ニュース
JR西日本、遠隔セキュリティカメラを新今宮駅で5月19日運用開始
セレモニーには酒場詩人の吉田類さんも参加
(2016/5/19 16:06)
- 2016年5月19日 開催
JR西日本(西日本旅客鉄道)は5月19日、新今宮駅(大阪市浪速区)にて遠隔セキュリティカメラ運用開始セレモニーを開催した。
遠隔セキュリティカメラは、ホームにおける安全対策とG7伊勢志摩サミットに向けたテロ対策の一環として5月19日から新今宮駅で運用が開始されたもので、セレモニーの冒頭では映像とともに遠隔セキュリティカメラシステムの概要が説明された。
駅のホームなどに設置された防犯カメラからの映像を検知装置が定点観測し、酩酊や体調不良などで著しく蛇行している歩行者、ホームやベンチなどに長時間座り込んでいる人、ホームから線路内への侵入、あるいは不審物の置き去りといった異常を発見すると、監視センターに異常を通知する。センター係員はその通知内容を精査して、現地対応が必要と判断した場合は駅に連絡し、駅係員が異常に対応するというもの。
新今宮駅ではこの遠隔セキュリティカメラが33カ所に設置されている。これらのカメラはあくまで異常な行動や不審物を検知するもので、個人の特定などは行なわないという。
システムの説明のあとに、JR西日本の鉄道本部駅業務部長である本田博己氏が挨拶をした。「お客さまに、より安心・安全にご利用いただく駅をどうやってつくっていくか、それが我々鉄道会社の最大の使命だと考えております。日々12万人ほどと環状線のなかでも特に利用客が多い新今宮駅では、なにか1つの安全対策ですべてが解決するわけではなく、日々知恵を絞りながらさまざまな安全対策を行なっています。
今回の遠隔セキュリティカメラのシステム導入はその一環であります。ですので、このシステムだけで100%の安全を保証できるものではありません。あくまで安全への取り組みの武器の1つとして、育てていきたいと考えております。
また、もしも気分がすぐれない人、お酒を召されて体調を崩された人、持ち主が分からない不審物などを見かけられたら、ぜひ駅係員にお声掛けいただけると幸いです。お客さまと一緒に駅の安全を作り上げていきたいと思っております」と、駅の安全は機械とスタッフと利用客によって高められていくことを述べた。
続いてJR西日本新今宮駅長の松田竹千代氏が登壇。「新今宮駅は大阪のシンボルである通天閣や動物園が近く、乗り換え客も多く、大変たくさんの方々にご利用いただいております。また、近隣に飲食店が多いことから、夕方から夜にかけてはお酒を召されたお客さまを多く見かけられるのも当駅の特徴でございます。今回遠隔セキュリティカメラが導入されることを機に、監視センターの皆さんと協力して、ホームの安全性向上のために駅係員一同取り組んでいきたいと考えております」と挨拶した。
最後にJR西日本の安全キャンペーンである「お酒を飲んでもちゃんと帰る隊」で隊長を務めるイラストレーター、エッセイストの吉田類さんが登場。
「どうしてもお酒を飲むと気が緩んでしまうもので、ふらふらと歩いていても本人は気づいていないものなんですね。そこでお酒に縁がある私が隊長を拝命しているわけでして、この遠隔セキュリティカメラに映る可能性が高いのは私かもしれませんね。
でも私も以前にホームに転落した乗客を目撃して以来、お酒を飲んだときにはホームの端には立たない、歩かないように心がけています。それに、今朝の新今宮駅を見ていて感じたんですが、柵がないホームでは、ラッシュ時には酔っていなくても危ないですよね。今回導入される遠隔セキュリティカメラが果たす役割はとても重要だと思います」とジョーク交じりにも遠隔セキュリティカメラの必要性について述べた。
そして俳句愛好会「舟」を主宰している吉田類さんが、この遠隔セキュリティカメラ導入を受けて詠んだ「真ごころの 眼差しありて 青葉木菟(アオバズク)」という一句を発表。「御守(おまもり)」と書いて「御守(みまもり)」と読むボードに、自身のサインとともに書き込み、ジェイアール西日本総合ビルサービスのBSサポートセンター隊長である杉山聖司氏に寄贈した。
アオバズクはとても愛くるしい風貌のフクロウのことで、ギョロッとした目が「いかにも見ているぞ」という印象があり、夏の季語でもあることで取り入れた。カメラはその後ろに真ごころがあってはじめて機能するもので、利用客にもそんなカメラが見守ってくれているんだということを意識してもらえたらと思ったと、この句に込めた思いを語った。