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チケットレスサービスが便利!! 京成モーニングライナー&イブニングライナーで超快適通勤
410円で必ず座れる、全席座席指定の優等通勤列車
(2016/5/25 00:00)
朝や夜など、通勤時間帯の公共交通機関の混雑は、地域を問わずサラリーマンにとって頭痛の種だろう。特に大都市圏での混雑は顕著で、特別な仕事があるときや、その仕事が成功し祝杯を挙げた後など確実に座席に座って通勤&帰宅したい人もいるだろう。
もっと快適な通勤環境を実現してほしい。そんなサラリーマンの切実な要望に応えるように、鉄道会社はさまざまな取り組みを行なっている。その1つが、有料ながら、座席指定で必ず着席できる、優等通勤列車の用意だ。今回は、京成電鉄が運行している優等通勤列車「モーニングライナー」および「イブニングライナー」と、その座席指定を便利に行なえるチケットレスサービスを紹介したいと思う。
本記事の後半では、京成本線沿線在住で東京23区内に通勤しているという設定での帰宅をイブニングライナーで体験したほか、京成本線特急の始発駅ではない京成佐倉駅からの都内への通勤をモーニングライナーで体験。その快適さを検証してみたので参考にしてほしい。
全席座席指定で必ず着席できるモーニングライナーとイブニングライナー
京成電鉄が運行しているモーニングライナーとイブニングライナーは、京成上野駅と京成成田駅または成田空港駅間を、京成本線経由で結ぶ優等通勤列車だ。モーニングライナーは、5時台と6時台に京成成田駅を出発する2本と、成田空港駅を7時台と8時台に出発する2本の、計4本を運行。イブニングライナーは、始発駅となる京成上野駅を18時台から23時台に出発する7本(うち3本は京成成田駅止まり)を運行している。また、双方とも土曜・休日も運転されている(平日と一部ダイヤは異なる)。
停車駅は、モーニングライナー、イブニングライナーとも同じで、京成上野駅、日暮里駅、青砥駅、京成船橋駅、八千代台駅、京成佐倉駅、京成成田駅、空港第2ビル駅、成田空港駅の全9駅(京成成田駅始発および京成成田駅止まりの電車は、空港第2ビル駅と成田空港駅には停車しない)。そして、京成上野駅と成田空港駅の間を、最短1時間12分で結んでいる。
モーニングライナーとイブニングライナーは、全席が座席指定となっており、乗車券のほかにモーニング・イブニングライナー券(特急券)を購入することで、確実に座って移動できる。始発駅から乗車する場合なら、ラッシュ時でも着席できるチャンスは多いかもしれないが、それ以外の駅では、ラッシュ時に着席できるチャンスはほとんどない。そればかりか、乗客が多すぎて身動きが取りづらい。それに対し、全席座席指定のモーニングライナーとイブニングライナーであれば、当然どの駅からでも確実に座れて、快適に乗車できることになる。
使用する車両は、スカイライナーと同じ3代目AE型電車。ゆったりとして深くリクライニング可能な座席を備え、一般的な通勤型電車に比べて、身体にも圧倒的に楽だ。混雑で体力を奪われることがないばかりか、リラックスして移動できるため、特にモーニングライナー利用時には、充実した1日を送れることになるだろう。
加えて、各車両にはスーツケースを収納できる荷物置き場が用意されており、大きな荷物を抱えて出社したり帰宅する必要がある場合でも安心。広々とした多目的トイレや洗面所、飲み物の自動販売機がある点も、一般の通勤型電車とは異なる大きなな魅力だ。
ライナー券の料金は、乗車駅や下車駅を問わず一律410円(小児は210円)。また、モーニングライナーのみ、指定のモーニングライナーの同じ座席を、1カ月間毎日利用できる「モーニングPASS」というチケットも販売されている(毎月25日から月末までの期間、翌月分を販売)。モーニングPASSの料金は8000円となっているため、1カ月に20回以上乗車するならモーニングPASSがお得となる。さらに、モーニングPASSは無記名なので、例えば平日は通勤の父親が使い、休日は家族の誰かが使う、ということも可能だ。このモーニングPASSは、京成成田駅、八千代台駅、京成船橋駅の定期券発売所または京成佐倉駅の窓口で販売されている。なお、乗車券には、通常の乗車券以外にも、回数券や定期乗車券も利用可能だ。
チケットレスサービスならスマートフォンで発車5分前まで予約可能
京成電鉄のモーニングライナーとイブニングライナーは、2015年12月5日のダイヤ改正から全席座席指定となった。それに伴い、それまでスカイライナーでのみ利用可能だったインターネット予約サービス「チケットレスサービス」を使って、モーニングライナーとイブニングライナーのライナー券も購入可能となった。
モーニング・イブニングライナー券は、停車駅のライナー券売機で乗車当日分を購入できる。また、イブニングライナー券については、JTB、日本旅行、近畿日本ツーリストで乗車1カ月前から購入できる。購入時には、乗車したい車両や座りたい座席を指定可能。ライナー券売機でも、座席表を見ながら好きな座席を選んで購入できる。ただ、旅行などで乗車する列車が事前に確定している場合なら事前予約も可能だが、普段の通勤で利用することを考えると、当日の予定に合わせてライナー券を購入したい。そうなると、乗車する直前に、駅に設置されているライナー券売機で購入するのが基本となるだろう。
ただ、駅のライナー券売機は、常に稼働しているわけではない。例えば、日暮里駅に設置されているライナー券売機では、イブニングライナーのライナー券を、発車時刻20分前から2分前(混雑状況により、発売時間を延ばすこともある)の間に購入可能となっている。しかも、座席表から座席を指定して購入できるのは出発時刻10分前まで(それ以降は、開いている席が自動的に割り当てられる)。そのため日暮里駅では、発売開始前からライナー券を購入しようとする乗客が券売機前に行列する様子も見られるほどだ。時間に余裕のある場合には問題ないが、発車時刻ぎりぎりに駅に到着する場合には、好きな座席を選べないだけでなく、イブニングライナー券を購入できずに乗車できない場合もあるだろう。
そこでお勧めなのが、チケットレスサービスの利用だ。チケットレスサービスを利用すれば、スマートフォンを使っていつでも簡単にライナー券を購入できる。例えば、帰宅時のため会社を出た直後や、乗り換え駅までの電車の中、帰宅前に一杯飲む居酒屋の中など、場所を問わず購入できる。もちろん、乗車したい車両や座りたい座席を、座席表を見ながら指定できるし、当日分だけでなく翌日以降のライナー券も1カ月前から予約・購入できる。乗換駅に時間ぎりぎりに到着する場合でも、そこまでの移動中に購入できるため非常に便利だ。そして、乗車時には、駅の改札などでスマホの購入画面を見せるだけでいい。この利便性を考えると、モーニングライナーやイブニングライナーを利用する場合には、チケットレスサービスの利用が断然お勧めと言える。
なお、チケットレスサービスを利用するには、あらかじめ会員登録とクレジットカードの登録を済ませておく必要がある。また、チケットレスサービスを利用する場合でも、発車時刻の5分前までに購入を済ませる必要がある。発車5分前を過ぎると、購入を完了していない予約は自動的にキャンセルとなるので注意したい。
イブニングライナー編「一杯やりながら帰宅」
まずは京成成田駅付近在住で、木曜夜の仕事終わりに日暮里駅周辺の居酒屋で同僚と軽く飲み、日暮里駅発22時06分のイブニングライナー71号で京成成田駅まで帰宅する、というシチュエーションでの乗車レポートから。
同僚と軽く飲むと言いつつゆっくりしていたら、すでに時計は21時半を回っていた。まだそれほど遅い時間ではないが、今日はまだ木曜日。明日も仕事があるので、そろそろ帰宅することにした。ほろ酔い気分で店をあとにして、日暮里駅へと移動。ただ、せっかくいい気分なのに、これから満員の電車に揺られて、それも座れずに1時間以上かかる京成成田駅まで帰るのはつらい。というわけで、ゆったりイブニングライナーで帰ることにした。
居酒屋から日暮里駅までの道中、スマホを取り出し、チケットレスサービスで次のイブニングライナーを検索。次に乗れるのは、22時06分発のイブニングライナー71号。さすがに木曜夜だけあって、すでに結構座席が埋まっていたが、日暮里駅の券売機で当日券販売が始まっていない出発20分以上前だったこともあって、難なく座席を確保。駅に到着する前に座席を確保できるのは、やはり非常に便利だ。
日暮里駅に到着したのは、出発から約20分前の21時45分頃。いつも使ってるPASMOで改札を通過して駅構内に入ったところで、ふと思い立った。ゆっくり居酒屋で飲んでいたけど、同僚との話に夢中になって、まだちょっと飲み足りない気分。そこで、車内でもう一杯やることにした。日暮里駅構内のファミリーマートは酒類を販売しているので、缶ビールとおつまみのピーナッツを購入。普通の通勤電車では、車内でビールを飲むのはさすがにマナー違反だが、優等列車のイブニングライナーなら問題なし。これも、イブニングライナーを使う大きな魅力だ。
発車時刻が迫ってきたので、ホームへと移動。日暮里駅では、イブニングライナーはスカイライナー同様に専用乗り換え口を経由し1番ホームから乗車する。専用乗り換え口ではライナー券のチェックがあるが、チケットレスサービスを利用した場合には、スマホの画面に購入画面を表示して駅員に見せるだけ。全席座席指定のため、自分の座席に着席している限り、車内で検札されることもない。
ホームに移動すると、反対側の2番線ホームで大勢の乗客が電車を待っているのが見えた。その乗客は、ほとんどがイブニングライナーより先に発車する電車に乗っていたが、車内はかなり混雑し、大多数が座れずに乗車していた。半面、こちらは確実に座れるのだから、その状況を見るだけでもチケットレスサービスなどで購入する意味はあるだろう。
イブニングライナー71号は、22時02分頃に日暮里駅にゆっくり入線。イブニングライナーは、一部乗車駅では一部車両しか扉が開かないが、日暮里駅では全車両の扉が開くので、予約した号車の扉から乗車。予約した座席に移動して着席だ。
イブニングライナーは、スカイライナーと同じ車両を利用していることもあって、とにかく座席は非常に快適。シートピッチは1050mmとかなり余裕があるので、足を伸ばしてリラックスして座れ、足下に荷物を置いたとしても窮屈な感覚は一切ない。座席の幅は470mmと、こちらもゆったりしており、背もたれを深くリクライニングできることと合わせて、一般通勤電車とは次元の違う快適さ。当日は、日暮里駅の次に停車する青砥駅で満席に近い乗客数となったが、このゆったりとした座席のおかげで、下車駅の京成成田駅まで快適に乗車できた。
その後、1時間ほどで京成成田駅に無事到着。普段は、仕事疲れと混雑した電車での疲れがドッと吹き出す瞬間だが、ゆったり座り、ビールを飲みながら帰れたおかげで、とても心地よく駅ホームに降り立つことができた。これなら明日の仕事にも気分よく取り組めそうだ。
モーニングライナー編「ラッシュの混雑を横目に快適出勤」
日を変えて次は、モーニングライナーだ。京成成田駅は、通勤電車の始発駅でもあるので、一般の通勤電車でも着席できる可能性が高くなる。そこで、始発の電車が少なく、朝の通勤時間帯に着席が困難という理由から、京成佐倉駅から乗車するというシチュエーションだ。
平日に京成佐倉駅を出発するモーニングライナーは4本あるが、今回は6時15分発のモーニングライナー62号を利用した。日暮里駅に7時04分着と通勤にはやや早いかもしれないが、いつもより早めに出勤する必要があることを想定しての選択だ。
京成佐倉駅では、1・2番線ホーム上にライナー券売機が設置されており、5時15分頃からライナー券を購入できる。もちろん、当日朝に券売機で購入してもいいが、時間を有効活用するなら、チケットレスサービスで事前に購入しておいた方がいい。わずかな時間でも惜しい朝ならなおさらだ。翌日の予定が分かっているなら、前夜に購入しておくのもいいだろう。
京成佐倉駅では、モーニングライナーは2番線に入線する。ドアが開くのは3号車のみとなっており、入線前に乗客が3号車乗車口付近から行列することになる。ただし、2番線にはモーニングライナー以外の電車も入線するため、まず1番線側に行列が作られ、モーニングライナー入線直前に2番線側へと移動することになる。
ホームライナー62号は、6時15分発と比較的早い時刻に出発するが、乗車した日には、乗車前から30人以上の長い行列ができていた。とはいえ、全席指定なので慌てる必要はまったくない。列に並ぶと、駅員がライナー券を確認に来るが、今回はチケットレスサービスで事前購入していたので、イブニングライナー同様に購入画面を見せるだけだ。
乗車したら、予約した座席まで移動。予約した座席の号車によっては、少々移動するが、まだ車内はそれほど混雑していないし、混雑していたとしても、座席数以上の客が乗ることはないため、移動自体が面倒なことはない。
座席に着いたら、日暮里駅に到着するまで自由に過ごせる。朝の情報収集で新聞を読むのもいいし、座席に大きなテーブルが備わっているので、出勤前にPCを使った資料整理などもいいだろう。ゆったりとした座席なので、新聞も余裕で開いて読めるし、モーニングライナーで使用されている3代目AE型電車には、全座席にコンセントが用意されているので、PCもバッテリ残量を気にせず利用できる。もちろん、朝食を食べる、コーヒーを飲んでリラックス、または到着まで一眠り、といったことも可能だ。移動中の時間を自由に有効活用できるという点は、一般の通勤電車にはない、モーニングライナーの大きな魅力と感じた。
また、比較的朝の早い時間帯の電車ではあるが、途中駅を眺めていると、日暮里に近付くにつれ、大勢の乗客がホームで電車を待っている姿や、立っている乗客が多数乗車している電車が見られた。そういった姿を眺めながら、ゆったり座って通勤できるというのは、なんとも言えない優越感だ。これなら、体力的に楽なだけでなく、精神的にもリラックスして移動でき、今日1日、仕事にも余裕を持って取り組めそうだ。
その後、日暮里駅には定刻どおり7時4分に到着。まだ朝のラッシュピーク時間ではないこともあって、日暮里駅はまだそれほど混雑してはいなかった。そして、JR線乗り換え改札口からJR線へと移動し、目的地まで向かったのだった。
410円の価値は十分あり。ここぞと言うときに積極的に使いたい
今回、モーニングライナーとイブニングライナーを体験してみて、優等列車らしい快適な環境で、体力を消耗することなく移動しつつ、移動時間を好きなことに有効活用できるありがたさを痛感できた。筆者は京成本線沿線の住民ではないが、使える環境に住んでいたら、積極的に使いたいと感じたほどだ。
あとは、料金の410円をどう感じるかだけだろう。いまの時代、410円でできることを考えると、安易に安いと言うつもりはない。しかし、通勤時の体力消耗を軽減し、移動中の時間を有効活用でき、通勤後の仕事にも体力的、精神的に好影響を与えるというメリットを考えると、個人的には410円も簡単に元が取れると考える。もちろん、毎日使う必要はない。今日は朝から大事な会議があって失敗できない、というように、ここぞという日に使うだけでも、その魅力が十分に感じ取れるはずだ。
メリットについては、一度体験してみることがいちばんなので、とにかく一度乗車してみてもらいたい。そして、その時には同時にチケットレスサービスも利用して、チケット購入から乗車までの利便性も合わせて体験してほしい。
(協力:京成電鉄株式会社)