカイライナーが在来線では最速の最高時速160kmで走行できるためである。大船や横浜、新宿など成田エクスプレスが停車する駅から成田に向かうのであれば、成田エクスプレスの方が利便性が高いが、山手線や常磐線、京浜東北線から乗り換えるのであればスカイライナーの方が所要時間を短縮できる場合がある。実際に記者は取材などで上野駅や日暮里駅から乗るが、成田空港駅までの体感時間は短く「成田空港は遠い」というイメージを受けない。

 乗り心地に関しては、上野駅~青砥駅間は古くからある京成本線のため、カーブが多く揺れを感じる部分があるが、比較的新しい北総線内や、2010年に開業した印旛日本医大駅~成田空港第2ビル駅間などは直線が多いためスピード感があり、揺れも少なく快適だ。印旛日本医大駅~成田空港第2ビル駅間は、160km区間となっており、低速区間を走っている新幹線に乗っているような感覚だ。余談だが東京駅~成田空港間は過去に「成田新幹線」が計画されたことがあり、成田空港線も一部その計画に沿ったルートを通っている。

 スカイライナーは、乗車時間が短いため、インテリアはビジネス向け仕様として設計されている。とはいえ、体格の大きな外国人にも対応できるようにシートピッチは1050mm、座席幅470mmと広めに作られている。また、窓側だけではなく通路側の席でもコンセントが使えるように、シートの脚部にコンセントが2つ搭載されている。このためスカイライナーはどの席に座ってもコンセントが使える。さらに、列車方向転換でシートが回転する関係で、シート下にも2つコンセントがある。テーブルは耐荷重10kgで13インチのよりもひとまわり大きいサイズだ。このため、窮屈に感じることやバッテリーの残量を気にすることなく、PCで仕事ができるのが嬉しいところだ。実際に記者はこのような記事の作成に活用している。

スカイライナーの車内。天井が湾曲しているため、高く感じる
航空機のエコノミークラスのようなシート
シートピッチは1050mmと大人の男性が座っても余裕がある
座席の脚部にコンセントが2つあり、通路側の席でもPCやスマホの充電ができる
実は座席が回転するため、座席の下にもコンセントがある
テーブルは耐荷重10kgでMacBookPro13インチよりも一回り大きい

 空港行きの特急ならではの大型トランクの置き場も各車両に用意されている。また、4号車には自動販売機と休憩スペース、さらに5号車には車いす対応の多機能トイレと、最新の設備を備えているのも特徴だ。

各車両に大型トランク用の荷物棚がある
4号車には自動販売機も設置
自動販売機の前には休憩スペース
車いす対応の多機能トイレ
「KEISEI FREE Wi-Fi」は駅にポスターが掲示されており、誰でも使える

なお、Wi-Fiは「au Wi-Fi SPOT」と「Wi2 300」のサービスのほか、インバウンド向けの無料Wi-Fiサービスもある。インバウンド向けのサービスは、成田空港のチケットカウンターでSSIDとパスワードを受け取ると使えるが、残念ながら日本人には提供していないとのこと。とはいえ、成田空港駅なとで提供されている「KEISEI FREE Wi-Fi」は特に制限がないため、日本人でも利用できる。

 料金の面では、上野駅~成田空港駅間でスカイライナーは2470円(運賃をICカードで利用すれば2465円)、さらに18時以降に京成本線経由で運行される「イブニングライナー」を使えば上野駅から成田空港までの所要時間は1時間20分前後となるが、1650円とさらに安くなる。成田空港から7時台と8時台に発車する「モーニングライナー」でも同じく1650円となる。こちらも純粋な比較はできないが、成田エクスプレスは東京駅~成田空港駅間では3020円なので、料金の面では京成の方が圧倒的に安価である。普通列車の運賃であれば、京成が上野駅~成田空港駅間で1240円、JR東日本は東京駅~成田空港駅間で1320円と差額は小さくなる。

成田空港駅のスカイライナー出発ホームの入り口。1面2線のホームを前後に成田側を2~3番線として普通列車、空港側を4~5番線として分割し、乗車ホームを分けている

 さらに、LCCは早朝や深夜の発着があるため、成田空港にどれだけ早朝や深夜に発着できるかという点が気になるところだ。特急列車で見てみると、京成は、成田空港(第1ターミナル)に到着する列車としては、6時42分着の「スカイライナー1号」が最も朝早い到着となり、24時10分着の「イブニングライナー73号」が最も夜遅い。逆に成田空港からの列車は7時28分発(土休日7時34分)の「スカイライナー2号」が最も早く、22時30分発の「スカイライナー58号」が最も遅い発車となる。JR東日本では、7時18分着「成田エクスプレス1号」が最も早く、21時13分着の「成田エクスプレス53号」が最も遅い。成田空港発では7時44分発の「成田エクスプレス2号」が最も早く、21時44分発の「成田エクスプレス54号」が最も遅い。どちらの特急も夜間に線路の保守があるため、高速バスなどと比べると幅が狭い。ただ、記者が見たところ、24時10分着の「イブニングライナー73号」で到着し、早朝便の出発まで成田空港で過ごすという利用者は居るようだ。

 地方からピーチや春秋航空日本(Spring Japan)で成田に向かい、東京観光をするという場合は「Keisei Skyliner & Tokyo Subway Ticket」がお勧めだ。これはスカイライナー(往復/片道)と東京メトロ、都営地下鉄の乗り放題切符がセットになったもので、基本的にはインバウンド向けだが、ピーチや春秋航空日本(Spring Japan)の機内であれば、日本人でも購入できる。機内で引換券を購入し、京成カウンターに持っていけば入手できる。価格はスカイライナー片道と1日乗り放題で2800円でスカイライナー往復と3日乗り放題でも5400円と安価で利便性が高い切符となっている。

 また、バニラエア、春秋航空日本(Spring Japan)、ピーチ、タイエアアジアXの成田行きの便では、同じく機内で「スカイライナーバリューチケット」を販売しており片道2200円で購入できる。

(編集部:柴田 進)