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Intel、長崎ハウステンボスで日本初のドローン・ライトショー開催
花火大会との併催で、花火とドローンの競演も実現
2017年6月24日 00:00
- 2017年6月23日 開催
ハウステンボスとIntel、hapi-robo stは、6月23日に東京都内で共同記者会見を開催し、ハウステンボスにおいて「Intel Shooting Star ドローン・ライトショー」を、7月22日から8月5日の期間で開催すると発表した。
Intel Shooting Star ドローン・ライトショーは、これまでにオーストラリア、ドイツ、オーストリア、メキシコ、シンガポール、アメリカで開催されてきたが、日本での開催は今回が初めて。ハウステンボスでのドローン・ライトショーは、ハウステンボス開園25周年を記念して行なわれるもので、300機のドローン「Shooting Star」を利用し、音楽に合わせてさまざまなシーンや3Dアニメーションを展開。加えて7月22日と8月5日の両日は、園内で開催される花火大会との併催となり、花火とドローン・ライトショーを同時に楽しめるという。
記者会見冒頭、Intel 代表取締役社長の江田麻季子氏が登壇し、次のように挨拶した。「この夏、ハウステンボスで、日本で初めてドローン・ライトショーが実施されることが決定しました。
現在、さまざまな機器からデータが満ちあふれています。その増え続けるデータが、世の中を変えていく時代が到来しています。それを我々にとってビジネスチャンスと捉え、ビジネスとイノベーションを加速するために技術革新を進めています。データを収集するデバイス、データを運ぶネットワーク、データを解析するクラウド、そしてデータセンターという包括的な形でデータを有効活用することで、さらなる市場の発展に取り組んでいきます。
ハウステンボスは、ロボットホテル『変なホテル』で世界的に注目されており、最新技術の導入に大変意欲的に取り組まれているので、Intelとの親和性も非常に高く、ドローン・ライトショーを日本で初めて実施することを発表できて、光栄に思っております」と述べた。
続いて、米Intel ニューテクノロジー・グループ副社長兼UAV事業本部長のアニール・ナンデュリ氏が登壇し、Intelが取り組むドローン事業や、ドローン・ライトショーで利用されるドローンについて説明した。
Intelでは、ドローンのイノベーションを加速させるために、さまざまなテクノロジーの提供や研究を行なっているという。例えば、ドローンなどの無人航空機システム向け開発キット「Intel Aero Platform for UAVs」があり、オープンソースで自由にカスタマイズしたりアプリケーションを開発したりできる。
また、無人航空機システムの飛行管制システム「UTM(UAS traffic management)」をNASAと共同研究。さらに、衝突防止や観測などに利用する「RealSenceテクノロジー」、ディープラーニングやコンピュータビジョン向けSoC「Movidius」などのテクノロジも所有。それによって、エンドツーエンドでドローンテクノロジを提供できる点がIntelの強みと説明。
そして、実際にパートナーとの協業による商用ドローンシステムを提供し、広く活用されていると紹介した。人の手が及びづらい場所の検査も容易となり、例えばエアバスと協力して取り組んでいるドローンを利用した航空機検査では、人間が行なうと通常4~8時間かかる検査を、ドローンではわずか15分で行なえるという。さらに、複数のドローンを1名のパイロットで運用できる点も、大きな利点と紹介した。
そういった技術を駆使して提供されるのが、ドローン・ライトショー向けのドローンシステム「Shooting Star」だ。Shooting Starは、夜空にアニメーションを展開するなど、花火ではできなかったストーリーを新しい方法で展開し、夜空を見上げる体験を大きく向上させるという。Intelは世界各地で100を超えるドローン・ライトショーを開催してきており、2017年のアメリカンフットボール「スーパーボウル」ハーフタイムショーでも実施している。
Shooting Starは、安全を最優先して設計しており、本体サイズは387×387×76mm(幅×奥行き×高さ)、重量320gと非常に軽量で、LEDライトを利用し40億の色を表現できる。数百機を一度に飛行させられる点も特徴で、自動で衝突を回避するシステムも備えているという。数百機のドローンを1名のパイロットで制御できる点も大きな特徴だ。
最後にナンデュリ氏は、「ハウステンボス、hapi-robo stと協力し、日本で初めてのドローン・ライトショーを開催することを、とても光栄に思います」と述べ、説明を終えた。
続いて、ハウステンボス 取締役CTO兼hapi-robo st代表取締役社長の富田直美氏が登壇し、今回のドローン・ライトショー開催の背景について説明を行なった。
「ハウステンボスは、世界的に有名なほかのテーマパークと比較されますが、私はハウステンボスは独自の概念を持っていると思います」と述べて、実際ハウステンボスでは、エネルギー事業、植物工場、幸せロボット事業という3種類の事業に積極的に取り組んでいるという。
富田氏は、ドローンの可能性について以前から注目しており、2014年7月に、ハウステンボス内でドローンを自分で飛行させ、花火の空撮を行なったという。その空撮映像は、富田氏自身「私がこれまで撮影した映像のなかで、最も感動的な絵です」と説明したが、ドローンを花火が開く中まで飛ばして撮影したという。さらに、2015年7月のロボットホテル「変なホテル」のオープニングセレモニーでは、ドローンを飛行させてクルマのロボットを運送したりもしている。
富田氏は自身のことを「テクノロジーのオタク」と表現したが、新しいテクノロジーを実際に自分の手で触らないと気が済まないのだという。そこで、実際に多数のドローンが空を舞うというものを実現しようと取り組んだそうだが、その開発は非常に大変だった。そういったなか、Intelのドローン・ライトショーについて知り、実現にこぎ着けたという。
ハウステンボスでのドローン・ライトショーの開催について富田氏は、「私自身の夢の実現」と述べたが、それだけ強い想いで取り組んできた結果、日本で初めての開催にこぎ着けたと説明。また、今回ドローン・ライトショーを開催する場所について、まさにドローンで花火の空撮を行なった場所だと説明。そして、実際の花火とドローンを使ったデジタル花火が、どういう形で違って見えるのか、現在計画を練っている最中だとした。
「ハウステンボスで、世界一のものを日本人に見せたい。私もまだ見たことがないんです。憧れているんです。Shooting Starは流れ星のようなものです。詳細はまだ話せませんが、ぜひ皆さんに見に来ていただきたいと思います。そして、皆で幸せを願いましょう」とアピールし、説明を終えた。
最後に、ハウステンボス代表取締役社長の澤田秀雄氏が登壇し、今回のハウステンボスでのドローン・ライトショーの概要について説明した。
ハウステンボスはモナコの半分ぐらい広さの私有地のため、規制も少ないとし、「自分たちが判断すればすぐにさまざまなことができる」と説明。そうした利点を活かして、ロボットや新テクノロジを使ったテーマパークを運営しているとした。
そして、今回のドローン・ライトショーについて、「日本初のドローン・ライトショーということで、非常に期待しています。ドローン・ライトショーでは花火も一緒に上げたいと思っています。ドローン・ライトショーと、日本の古来からある花火で、より感動していただきたいと思います」と、自身の期待感も合わせて述べた。
最後に澤田氏は、「6年前のハウステンボスと違って、夜も街全体が輝いていますし、昼も花が咲き、たくさんのショーやイベントを開催しています。今後もハウステンボスは、感動的なイベント、オンリーワン、ナンバーワンのイベント、最新のテクノロジを使ったイベントをどんどんやっていきたいと思います」と意気込みを述べ、会見を締めくくった。
今回ハウステンボスで開催されるドローン・ライトショーは、7月22日から8月5日までの間、毎晩実施する。ただし、雨天や風速8m以上の強風が吹いている条件では開催が難しいという。なお、ドローンの飛行領域は海上になるとのこと。ハウステンボスは私有地で、人口密集地でもないとしつつ、安全面を考慮し、また許可も得やすいと考えて、海上での飛行とした。
ドローン・ライトショーの演出はハウステンボスとhapi-robo stが担当し、ドローンの飛行プログラムはIntelが担当。ショーの時間は約10分以内で、7月22日と8月5日は花火大会と併催し、最も感動を与えるタイミングでドローン・ライトショーを実施する計画だという。また、ハウステンボスでは、花火大会に合わせて観覧席を販売しているが、ドローン・ライトショー開催時の観覧席の料金は、通常の花火大会よりもやや高くなるとのこと。ただ、現時点ではショーの内容も含めて詳細は公表されておらず、今後順次発表する予定としている。