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イオン、フランス発のオーガニックスーパー「Bio c'Bon」と冷凍食品ショップ「Picard」を麻布十番にオープン

ドラッグストアやヨガ&ダンススタジオが入る複合施設を開業

2016年12月9日 オープン

オープンした「Picard」と「Bio c'Bon」

 イオンは12月9日、フランス発のオーガニックスーパー「Bio c'Bon(ビオセボン)」と、同じくフランス発の冷凍食品専門ショップ「Picard(ピカール)」が1階に並んで入る複合型店舗を麻布十番にオープンした。この場所は、ピーコック麻布十番店の跡地。全面改装で生まれ変わった。

 2階には、お馴染みのイオン系列ドラッグストア「ウエルシア」が、地下1階には、「スポーツオーソリティ」を展開するメガスポーツ運営のヨガとダンスのスタジオ「avitystyle 麻布十番」が入る。

 同施設の内覧会がオープン前日の12月8日に行なわれた。

麻布十番にオープンしたフランス発「Bio c'Bon」と「Picard」が入る複合店舗の全景
地下鉄麻布十番駅から向かうと「AEON」の看板のある側から目にすることになる
1階にBio c'BonとPicardが並んで入る
中ではつながっているが、Picard側には専用の入口もある
2階にはドラッグストア「ウエルシア薬局」が入る。こちらも中では階段でつながる
2階のウエルシア薬局へは外階段でもいける
地下1階はヨガとダンスのスタジオ「avitystyle 麻布十番」
オープンを知らせる看板
夜の店舗外観
ロゴを使った看板はシンプルだが目立っている
Bio c'Bon側の夜景
Picard側の夜景

日本初出店、フランス発オーガニックスーパー「Bio c'Bon」

 オーガニックスーパー「Bio c'Bon」は、2008年にフランス、パリで生まれたオーガニックスーパーマーケット。「ビオ」は「オーガニック」、「セボン」は「美味しい」をフランス語で意味していて、店名が“美味しいオーガニック”を提供する店であることを表わしている。どうしてもオーガニック素材は価格が高くなるイメージがあるが、手頃な価格で提供することを目指している。

 扱うオーガニック商品は、契約農家が提供する有機JAS認定農産物中心の野菜はもちろん、肉類、飲料、乳製品、ワイン、お菓子、スパイスといった食品。さらには、化粧品やタオル、ベビー用品、肌着、ドッグフードなど、多様なオーガニック商品を1000アイテムほど扱っている。

 なお、農家が畑で実際に有機栽培を始めてから有機JAS認定されるまでには、農薬の効果が切れる3年ほど待つ必要がある。そのため、その間の商品は完全なオーガニックではないが、その旨を明記したうえで販売されることもあるという。これは「有機栽培農家を増やしていくサポートのためにも重要なこと」(ビオセボン・ジャポン 代表取締役社長 土屋氏)とのことだ。また、有機栽培では農薬をいっさい使わないため、虫の食害、形の不揃いなど、どうしても避けられないこともある。こういったデメリットは、店内で詳しく説明されていて、特定種類によっては量り売りという販売方法もとっている。「量り売りにすることで、今まで規格外ということで廃棄されていた商品も販売できるようになり、よりリーズナブルに提供できる」(土屋氏)という。

 店内にはオープンな対面キッチンのデリカテッセンとイートインコーナーも用意されていて、調味料までオーガニックにこだわったサラダやサンドイッチなどが楽しむことができる。

エントランスから店内に入ったところ。Bio c'BonとPicardは中でつながっている
奥には大きな対面式のデリカテッセンコーナーがある
サラダは注文時に好みで盛りつけてくれる
色とりどりの有機野菜サラダ
こちらは肉や魚系の総菜コーナー
鶏肉とサーモンが試食用に用意された
試食用のサラダ盛りつけ例
サラダ販売用のパックのイメージ。1パック880円。好みのパンも付く
国産若鶏モモ肉のソテー。抗生物質、抗菌剤不使用。298円/100g。皮がパリパリで美味しい
アトランティックサーモンのグリル(ジェノバソース)。MSC認証サーモン使用。298円/100g。サーモンは柔らかく、バジルソースとよく合う
食べるスープ。1杯580円
有機栽培豆を使ったコーヒー。焙煎後の鮮度にこだわり最大で週に3回焙煎した豆が届く。レジにて150円でカップを購入しセルフで入れる、コンビニでお馴染みのスタイル
希少なデカフェ(カフェインレス)も提供。十分風味が感じられた。フルシティローストのグァテマラと飲み比べるとさすがに物足りなさを感じてしまうが、しっかりした味のカフェインレスコーヒーが楽しめる
店内中央に大きなテーブルでイートインコーナーも用意。デリのカウンターで価格シールを貼ってもらいレジで購入、ここで食べることができる
有機野菜コーナー
「季節のお野菜お楽しみセット」。さまざまな野菜を詰め合わせて1500円
各種サラダ用のミックスセット。ビオサラダのお試しに最適
小容量のサラダミックス。横には有機野菜についての解説も書かれている
サラダに使える葉物のコーナー。国内各所の産地が表示されている。一部量り売りもされている
ハーブの苗も販売
根菜系は量り売りが中心
トマトとパプリカも計量売り中心
国産みかん、アメリカ産オレンジ。緑色のはスィートスプリングという珍しい国産みかん
量り売りの計量はセルフで
冷蔵食品棚。納豆やコンニャクなど、日常お馴染みの国産食品が並ぶ
肉類。遺伝子組み換え原料餌と抗生物質の不使用の国産肉や、オーストラリア産のオーガニックラム肉などが並ぶ
有機牛乳などの飲料系の棚
チーズやバターなど。多くは直輸入なのでリーズナブル。奥のバターはオープン記念限定品
Pascoの有機小麦粉使用黒ごま入りロール
お茶など乾物系のコーナー
手前に乾物系、奥はお菓子
お菓子やデカフェのインスタントコーヒーなど。ここは輸入商品が多め
フルーツピューレなど
パンやケーキの材料コーナー。小麦粉などを国産輸入あわせて取りそろえる
スパイスもオーガニックにこだわる
珍しいオーガニックの種子も販売。主にハーブやスプラウト栽培向け
ワイン販売のコーナー
ナッツやドライフルーツのコーナー
セルフ量り売りで好みの分量を購入するスタイル
食料品以外も販売する。左手前にあるのはディスプレイ
洗剤からベビー用品まで揃う
ヘアやボディ、ファイスケア用品
ラ・コルベットの無添加マルセイユソープ
ハンドクリームはテスターも用意されている
なんとドッグフードのビスケットもオーガニック
期間限定出店のコーナー。原宿発の「BROWN SUGER 1ST. TOKYO ORGANIC」が2月28日まで3カ月限定で出店
ギルトフリーのカップケーキ。しっかり甘く食べ応え満点なのにオーガニックで低GI、中鎖脂肪酸使用など身体に優しい。写っている表示価格はセットだがバラ売りもある

パリ発の冷凍食品専門ショップ「Picard」

 併設されるフランス発の冷凍食品専門ショップ「Picard」は、11月23日に「Picard青山骨董通り店」を日本初出店し、今回が2店目。すでにイオンでも販売しているので、お馴染みの方もいるだろう。「365日、いつでも誰でもおいしさ溢れる食卓を」をコンセプトにし、店内には最新の瞬間冷凍技術を使ったフランス色あふれる、パリで人気の野菜料理や、クロワッサンなどのパン、デザート、ピザといったバリエーション豊富なメニューの冷凍食品が整然と並んでいる。毎年200品目の新商品が発売されるそうだ。

 すでにネットでの購入が可能なほか、年内12月にPicard中目黒店がオープン、イオン店内にPetit Picardとして、品川シーサイド店、東雲店、東久留米店の展開が予定されている。

 なお、1階のBio c'BonとPicardは内部的にはつながっていて一体の作りとなっている。フランスでは両社がこのような形態でコラボレーションした例はまだなく。「今回イオンが取り持ってくれた効果だが、今後どのような効果があるかたいへん楽しみ。冷凍食品は安全で、技術革新により上質になりました。高感度な日本の方々に気軽に立ち寄って楽しんでもらいたい」(Picard Surgelés SAS社長 フィリップ・ダイエ氏)とのこと。

Picardの店内側の入口。気軽に入れるオープンな作り
Picardの店内。レジ側から店内を見る
Picardの店内。整然とガラス扉の冷蔵庫が並ぶ、今まで国内では見たことのないシンプルな店内
ガラス扉を自由に開けて商品を取り出す。ピザ類。マルゲリータは大きめサイズだ
サーモンのパイ包み焼き。ファンシーな形状でクリスマスパーティにも合いそうだ
デザート系。モアローショコラ
チーズタルトなど
いくつかは試食用に解凍して提供された。食前のおつまみ 4種のミニパイ
食前のおつまみ グジェール。シュー生地にチーズのコンテを混ざっている
ミニカヌレ。カラメリゼして焼き上げた菓子。ラムとバニラの風味
保冷バッグも販売
店内には電子レンジも用意され、解凍することが可能
店内に貼り出されていた宣言文
店内でインタビューに答えるPicard Surgelés SAS社長 フィリップ・ダイエ氏

「ウエルシア薬局」と空中ヨガ&ダンススタジオも併設

 ストアの2階には、ドラッグストア「ウエルシア薬局」が店舗を構え、一般的な日用品が手に入る。店内には処方箋を受け付ける薬局もあり、ショッピングの合間に処方箋の薬を受け取れる。

 また、地下1階には、「スポーツオーソリティ」を展開するメガスポーツ運営のヨガとダンスのスタジオ「avitystyle 麻布十番」が入る。空中ヨガと呼ぶ天井から吊された布のハンモックを使い、体の重さを感じずに楽にポーズがとれるコースがあるのが特徴。スタジオに入れるのは女性のみ(ジュニア教室は除く)。

1階のBio c'Bonの横から店内経由で2階に上がることができる。会計は別に済ませる
階段の途中にイオン銀行のATMが設置されている
2階のドラッグストア「ウエルシア薬局」店内
薬や台所用品、食品などが揃う
化粧品コーナーもある
処方箋を受け付ける薬局も併設。待合スペースもある
地下1階ヨガとダンスのスタジオ「avitystyle 麻布十番」エントランス
スタジオ前の待合と販売コーナー
ヘンプシードナッツやココナッツオイルの販売
ローションやボディスクラブなど
スタジオ内。布のハンモックがぶら下がっている
空中ヨガのデモンストレーション
ボクササイズ用のグローブも展示されていた

記者会見ではイオン岡田社長が挨拶

イオン株式会社 代表執行役社長 岡田元也氏

 内覧会当日の12月8日に行なわれた会見では、冒頭にイオン 代表執行役社長 岡田元也氏から挨拶があり、「元々は麻布十番のエリアでは、ダイエーとピーコックの店舗があったわけですが、イオングループとしても都市シフトを進行するなかで、どういう形が麻布十番のお客さまにベストか考え、今回のような形になりました。イオンとして“食”を考えたときに、日本において“食”は重要なコミュニケーションの場になっていると考えます。日本全体の消費の伸びないなか、“食”の消費は変わらず伸びています。とりわけローカルとインターナショナルを重視しています。これらが“食”の楽しみに深みを与えるであろうと信じています。

 高齢化が進み、ヘルス、ウェルネス、ハピネスに関する要望が世界的に強くなっています。真にカラダによい物を考えるとき、Picardの持つフローズンのよさ、Bio c'Bonの持つオーガニックのよさに大きなビジネスチャンスがあると考えてきました。さらにこの2社では、フットプリントを減らすという点からも地球環境にもよいのです。日本における、この新しい市場を開拓していくということに大きな意義を感じています。全般的に日本の食は質が高く安全だと言われていますが、実態は大きく異なると思っています。それに対してのイオンの答えでもあります。

 Picard社にはずいぶん前から注目していたのですが、2009年から対話を始め、日本でもオープンできるようになりました。Bio c'Bon社のほうは、知り合ってからもまだ1年たらずと新しいのですが、イオンの企業文化や価値観の共通性をお互いに感じて今日に至りました。青山にオープンしたPicardの店舗では、一時品切れするほどで想定の3倍ほどの売上を記録しています。今後反応を見ながら、この後国内での展開を拡大していきたいと考えています」と今回の出店に至る経緯などを解説した。

Picard Surgelés SAS 社長 フィリップ・ダイエ氏

 続けて、Picard Surgelés SAS社長 フィリップ・ダイエ氏が、「このたびは第2店目の開店となります。これまで2年ほどイオン内のコーナーとしてPicardコーナーを設けていたのですが、2週間前に1店舗目、そして今回の店舗オープンとなりました。提供している冷凍食品は、バラエティ豊かで健康にもよく、とても扱いやすく利便性も高いものです。調理時間もとても早く、一人暮らしはもちろん、家族でも消費しやすく、ライフスタイルのリズムに合うと考えています。

 私たちのノウハウは4つの柱があります。1つ目はイノベーションです。さまざまな選択肢をお客さまに提供し、どんな人にでもお好みの商品が選べるラインアップにしています。2つ目は最新の瞬間冷凍のテクノロジーです。最高の状態で冷凍保存を可能にし、長く保存でき、お客さまのもとにお届けできます。これにより保存料、着色料などをいっさいなしにナチュラルな状態でお届けできます。

 3つ目は食品の安全性です。素材全体に関するもので、年間で5万5000の分析を行なっていて、各商品ロットごとの検査を随時行なっています。4つ目はサービスです。店舗ではいつでもアドバイスができるようにしています。どういう調理をするのか、電子レンジであれば最長で10分程度、なかにはオーブンで最終調理を行なうものもあります。

 Picardは、フランスを感じられる存在ということも言えます。現在フランスでの、フランス人が一番好きなナンバーワンブランドに選ばれています。フランス全土で960店舗を展開していて、フランス人にとってもっとも利便性の高いブランドでもあります。モアルーショコラ、ミニエクレア、エスカルゴ、サーモンのタルタルソースなどが人気です。日本人の方々にも満足いただくことが目標です」と挨拶した。

Bio c'Bon 創業者 ティエリー・ブリソー氏

 最後に、Bio c'Bon 創業者 ティエリー・ブリソー氏より、「もう一人フランス人がこの場にいる理由の一つは偶然です。この偶然は、ときには最高の戦略より優れていることもあります。これは岡田社長とも共通した考えでもあります。2つ目の理由は、日本人はとても健康志向が強いということです。そういった健康志向のなか、日本ではビオ食品を求める店舗が少ないということに気が付きました。Bio c'Bonはチェーン店で、たくさんのビオ商品を届けることができます。一つの場所で、健康志向の方ための商品がすべて揃うということがメリットです。まだ8年の歴史しかない若い会社で、オープン予定の店舗を含めると、ヨーロッパ5カ国で140店舗になります。

 品揃えの基準としていることが2つあります。まずはオーガニックですので有機食品であること、そして美味しいものであるということです。薬ではありませんので美味しくなくてはなりません。Bio c'Bonのお客さまは、健康志向に凝り固まった人ではなく、殺虫剤や防虫剤、着色料などを使っていないことも求める人たちです。自身の健康のみならず、環境にも優しいものを選んでいるということになるということが言えます。

 現時点では、有機食品は少し割高になってしまいますので、購買力は高めの人たちです。今後、有機食品が増えていけば、徐々に価格差は少なくなっていくと思われます。一般的なスーパーの食品は多額の広告費を使っていますが、有機食品では広告料はないので、値段の差は縮まっていくと考えています。

 野菜や果物の比率が高いのですが、現地ローカルの生産者と手を組むことがどうしても必要です。出店する先々の国と結婚しているようなもので、今回のイオンとの出店も共にやっていけると確信を持っています」と挨拶があった。

 岡田社長は会見後の質疑応答でも、輸入の問題や伝え方など課題は多いが、オーガニックと冷凍食品の分野で日本のリーディングカンパニーになり、オーガニック商品を一部の健康志向の強い人だけでなく、多くの人に手が届くものにしたいと力強く語っていた。このショップは、現在のオーガニックと最新フローズンメニューの見本市になっている。興味を持ったら、安全で美味しい食を知るきっかけに訪れてみてほしい。

Bio c'Bonの有機食品をイメージしたディスプレイ
イオン株式会社 代表執行役社長 岡田元也氏
ビオセボン・ジャポン株式会社 代表取締役社長 土屋美津子氏
イオンサヴール株式会社 代表取締役社長 小野倫子氏
イオン岡田社長を囲む、Picard フィリップ・ダイエ社長(左)、Bio c'Bon創業者 ティエリー・ブリソー氏(右)