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夏休み限定の便利列車、京成電鉄「アクセス特急」でLCC早朝便に乗ってみた
成田空港第3ターミナル発の早朝便にも余裕で間に合う!!
2016年7月28日 00:00
京成電鉄と北総鉄道は夏休み期間に合わせ7月16日から8月31日までの期間、都心と成田空港を結ぶ「アクセス特急」の臨時列車を運行開始した。このアクセス特急臨時列車は、早朝の5時18分に京成上野駅を出発し、6時14分に成田空港駅に到着する下り列車と、深夜23時08分に成田空港駅を出発し、23時50分に京成高砂駅に到着する上り列車の2本。いずれも特急券が不要で、乗車券のみで利用できる。
これにより、早朝の臨時列車を利用することで通常よりも早く成田空港に到着できるのはもちろん、遅い時間帯でも成田空港から都心まで到達でき、成田空港利用客の利便性が大きく高まることになる。そこで今回、実際にアクセス特急臨時列車を利用して成田空港第3ターミナルから早朝に出発するLCCのジェットスター便に乗り、その利便性を確認してみた。
通常の始発便より23分早く成田空港に到着し、23時以降でも成田空港から都心に到達できる
まずはじめに、今回運行が始まったアクセス特急臨時列車の詳しい運行時刻を確認しておこう。
下にまとめた表が7月16日から8月31日まで運行される、アクセス特急の臨時列車だ。通常、京成線で京成上野駅から成田空港に行く場合、到着が最も早いのは、京成上野駅の始発列車となる5時03分発の成田空港行き普通列車で、空港第2ビル駅に6時35分、成田空港駅には6時37分に到着する。それに対し、アクセス特急臨時列車は、始発列車より15分遅い5時18分に京成上野駅を出発するが、空港第2ビル駅に6時12分、成田空港駅には6時14分と、始発列車より23分も早く到着する。
また、成田空港駅出発の上り臨時列車は京成高砂駅行きではあるが、成田空港駅を23時以降に出発しつつ、終点の京成高砂駅では同じホームで京成上野行き普通列車に、また京成上野行き普通列車は青砥駅でこちらも同じホームで西馬込行き普通列車にそれぞれ接続するため、問題なく都心に到達できる。
それに対し、成田空港を8時までに出発する早朝便は、第3ターミナルを利用するLCC運航の国内線がすべてを占めており、以下にまとめたように、6時台に5便、7時台に4便が運航されている。空港第2ビル駅から第3ターミナルまではやや距離が離れており、無料連絡バスで10分、徒歩移動で10~15分ほどかかる。つまり、アクセス特急の臨時便を使えば、6時30分前には第3ターミナルに到着できる計算。航空会社によって差はあるが、チェックインおよび預け入れ荷物の受け付けは該当便出発時刻の30~35分前までに終了し、搭乗ゲートには出発時刻の25分前までに到着しておく必要がある。当日の混雑状況によって変わってくるが、7時以降出発の便であればぎりぎり間に合う計算だ。
成田空港第3ターミナルから8時までに出発する早朝便(2016年8月31日までの時刻表)
便名 | 出発時刻 | 目的地 |
---|---|---|
ジェットスター・ジャパン GK103 | 6時05分 | 札幌(新千歳) |
ジェットスター・ジャパン GK505 | 6時05分 | 福岡 |
ジェットスター・ジャパン GK401(※1) | 6時15分 | 松山 |
バニラエア JW901 | 6時35分 | 札幌(新千歳) |
ジェットスター・ジャパン GK303 | 6時40分 | 沖縄(那覇) |
Spring Japan IJ621 | 7時00分 | 広島 |
ジェットスター・ジャパン GK507 | 7時05分 | 福岡 |
ジェットスター・ジャパン GK621 | 7時20分 | 鹿児島 |
バニラエア JW903 | 7時35分 | 札幌(新千歳) |
※1:土曜日および8月11日~12日、8月14日~15日、8月18日~19日のみ運航 |
7時台の早い時間帯に出発する便としては、7時00分出発のSpring Japan IJ621便広島行きと、7時05分発のジェットスター・ジャパン GK507便福岡行きがある。Spring Japanの国内線ではオンラインチェックインができず、出発時刻の35分前までに空港カウンターでのチェックインと受託手荷物の受付を終了させる必要がある。アクセス特急臨時列車を使い、さらに空港第2ビル駅から第3ターミナルまで早足で移動したとしても、到着は6時20分前後。カウンターが混んでいたらIJ621便の出発時刻35分前となる6時25分までに手続きを終わらせるのはかなり厳しそうだ。
それに対し、ジェットスター・ジャパンの国内線では、出発時刻の48時間前から1時間前までPCやスマートフォンを使った「ウェブ・チェックイン」が行なえる。預け入れの手荷物がないということが条件にはなるが、あらかじめウェブ・チェックインでチェックインし、搭乗券を印刷しておくかモバイル搭乗券をスマートフォンに用意しておけば、第3ターミナル到着後、カウンターに立ち寄ることなく直接保安検査場を通り出発ゲートへと進める。条件付きとはなるが、7時05分発のGK507便であればアクセス特急臨時列車を使って十分間に合う可能性が高い。
逆に、夜10時以降に成田空港に到着する深夜便も、第3ターミナルを利用するLCC運航の国内線が4便ある。それら深夜便では、空港第2ビル駅を22時51分に出発するアクセス特急を利用するには到着後に慌ただしく空港第2ビル駅に移動しなければならなかった。しかし、今回運行される23時台出発のアクセス特急臨時列車なら、これまでよりも余裕を持って移動し乗車できるはずだ。
成田空港第3ターミナルに22時以降に到着する深夜便(2016年8月31日までの時刻表)
便名 | 到着時刻 | 出発地 |
---|---|---|
ジェットスター・ジャパン GK318 | 22時00分 | 沖縄(那覇) |
ジェットスター・ジャパン GK628 | 22時00分 | 鹿児島 |
ジェットスター・ジャパン GK116 | 22時10分 | 札幌(新千歳) |
ジェットスター・ジャパン GK518 | 22時15分 | 福岡 |
日暮里駅からの乗車なら大宮駅や桜木町駅、取手駅からでも間に合う
スカイライナーやアクセス特急を利用して成田空港に向かう場合、京成上野駅から乗車するのではなく、JR線を利用して日暮里駅に行き、日暮里駅で乗り換えるという人も多いだろう。そこで、日暮里駅を5時22分に出発するアクセス特急臨時列車に間に合う、日暮里駅到着のJR線の列車を調べてみた。
以下にまとめたのがその一覧だ。日暮里駅に乗り入れているJR線は、山手線、京浜東北線、常磐線の3路線があるが、そのいずれもアクセス特急臨時列車に間に合う列車が存在している。京浜東北線では大宮駅および桜木町駅から、常磐線では取手駅からと、比較的遠方からも間に合う列車があるので、東京都心以外からも十分にアクセス可能。このことから、今回のアクセス特急臨時列車は、東京都心だけでなく、周辺地域からの成田空港へのアクセス性も高めてくれるはずだ。
日暮里駅5時22分発のアクセス特急に間に合うJRの主な列車(平日、土曜、日曜とも同一時刻)
・山手線
内回り:大崎駅発4時47分、日暮里駅着5時14分
外回り:大崎駅発4時27分、日暮里駅着5時04分
・京浜東北線
横浜方面:大宮駅発4時30分、日暮里駅着5時06分
大宮方面:桜木町駅発4時19分、日暮里駅着5時12分
・常磐線
取手駅発4時35分、日暮里駅着5時13分
なお、日暮里駅の京成線乗り換え改札口は2カ所あるが、早朝時間帯はJR線コンコースから見て右側の乗り換え改札口が京成線からJR線への乗り換え専用となっている。そのため、JR線コンコースから見て左側の乗り換え口から京成線側へと入る必要があるので注意したい。もちろん、京成線の改札口は始発列車に合わせて開いているので、日暮里駅から乗車する場合は、普段と変わらないはずだ。
6時30分前に成田空港第3ターミナルに到着できた!
今回、アクセス特急臨時列車が運行開始となった7月16日に、そのアクセス特急臨時列車に日暮里駅から乗車して、成田空港第3ターミナルへ何時に到達できるか確認してみた。
日暮里駅でのアクセス特急の乗り場は、スカイライナーに乗車する1番線ホームではなく、各駅停車や特急などに乗車する2番線ホームとなる。JR線乗り換え口からは、床にオレンジ色で「成田スカイアクセス線」と書かれた案内に従い、エスカレータやエレベータ、階段を上って2番線ホームへと進めばいい。また、後ろから6両目または7両目に乗車すると空港第2ビル駅到着時に改札にエスカレータに近い場所で、最後尾車両に乗車するとエレベーターに近い場所でそれぞれ下車できるのでお勧めだ。
当日は3連休初日の土曜日ということもあって、始発列車の乗客が多く、2番線ホームには始発列車出発前から比較的大勢の人が電車を待っていた。その多くは始発の普通列車に乗車し、アクセス特急臨時列車に乗る人は思ったほど多くなかったが、今後本格的に夏休みの旅行シーズンが開始するので、利用客も増えるものと思われる。もちろん当日も、成田空港から旅行に出発すると思われる乗客がいたのは言うまでもない。
アクセス特急臨時列車は、定刻どおり5時22分に2番線ホームへと入線。京成上野駅からの乗客もそれほど多くなく、余裕で着席できた。あとは空港第2ビル駅への到着を待つだけだ。
なお、アクセス特急臨時列車は、先の時刻表でも紹介しているように、日暮里駅以降は、青砥駅、京成高砂駅、東松戸駅、新鎌ヶ谷駅、千葉ニュータウン中央駅、印旛日本医大駅、成田湯川駅に停車する。それら停車駅からの乗客にとっても、成田空港への早朝アクセスを実現する便利な存在となるだろう。
さて、乗車したアクセス特急臨時列車は、空港第2ビル駅に定刻の6時12分に到着。混雑している状況も想定しつつ、ゆっくりと改札に移動して改札を出たのが6時15分頃。そして、そこから730mほど離れている第3ターミナルまで、一般的な大人の歩く速度で移動したところ、6時28分頃に到着できた。7時00分出発のIJ621便に搭乗するには、やはり時間が足りないという印象だが、それ以降の出発便なら十分間に合うと言ってよさそうだ。
ジェットスター・ジャパン利用ならウェブ・チェックインで時間を節約
ところで、今回はアクセス特急臨時列車に乗車するだけでなく、実際にLCC早朝便に搭乗できるかどうかもチェックすることにしていた。ターゲットとなった便は、ジェットスター・ジャパンの7時05分発福岡行きGK507便。そちらの便に、ちょうどCar Watch編集部の椿山さんが搭乗することになっていたので、実際にアクセス特急臨時列車を利用して間に合うか確認してもらうことにした。
ただ、アクセス特急臨時列車を利用して第3ターミナルに到着するのは6時25分前後となり、7時05分発のGK507便に搭乗するには時間が厳しいのも事実。そこで活用したいのが、ジェットスター・ジャパンが提供しているサービス「ウェブ・チェックイン」だ。
先に紹介しているように、ウェブ・チェックインは、国内線出発時刻の48時間前から1時間前までにPCやスマートフォンを使ってチェックイン手続きが行えるサービスだ。預け入れ手荷物がなければ、ウェブ・チェックインであらかじめチェックインを終わらせておくことで、空港到着後にカウンターでの手続きを行なうことなく保安検査場から出発ゲートへと進めるので、大幅に時間を節約できる(条件によってはウェブ・チェックインが利用できない場合もあるので、詳しくはジェットスター・ジャパンのホームページ[http://www.jetstar.com/jp/ja/help/articles/checking-in#webcheckin]を参照のこと)。
なお、従来まではウェブ・チェックインを行なった場合に、あらかじめ搭乗券をプリンタで印刷しておく必要があったが、2016年1月6日よりスマートフォンに保存してペーパーレスで利用できる「モバイル搭乗券」が利用できるようになるとともに、2016年3月29日からはスマートフォン用アプリ「ジェットスターアプリ」にモバイル搭乗券を保存して利用できるようになった。このモバイル搭乗券を活用すれば、いちいち搭乗券を印刷することなく、スマートフォンの画面にモバイル搭乗券を表示させて見せるだけでよく、より簡単に活用できるようになった。そこで、今回もこのモバイル搭乗券を活用することにした。
7時05分発のGK507便では、6時05分までにウェブ・チェックインを終わらせる必要がある。ウェブ・チェックインは出発時刻の48時間前から行えるので、可能ならもっと早い段階で終わらせた方が安心だが、アクセス特急臨時列車は日暮里駅を出発するのが5時22分なので、乗車後でもまだ十分間に合う。今回のような早朝便を利用するということでなくても、空港での手続きにかかる時間を節約できるという意味で、ウェブ・チェックインは非常に便利なので、ぜひとも活用したい。
7時05分発のGK507便に無事搭乗!
ここからは、実際にGK507便に搭乗したCar Watchの椿山さんにバトンタッチし、成田空港第3ターミナル到着からGK507便搭乗、そして福岡空港到着までをレポートしてもらう。
はい、椿山です。当日は、空港第2ビル駅には定刻どおり6時12分に到着。改札を出てから第3ターミナルまでは730mほどの距離があるので寄り道せずにまっすぐに向かいました。一応連絡バスもありますが、時間のロスが怖いので歩いて向かいました。第3ターミナルの利用は初めてで道に迷うことが不安でしたが、施設の道案内がしっかりしているので、問題ありませんでした。
テクテク歩いて行って第3ターミナルには6時28分過ぎに到着。自分が搭乗する7時05分発のGK507便ではカウンターチェックインと受託手荷物の受付締切が出発30分前なので、事前にウェブ・チェックインを済ましておかないとアウトなタイミング。今回は、初めてウェブ・チェックインを利用したので、きちんとチェックインできているかどうか念のためカウンターのスタッフに確認してもらいました。いざ、スタッフに内容を確認してもらおうとスマホの画面を示そうとしても、お目当ての画面が出てこない(これは、スクリーンショットで保存しておくのがお勧め)などなど、まごまごしながらも無事に搭乗することができました。
福岡空港に到着後、ホッとひと息して到着口にある時計を確認すると9時18分。そこから地下鉄空港線で移動して福岡の繁華街である天神には10時に到着することができました。最も早く都心から福岡に到着する新幹線は、品川駅発6時00分~博多駅着10時48分の「のぞみ99号」なので、京成電鉄のアクセス特急を使うことで、LCCの低価格な料金を活かしつつ、約1時間程度早く福岡の繁華街へ到着できました。
約1時間をどう捉えるかは、どのような目的で出かけるのかによると思いますが、夏休み期間中の貴重な観光タイムを少しでも捻出できるのは魅力です。また、LCCを利用した移動のため、早めに航空券を購入すれば交通費も新幹線より抑えることができる可能性が高いのも魅力の1つだと思いました。以上、椿山でした。
アクセス特急臨時列車で早朝便に乗れば、旅行先でも時間を有効活用できる
今回、実際にアクセス特急臨時列車を利用してみて、7時台に成田空港第3ターミナルを出発する早朝便に間に合うのはもちろん、8時台以降に出発する便を利用する場合でも、第3ターミナルまで慌ただしく移動する必要がなくなるため、余裕を持って旅に出られる、とても便利な列車だと感じた。
成田空港出発の早朝便を利用する場合には、東京駅などから運行されている高速バスを利用する人も多いはずだ。しかし、高速バスは交通事情によって到着時刻が大きく左右されるため、目的の時刻に確実に到着したい場合など、どうしても不安がある。特にLCCは、受付時刻を少しでも過ぎてしまうと、該当便に搭乗できないだけでなく、購入チケットの種類によっては後続便への振替や払い戻しもないため、ちょっとした遅延でも取り返しの付かないことになる。
しかし、成田空港まで電車を利用するのであれば、その心配は少ない。もちろん、まったく遅延がないということはないが、バス利用と比べると、定刻に到着する割合は圧倒的に高く、目的の時刻までに確実に到着したい場合には、電車の方がバスよりも明らかに有利だ。加えてアクセス特急は、スカイライナーと違って特急券不要で乗れるため、懐に優しい点も嬉しい部分だ。
そして、成田空港に夜22時以降に到着する深夜便でも、アクセス特急臨時列車があるために、慌ただしく第3ターミナルから空港第2ビル駅に走って移動しなくてよいのも、大きな魅力。成田空港発の早朝便を利用して旅行に出発し、成田空港深夜着の便で戻ってくるというスケジュールも組みやすくなり、旅行先でめいっぱい楽めることになる。この点でも大いに活躍してくれそうだ。アクセス特急臨時列車は、8月31日まで運行されるので、この夏の旅行で活用してみてはいかがだろうか。
ところで今回筆者は、アクセス特急臨時列車で成田空港第3ターミナルに到着後、ジェットスター・ジャパンのGK307便で沖縄まで1泊旅行に出かけてきた。ジェットスター・ジャパンの沖縄便は、成田空港を6時40分、8時40分、10時40分と、午前中に3便ある。このうち6時40分の便はアクセス特急臨時列車でも間に合わないが、8時40分または10時40分の便なら利用できる。ただし、今回乗車した7月16日は3連休初日で、8時40分出発の便は空席がなかったため、仕方なく10時40分出発のGK307便を利用することになった。それでも、沖縄で1泊し、帰京は沖縄(那覇)を19時25分に出発し、成田空港に22時00分到着するGK318便を利用したことで、ほぼフルに滞在時間が確保でき、いろいろな観光地を巡ることができた。最後に、その様子を写真で紹介する。
(協力:京成電鉄株式会社)