旅レポ
滋賀県のスイーツ・ツアーで食と観光の魅力を存分に味わってみた
近江の絶品ご当地スイーツを味わい、琵琶湖湖畔の文化を感じ、そして美人湯に浸かる
(2015/10/27 00:00)
滋賀県は、県内のスイーツや温泉を紹介するプレスツアーを10月20日~21日に実施。近江の絶品ご当地スイーツを味わい、琵琶湖湖畔の文化を感じ、そして美人湯に浸かるなど、2日間かけて滋賀県の魅力をたっぷり堪能してきたので、その様子をレポートする。
「叶匠壽庵 寿長生の郷」で和菓子作りを体験
東京から東海道新幹線を米原駅で乗り換え、東海道本線で約2時間半。石山駅より無料シャトルバスで30分揺られ、まずは最初の目的地「叶 匠壽庵 寿長生の郷」での和菓子作り体験へ。
食事、和菓子教室、お茶会がセットとなった「和菓子作り教室(美山つづら弁当プラン)」(6480円)では6万3000坪と東京ドーム約4倍の広大な里で収穫された食材や滋賀県ならではの食材を使った「美山つづら弁当」を味わった後、職人から直に手ほどきを受けながら季節の和菓子を3種類の中から合計4個作ることができる。
「美山つづら弁当」はつづら内に2段の重箱が入っており、琵琶湖のイサザを使った小鉢や、ご当地食材である赤蒟蒻と近江牛の佃煮を始め、郷で作られた野菜を使ったメニューがたっぷり。魚三種盛りや季節の野菜なども付く。デザートの里の梅シャーベットは、敷地内で育てている城州白梅から採れた梅で作られている。梅の風味と氷のシャリっとした口当たりが爽やかに昼食を締めくくってくれる。
そして、体験後はお茶室にてゆったりとお抹茶を楽しめる人気のプランだ。10月は柿、菊、錦秋で秋の紅葉を彷彿させる色合いが美しい3品。白あんをベースにした“こなし”や“ういろう”から美しい花弁を繊細な作業で1時間半から2時間ほどけてじっくり生み出して行く。
名物の「あも」。京の女言葉で餅の事を“あんも”と言うが、そこから拝借し「あも」と命名。季節限定の「あも(柚子)」(1本1296円)は柚子の香りがふわりとするとろける求肥をふっくらと炊いた春日大納言小豆で包み上品な味わい。教室では今回「菊」を制作。作る時のコツは、こなし生地をしっかり手で揉むこと。ひび割れを防ぎ出来上がりが美しくなる。きんとん箸や三角ベラなどの専門道具で職人さながらに作ることができる。
雄大な自然の中、時間の流れをゆったり感じながら優雅なひと時が過ごせるとともに、食事だけではなく広大な敷地内の遊歩道にて季節の草花も感じられ、1日中楽しめるスポットとなっている。
叶 匠壽庵 寿長生の郷
所在地:滋賀県大津市大石龍門4-2-1
電話:077-546-3131
営業時間:10時~17時(水曜定休)
Webサイト:http://www.sunainosato.com/
紫式部と「源氏物語」の石山寺、門前名物「たばしる」
次の目的地は京阪電鉄 石山寺駅より徒歩10分の「石山寺」と門前の名物「たばしる」。奈良時代に建立された同寺は、日本有数の観音霊場であり、西国三十三所観音霊場第13番札所として常に大勢の人々でにぎわっている。また、紫式部が源氏物語の構想を練り、執筆した場所として有名で、清少納言や、和泉式部も日記などに同寺に関する記述なども残すなど、時代を越えて学問の寺として愛されている。11月の紅葉のシーズンには、幻想的な光でライトアップを行なう「あたら夜もみじ」を11月14日~29日に行なう予定。なお。平成28年3月18日より12月4日にかけて日本で唯一の勅封秘仏である「本尊如意輪観世音菩薩」が33年に一度ご開帳し、約5mの姿を拝むことができる。
歴史と文化をたっぷりと感じた後は、石山寺の門前の「茶丈藤村」で名物和菓子「たばしる」でほっこり。石山寺の境内で松尾芭蕉が詠んだ俳句を由来としている「たばしる」は、ふんわり口溶け滑らかな求肥(ぎゅうひ)に、蜜をたっぷり含んだ粒そのままの丹波大納言小豆とカリカリの胡桃を包み、程よい甘さと食感でまさに絶品。併設された甘味喫茶で味わったあとは、お土産として確実に手にしたい逸品だ。
石山寺
所在地:滋賀県大津市石山寺1-1-1
電話:077-537-0013
拝観時間:8時~16時30分(入山は16時まで)
入山料:個人 600円(小学生250円)
Webサイト:http://www.ishiyamadera.or.jp/
茶丈藤村
所在地:滋賀県大津市石山寺1-3-22
電話:077-533-3900
営業時間:9時~18時(火曜定休)
Webサイト:http://www.sajo-towson.jp/
琵琶湖汽船「ミシガンクルーズ」と12段パンケーキ「ミシガンパドルパンケーキ」
続いては、日本最大の湖「琵琶湖」へ。京阪電鉄 浜大津駅より徒歩3分、東海道本線 大津駅よりバスで5分の距離に船着き場がある琵琶湖汽船「ミシガン」に乗船し、雄大な景色を堪能する「ミシガンクルーズ」と船上限定のスイーツ「ミシガンパドルパンケーキ」に舌鼓。今回は大津港発からにおの浜までの約25分間A区間コース(930円)を選択。琵琶湖回遊の場合は約80分の「ミシガン80」、約60分の「ミシガン60」、約150分の「ミシガンナイト」の三種類のクルーズコースも用意されている。船内では操船の見学や、スカイデッキから琵琶湖の360度パノラマビューを堪能など各種エンタメとともに食事も楽しめる。
ミシガンカフェでは、船の特徴でもある12枚の外輪パドルをイメージして考案されたオリジナルパンケーキ「ミシガンパドルパンケーキ」(1600円)も人気。近江米の「みずかがみ」製の米粉をふんだんに使い、もっちりふんわりな口当たりで、女性も12枚を完食できるほどの美味しさ。ベリーを使うことでパンケーキ自体もピンクにするなど見た目も可愛く味も抜群、しかもロケーションも最高な贅沢スイーツと言える。
琵琶湖汽船
乗船場所:滋賀県大津市浜大津5-1-1(大津港)
電話:0120-050-800(9時~17時)
Webサイト:http://www.biwakokisen.co.jp/
「佐川美術館」にある現代の茶室の「樂吉左衞門館 茶室(俯仰軒)」
1日目最後は、湖西線 堅田駅よりバスまたはタクシーで約15分の「佐川美術館」へ。同美術館は、3館からなり日本画家の平山郁夫、彫刻家の佐藤忠良、陶芸家の樂吉左衞門の作品を中心に展示を行っている。館内には茶室「俯仰軒」を併設しており、水面と床部分が同じ高さなっているなど、いつもとは異なる視点で周りの植物や風景を味わえ、さらに美しい夕日も眺められる。茶室見学とともに、樂吉左衞門作のフランスRAKU茶碗を実際に使う茶会も抽選制で行っており、鑑賞するだけではなく、手に取りその良さを体験できる行事も開催している。また、展示されている彫刻に手を触れる事ができたり、絵画作品と鑑賞者との間にガラスを設けないなどより身近にアートを感じられる展示方法を行なう数少ない美術館のひとつだ。
館内のカフェでは展示に合わせたメニューや季節のスイーツも味わえ、静かな空間でアートに触れた後、水面を眺めながら休憩が可能。
佐川美術館
所在地:滋賀県守山市水俣町北川2891
電話:077-585-7800
開館時間:9時30分~17時(月曜休館 祝日にあたる場合はその翌日)
入館料:一般1000円、高校生・大学生800円
Webサイト:http://www.sagawa-artmuseum.or.jp/
琵琶湖湖畔の老舗旅館「おごと温泉 びわ湖花街道」
1日を通して滋賀県の食と文化をたっぷり味わった体は、地元の温泉でじっくりと癒したいもの。この日は、湖西線 おごと温泉駅から送迎バスで5分。比叡山延暦寺の開祖最澄が約1200年前に開湯したおごと温泉の豊富な湯を使った4つの湯船と、滋賀県の厳選した食材で生み出された贅沢な会席、そして全客室から琵琶湖の景色が楽しめる老舗旅館「おごと温泉 びわ湖花街道」に宿泊。女性の宿泊者にはチェックイン時に浴衣と帯が4色の中から選べ、いつもとは違う姿で過ごす事ができるうれしいサービスも。
宿泊した部屋は、和室10畳+4.5畳(露天風呂付き2名1室2万7000円~)のワンランク上の部屋に宿泊。2~6名まで泊まれる広々とした室内から琵琶湖を一望でき、ゆったり、のんびりと琵琶湖の移り変わる景色を観る事ができる。部屋の露天風呂ならば檜の爽やかな香りの中、夜はライトアップされた湖畔、朝は日の出に照らされる湖畔を湯船から独り占めも。
大浴場は4種類の湯船があり、内湯の「ばんからの湯」と「はいからの湯」、露天風呂の「ひだまりの湯」「こもれびの湯」があり、貸切風呂の「び~どろの湯」もある。これらは、露天風呂は心と体を癒せるよう工夫がされており、バリアフリー対応やベビーベッドも完備、休憩場所も多く、じっくり雄琴の湯で温まれる。低張性アルカリ低温泉のとろりとした湯のため湯上がりはしっとりツヤツヤの肌になり、まさに美人の湯だ。すべての温泉の利用時間は11時30分~25時、6時~10時(毎週火曜日は清掃のため14時~25時)。
この日の宿の夕食は、地元の名産品を使い、「おうみの名工」を受賞した中川聡料理長が手掛ける「近江牛御膳」。見た目も華やかで味も絶品と滋賀県ならではの土地を生かした献立となっている。滋賀県がちょうど物流の交差点になっているため、海、山、川すべての美味しい食材が手に入りやすく、地元の美味しいものとともに周辺の厳選した素材を集めているという。
提供の仕方にもこだわりが。水晶プレートで近江牛を焼くことで遠赤外線効果により高熱でぎゅっと旨味を閉じ込めて肉本来の美味しさが味わえる。酸化鉄を含む滋賀県発祥の赤蒟蒻も焼くなど食べ方の新たな提案もしてくれるのはうれしい。また、同旅館は毎月献立を変えており、翌月宿泊した場合も違う料理内容、器、食材とのこと。時期とタイミングで食べる事のできる食事が異なる一期一会のプレミア感満載な料理が魅力と言える。
おごと温泉 びわ湖花街道
所在地:滋賀県大津市雄琴1-1-3
電話:0120-051041
宿泊料金:1泊3食付き1万6000円~
Webサイト:http://www.hanakaido.co.jp/
「白鬚神社」と「湖中大鳥居」
ツアー2日目は、前半に文化や伝統を中心の旅程となった。湖西線 近江高島駅からタクシーで5分の「白鬚神社」への参拝からスタート。創建より約2000年と近江最古の同神社は、天孫降臨の際、先頭で道案内を行った猿田彦命を祀っており、日本全国に300ほど存在する分霊社の総本山。猿田彦命が白髪、白い鬚姿になるまで近江を気に入り留まったことから延命長寿白鬚の神として信仰されてきた。また、導き、道開きの神としても知られている。鳥居が琵琶湖内にあり、「近江の厳島」とも呼ばれ湖上参拝が盛んな頃は浜辺に船を停泊させていた。
白鬚神社
所在地:滋賀県高島市鵜川215
電話:074-036-1555
Webサイト:http://shirahigejinja.com/
エコツーリズム大賞受賞「針江生水の郷 エコツアー」
続いては、湖西線 新旭駅より徒歩15分の針江にて「針江生水の郷 エコツアー」へ。豊かな湧き水を活かした生活様式、土地の文化などについて学ぶツアーで事前予約制だ。今回は「川端と街並みコース(Aコース1人1000円)」で1時間半かけて散策。地元住民の台所でもある川端は、比良山系に降った雨や雪が伏流水となり湧き出た水を使い家事や炊事に活用、現在も「きれいな水をびわ湖に戻す」精神で使用されている。各家庭には炊事や冷蔵庫がわりに使う“壷池”、水をきれいにするために鯉などを飼う“端池”があり、端池から水路に直接つながり、そのまま琵琶湖に流れ出る仕組み。水路にはさまざまな生き物が生活し、豊かな生態環境が保たれている。さらに近年では、2014年に「エコツーリズム大賞」も受賞し、川端文化の保全と湧き水の生活に日本や海外から注目がさらに集まっている。
針江生水の郷
所在地:滋賀県高島市新旭町針江
電話:0740-25-6566(針江生水の郷委員会事務局)
対応時間:10時~16時
Webサイト:http://harie-syozu.jp/
昼食は地元の食材を活かした明治13年創業の老舗料理店「川新」へ。「生水の郷御膳」(1500円)が一イチ押しとのこと。琵琶湖のびわ鱒のお造りに小鮎の甘露煮に天ぷら、地元上原豆腐店の豆腐と地野菜に卵、海老豆、そして新旭産のコシヒカリと地元の旬の味と伝統の味を食べ尽くすことができる人気のセットだ。
川新
所在地:滋賀県高島市新旭町1145
電話:0740-25-2237
営業時間:11時~14時(夜は予約制)
Webサイト:http://www.oryori-kawashin.com/
「道の駅 藤樹の里 あどがわ」の「アドベリーソフトクリーム」
2日目の後半は、スイーツ三昧として湖西線 安曇川駅より徒歩10分の「道の駅 藤樹の里あどがわ」へ。地元特産のアドベリー(ボイズンベリー)をふんだんに取り入れた「アドベリーソフトクリーム」(330円)は、甘酸っぱくベリーの果実感溢れる濃厚な味わいが魅力。初めて食べるその味はクセになるほど。アドベリーは、現在日本でほとんど栽培されておらず、収穫した日の夕方には鮮度が落ちる程繊細な果実。冷凍輸入ではなく、生の果実が味わえる貴重な場所として6月の収穫時期には安曇川にたくさんのファンが訪れるという。ジャムなどアドベリーを活かした製品も道の駅内で手に入れる事もできる。
道の駅 藤樹の里あどがわ
所在地:滋賀県高島市安曇川町青柳1162-1
電話:074-032-8460
営業時間:9時~19時(4月~8月)9時~18時(9月~3月)毎月第2水曜・元旦休館
Webサイト:http://mitinoeki-adogawa.com/
明治創業の和洋菓子店「とも栄」の「あど菓みるく」と「アドベリーマドレーヌ」
旅の最後に訪れたのは、安曇川駅より徒歩5分、明治7年から地元に、そして現在は海外にも和洋菓子を届けている老舗菓子店「とも栄」。アドベリーを使ったスイーツを数多く開発し、国際線のビジネスクラスのデザートにも採用されるなど評価も高い。一番人気は「あど菓みるく」(8個入り1100円)。乳製品を合わせる事で風味が増すベリーの特徴を活かし、ミルク餡にじっくり煮詰めたアドベリージャムがベストマッチな焼き菓子。また「アドベリーマドレーヌ」(6個入り1150円)では、お店から5分のファームから毎朝届く朝採れ卵を使ったしっかり目に仕上げたスポンジにジャムを合わせ酸味のアクセントが効いたスイーツ。店舗に併設する「TOMOE 和 Cafe」では「夏ふわ氷(アドベリー)」(550円)や「食べる甘酒」(250円)なども提供。イートインスペースもあり、その場でアドベリースイーツを頬張れるのもうれしい。
とも栄
所在地:滋賀県安曇川町西万木2-11
電話:0120-82-0145
営業時間:9時~19時30分(元旦のみ休業)
Webサイト:http://www.sweet-tomoe.com/