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NEXCO西日本、九州道は4月中に復旧、大分道は復旧見込みたたず

新名神の橋桁落下事故後の見通しは技術検討委員会次第

2016年4月27日 会見

NEXCO西日本 代表取締役社長 石塚由成氏

 NEXCO西日本(西日本高速道路)は4月27日、定例会見を行なった。平成28年熊本地震の復旧状況について詳細な説明を行なったほか、新名神高速道路 有馬川橋橋桁落下事故について質問が相次いだ。

頭を下げるNEXCO西日本 代表取締役社長 石塚由成氏

 冒頭、代表取締役社長の石塚由成氏が橋桁落下事故について「国道176号の通行止めをはじめ、周辺の多くのみなさま方に多大なご迷惑やご不便、ご心配をおかけしていますこと深くお詫びいたします」と述べ、登壇者全員が橋桁落下事故について頭を下げた。今後の見通しについては、4月28日に第1回会議が行なわれる技術検討委員会の結論を待ってから行なうとし、具体的な工事再開見通しや、会社の責任などについても明言を避けた。

熊本地震の復旧では大分道に時間がかかる

 平成28年熊本地震の被害状況については、時系列な説明が行なわれた。4月14日21時26分の「前震」と15日0時3分の地震では一時3路線152kmが通行止めとなったが、15日22時30分時点でに2路線20kmを残して復旧した。

 しかし、4月16日未明の地震で再度9路線507kmが通行止めとなり、前震より大きな被害を受けた。その後、徐々に復旧させたものの、現在のところ2路線40kmが通行止めが続いている。2つの通行止めカ所のうち、九州道の植木IC(インターチェンジ)~嘉島JCT間は前震の段階から通行止め、大分道の湯布院IC~日出JCTについては本震から通行止めとなっている。

益城熊本空港IC~嘉島JCT間にある木山川橋の桁ずれ
4月25日13時時点の復旧の様子

 復旧工事は24時間体制で行なっており、九州自動車道については4月中に一般開放見込みとされている。会見では、橋桁が大きくずれる損傷を受けた益城熊本空港IC~嘉島JCT間にある木山川橋について、4月27日朝に、大型車両の試走による載荷試験を行ない、試験結果をもとに通行止め解除を検討することが発表された。

大分自動車道 湯布院IC~日出JCT間の土砂崩落
4月23日17時時点の復旧の様子
大分自動車道 湯布院IC~日出JCT間の並柳橋の主桁の変形
4月26日15時時点の復旧の様子

 一方、大分自動車道 湯布院IC~日出JCT間については復旧見込みも示されない状況。93.7キロポスト付近ののり面土砂崩落は2万m3もの崩落土砂が上下4車線すべてを覆ったが、まずは片側を通せるように復旧工事中。92.5キロポスト付近の並柳橋は主桁が変形するなど損傷が大きく、応急復旧できるかどうか検討段階とのこと。

取締役常務執行役員 高倉照正氏

 熊本地震の復旧について説明を行なった取締役常務執行役員の高倉照正氏は見通しのつかない並柳橋について「短期的に対応できる方向で努力」「できるだけ応急復旧でやりたい」としながらも、大まかな復旧見通しについても「言える時期ではない」と一切見通しを示さなかった。

新名神の工事は現在すべてストップ

取締役常務執行役員 奥平聖氏

 会見では、取締役常務執行役員の奥平聖氏が新名神をはじめ新名神以外の工事についてもすべてストップしていることを説明した。事故のあった有馬川橋以外の工事カ所も緊急点検を行なっている最中だという。安全対策などの基本的な部分の点検は終えたものの、工事の手順など点検に時間のかかるものが残っているため有馬川橋以外も工事は進んでいない。

 有馬川橋については、技術検討委員会を立ち上げ、4月28日に第1回を開催して検討していく。委員会では事故原因の究明、再発防止、今後の工事の対応方針等を検討する。

国道176号の復旧が先

 落下した有馬川橋橋桁が真下の国道176号をふさいでおり、通行止めとなっている。復旧作業は、現場保全で撤去ができないため進んでいない。警察と労働基準監督署の現場検証等の完了を待っている状態だという。

 撤去ができる状況になれば、まずは国道176号の復旧を優先する。新名神の工事は、技術検討委員会の結果のあとで進むことになる。

 なお、現在、国道176号のう回で中国自動車道等にう回する場合の通行料を無料としているが、国道176号の復旧までその措置を継続することを明言した。

新名神 有馬川橋の工事再開は技術検討委員会次第に

関西支社長の村尾光弘氏

 今回、事故が起こってしまった送り出し工法だが、工事再開後にどのような方法で橋をかけるか今後の検討課題。関西支社長の村尾光弘氏は、「技術検討委員会で、どこに原因があったか、それが妥当な工法だったのか、審議してもらい、方向を決めていく」との考えを示した。

 村尾氏は事故が起きた際は「桁については、移動させてない。上下も前後も移動してない。下げるための準備の作業をしていた」「下に通行させても十分安全が確保できる」と安全を強調、すでに行なった桁の移動は国道を通行止めにして行なったと説明した。

 取締役常務執行役員の奥平聖氏は「原因については、当時の状況を正確に把握しないと軽々なことは申し上げられない」とし、現在把握している状況からは「推定も含めて申し上げる状況にない」と述べた。また、一部で報道されている土台がずれていたと関係者が証言したことについても、報道内容を把握しているが事実関係を確認できていないとした

 また、新名神高速道路 神戸JCT(ジャンクション)~高槻JCT間が2年前倒しされ2016年度完成目標で工事が進められた点と事故に関連があったかについては「そのように考えていない」と明確に否定した。

 事故後の新名神の開通時期については「できるだけ早くやりたいという気持ちはあるが、原因究明の進捗と相談しながら」と述べるにとどめた。

(編集部:正田拓也)