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エミレーツ航空、ファーストクラス、ビジネスクラス向け和食メニューをリニューアル
メニューは1カ月ごとにローテーション
2016年9月6日 00:00
- 2016年7月 リニューアル
エミレーツ航空は、日本発着路線のファーストクラス、ビジネスクラスで提供する和食メニューをリニューアルし、7月から新メニューの提供を行なっている。9月5日には、本拠地ドバイのケータリングチームで温かい料理(ホットキッチン)を担当している副総料理長も来日し、成田発便機内食のパートナーであるゲートグルメジャパンのオフィスで新メニューの説明会・試食会を実施した。
エミレーツ航空の日本発着路線は、羽田、成田、関空とドバイを結ぶ3路線で、機材は成田/関空線がボーイング 777-300ER型機、羽田線がボーイング 777-200LR型機を使用。全路線でファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミークラスの3クラスを提供している。
説明会の実施にあたって挨拶したエミレーツ航空 日本支社長のニック・リース氏は、「エミレーツ航空のプロダクトとサービスは世界的にも好評を博している。なにをするにしてもお客さまを中心に取り組んでおり、その接点すべてにおいて可能な限り優れたサービスを提供する努力をしている。その視点は機内食にも展開しており、就航地ごとに地域に根ざした食事を提供するよう取り組んでいる」と機内食のサービスコンセプトを紹介。
日本路線の食事については、「パートナーであるゲートグルメジャパンはできる限り、取れたての新鮮な野菜を使うことを心がけているし、食事だけでなくドリンクも洋酒、日本酒のほか日本路線ではアサヒビールを提供している。ドバイを拠点とする日本人CA(客室乗務員)は400名以上いるが、そうでない乗務員も、日本路線で乗務する場合には和食メニューをどのように提供するのがよいのか、提供の仕方をトレーニングしており、日本の様式に合わせた提供をできるようにしている」と、和食の提供に関する取り組みを紹介。
さらに、「今では世界最大手の航空会社に成長したが、地域ごとのニーズに合わせたサービスをやめるわけではない。8月末にアフリカで行なわれたTICAD(アフリカ開発会議)では、日本人渡航者のためにドバイ以遠のドバイ~ナイロビ線でも和食メニューを提供した。慌ただしい数日間をアフリカで過ごしたあとの和食メニューだったので、特に帰国便で大変喜ばれた」といったエピソードを紹介した。
エミレーツ航空では、ドバイにあるエミレーツ航空のケータリングチームがコンセプトを作り、それをゲートグルメジャパンと協力して開発しているという。そのドバイのケータリングチームで副総料理長を務める佐藤竜太氏は、「ほかのエアラインと差別化、違うものを作り出せるか、何か新しいもの、ユニークなものを、をコンセプトに考えを進めた。昨今、似たようなサービスになりがちな機内食だが、そのなかでも違いや変化が伝われば」と、同社の機内食全体のコンセプトを紹介。
和食メニューや地域別のメニューについては、「各路線ごとにオリジナリティを出している。当社にもいろいろな国からシェフが集まって働いている。加えて、各国の食文化や食習慣を機内食を通して伝える機会になればと思い努力している。海外旅行のとき、現地の人が食べているものを召し上がる人が多いと思うが、機内に入ったときから実際の旅行がすでに始まっているような空間を作り出せるようなエアラインであれば、最高のエアラインではないかと考えている」と想いを述べ、リニューアルした和食メニューについては「日本人だけを対象にするのではなく、外国の人も対象にして、日本の食文化や食習慣を少しでもお客さまに紹介する機会になれば」と期待を込めた。
同社では和食メニュー以外でも地域ごとのメニュー提供を行なっており、例えば、ドバイ~ミュンヘン便では、オクトーバーフェストが行なわれる10月には「ヴァイスビール」の提供を行なうという。
エミレーツ航空の新たな和食メニューは、2016年7月にリニューアルして提供を開始。現在は「サイクルA」「サイクルB」の2パターンを用意し、1カ月単位で入れ替えている。具体的には7月に「サイクルB」、8月に「サイクルA」、9月に「サイクルB」を提供している。
3カ月単位でメニューを入れ替える航空会社は多く、エミレーツ航空も今回の新メニュー導入以前は3カ月単位のサイクルだったそうだが、1カ月に何度も乗るようなビジネス客にとっては3カ月間同じ料理が出続けることになるため、今回から1カ月単位で変更することにしたという。
ちなみに、現在は2パターンの料理を交互に出している状況だが、最終的にはこれを4種類用意。毎年4月のメニュー改正を起点に、「A→B→C→D→A→B……」といった具合にローテーションを組む予定だ。今年度の残る2パターンのメニューの登場時期については、明言されなかった。
先述のとおり成田発便機内食のパートナーとしてゲートグルメジャパンと提携しているが、ゲートグルメジャパンでは「farm-to-table」のコンセプトのもと、半径1km以内の農場と契約して、新鮮な野菜を入手できる仕組みを確立している。エミレーツ航空の和食メニューにも、こうした地元の新鮮な生鮮品が取り入れられており、成田発便では、野菜はほとんどが千葉県産とのこと。ドバイ発便の和食メニューでも、ドバイで手に入るものは現地で入手し、輸入が必要な食材についても日本より距離が近いヨーロッパなどから仕入れて、できるだけ新鮮な状態の食材を手に入れるようにしているそうだ。
また、全メニューがハラル料理となっている。そのため、料理にアルコールが使えないので、日本料理でも例えば日本酒やみりんなどを使えない。またドバイ発では、醤油も輸入できる商品に制限があるという。佐藤シェフは「みりんとお酒を使えないが、うまく調整して同じように近付ける努力をしている」といい、その味に自信をうかがわせた。ちなみに、飲むお酒については、ファーストクラスとビジネスクラスでは「南部美人 特別純米」、エコノミークラスは「八海山」を提供している。
このほか、料理の器は「ノリタケ」とコラボレーションし、「雅(みやび)」をテーマにしたオリジナルデザインのものを使用している。
ファーストクラスの和食メニュー
ファーストクラスは、懐石料理のコース仕立てとなっており、「先付けや前菜」「メインの焼き物」「ご飯」「水菓子」「日本茶と甘味」と順に提供される。
9月に提供中の「サイクルB」は、前菜として鴨肉の燻製やサケとメカジキのたたき、ゆず豆腐。メインに鶏肉の照り焼きを提供。8月/10月に提供の「サイクルA」はローストビーフや刺身、さくら豆腐の前菜に、ショートリブを使った牛肉の焼き物を提供する。