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カシオ、アウトドア利用にフォーカスしたデジカメ新モデル「EX-FR100」を12月11日に発売

3軸手振れ補正、高品質なインターバル撮影&ハイライト機能で、幅広いアウトドアアクティビティに

2015年12月11日 発売

カシオ計算機が新デジカメ「EX-FR100」を発表

 カシオ計算機は、デジタルカメラの新製品「EX-FR100」を12月11日から発売する。レンズ部と本体部が分割する斬新なスタイルで注目を集めた「EX-FR10」の上位機種に位置付けられ、「Outdoor Recorder」という新たなブランディングで提案し、広範なアウトドア用途を意識した製品として訴求していく。価格はオープンで、実売予想価格は6万円前後。従来機種のEX-FR10は併売される。

ボディカラーはホワイト、イエロー、ブラックの3色
展示イメージ

手振れ補正、スローモーション撮影、最適な1枚を選び出すインターバル撮影も

 EX-FR100は、従来のEX-FR10と同様にレンズ部と本体部を分離できる一風変わったスタイルのデジタルカメラ。レンズだけを持ち歩いて撮影することも、離れたところから本体部を操作してリモート撮影することも、あるいは合体させて一般的なデジタルカメラ風に手持ち撮影することもできる。本体部には3.0インチのタッチ対応液晶ディスプレイが搭載され、撮影前の映像プレビューや撮影中の様子をチェックしながら、自由自在にレンズ部を配置してさまざまなアングルから撮影できる。

EX-FR100。従来のEX-FR10からは若干サイズが大きくなっている
プレートを本体に差し込んで固定。ヒンジでカメラの角度を調節できる
リモート操作で撮影できるほか、合体して通常のデジカメ風に扱うこともできる
レンズ部単独で撮影も可能

 レンズは広角16mmのF2.8で、上下左右+回転方向の3軸手振れ補正により、明るく安定した撮影が可能。撮影フォーマットは動画がフルHD(1920×1080ドット)/30fps、640×480ドット/30fps、スローモーション撮影用の512×384ドット/240fpsの3種類、静止画はJPEGで4000×3000ドットおよび2560×1920ドットの2種類となっている。撮影データはレンズ部に挿入したmicroSD/SDHC/SDXCに保存される。

レンズは16mm。少ない歪みで広い視界を実現
3.0インチ、92万画素の大きく見やすくなった本体部のディスプレイ
加速度センサーを活用し、ピンボケ、手振れを防止
さらにジャイロセンサーも用いることで、3軸対応の手振れ補正を実現

 IPX8/6、IP6X準拠の防水・防塵防じんに対応しただけでなく、耐衝撃性能も備えており、レンズ部および本体部は、単独では1.7mからの落下に、合体時は1.3mからの落下に耐える。さらにマイナス5℃までの耐低温性能も備え、動きの激しいスポーツや衝突・落下の危険が伴うアクティビティ、冬の屋外での撮影にも安心して使えるのがポイント。頭部、腕、ベルト、三脚、パイプなどに簡単に固定できる多数のマウント類もオプション販売される。

頭部、ベルト、三脚などに取り付けられるマウントや、自撮りにも使えるスティック、防水ハウジングもオプションで用意。暗いところでもきれいに撮影できるようにするリングライトも販売される

 機能面では、通常の動画撮影や静止画のシングルショットのほかにインターバル撮影機能も用意。動画と静止画の撮影を一定間隔で繰り返す方法や、内蔵の加速度センサーを活用することで、撮影タイミングの前後に連写し、そのなかでブレの少ない1枚を自動でピックアップするといった、きれいに記録を残すための機能を豊富に揃える。

 また、「エクシリム オートトランスファー」では、Bluetooth SMARTによりカメラのスリープ中でも連携しているスマートフォンに画像を転送し、撮影したものをすぐにスマートフォンで見られるようになっている。

ハイライトムービー・フォト機能では、人の姿だけでなく、風景も織り交ぜてダイジェストを作るように改善
スリープ中にスマートフォンなどへ画像を転送する「エクシリム オートトランスファー」で、撮影した内容をすぐに振り返ることができる

 従来機種のEX-FR10は、EX-FR100に比べ基本性能はやや劣るが、小型・軽量であることを重視するユーザーに向けて継続販売される。

“撮る行為”を排除した、理想のコミュニケーションツールを目指す

カシオ計算機株式会社 執行役員 QV事業部長 中山仁氏

 発表会では、同社執行役員 QV事業部長の中山氏が登壇し、EX-FR100の開発経緯を説明した。「デジタルカメラの市場は急速に縮小している」ものの、事業部名の元となっている1995年発売のデジタルカメラ「QV-10」を生み出した当時の理想「ビジュアルコミュニケーションという新しいコミュニケーションの形を作る」という点では、現在はスマートフォンによってその理想は「ほぼ実現している」と話す。

年々市場が縮小しているデジタルカメラ市場
20年前に発売したQV10が目指したのは、ビジュアルコミュニケーション

 「新しいものを提供すれば従来とは違う市場が築けるのではないか」という思いから、「“撮る行為”をなるべく排除し、(意識しなくても)常に撮り続ける、そして見たい時には自動的に(スマートフォンの画面などに)表示される」ものが理想のツールであるとし、第1弾として発売したのがEX-FR10だったという。

 EX-FR10の反響は大きかったとはいえ、基本性能と用途訴求の面で弱いところがあったとし、新しいEX-FR100ではそれらのポイントを重点的に強化した。16mmの広角レンズ、3.0インチ液晶92万画素の液晶ティスプレイ、同社の高機能デジタルカメラ「EX-ZR」シリーズにも採用している画像処理エンジン「EXILIM エンジンHS Ver.3」を搭載し、撮るという行為を感じさせずに「その時のアクティビティをとことん楽しんでもらえる、アウトドアに使うツールとして最適なもの」に仕上げたという。

新しいコミュニケーションを実現する理想のツールの第2弾として、「Ourdoor Recorder EX-FR100」を発売する

耐衝撃、手振れ補正、大きな画面サイズで、アウトドアがより楽しく

 EX-FR100の詳細を解説したQV戦略部の仁井田氏は、従来製品のEX-FR10のユーザーであり、先行してEX-FR100にも触れてもらったアウトドアのスペシャリスト3名とともにパネルディスカッションを行なった。

 樹木の上に家を作る、ツリーハウスクリエイターの小林 崇氏は、高い場所に登ったり、木の上にレンズ部を置いて撮影することが多く、「落ちても大丈夫というのは自分にとっては重要」と、EX-FR100の耐衝撃性能を歓迎。いずれは「どんな高さから落ちても大丈夫な」ものを作ってもらえれば、と要望した。

カシオ計算機株式会社 QV戦略部 企画室 室長 仁井田隆氏
ツリーハウスクリエイターの小林 崇氏

 バイクツーリングとアウトドアに関する執筆や、ライダーのためのアウトドアブランド「ノマディカ(nomadica)」をプロデュースする小林夕里子氏は、「ライダーとしてうれしいのは、体のあらゆるところに付けられる、ウェアラブルであること。左腕に付けて走るとライダーの見ている風景を全部写せる」と語り、EX-FR100の手振れ補正機能により「単気筒の振動が多いバイクでも、ほとんどブレが気にならない」点もEX-FR10との大きな違いだと話した。

バイクを中心としたアウトドア情報などを発信している小林夕里子氏
腕や足にEX-FR100を取り付けて、風景を撮っている

 アウトドアコーディネーターの牛田浩一氏は、釣り、トレッキング、スノーボードなど多彩なアウトドアアクティビティでEX-FR10を使ってきた。EX-FR100をベストに装着し、釣りの様子を撮影したところでは、「モニターが大きくなってきれいに映るようになった」ことを実感。「特に魚は画面上では小さく見えるので、EX-FR10ではその場で本当に魚が映っているかどうか分かりにくかった」という欠点が解消されているとした。

アウトドアコーディネーターの牛田浩一氏
発表会場にあったエクシリムにラッピングされたキャンピングカーは、牛田氏のもの
ベストにEX-FR100を取り付け、フィッシング。画面上でしっかり魚の姿を確認できるのがいい、とのこと

 また、「ストリートけん玉」で世界を舞台に活躍するKENDAMANこと河本伸明氏がライブパフォーマンスを披露。ストリートけん玉では、素人目にははっきり分からないほど激しく鋭い動きが連発するが、こうした速い動きでもEX-FR100の240fpsというスローモーション撮影機能できれいに撮ることができ、けん玉の動きを把握できるのがいい、と話した。また、単にスローモーション再生するだけでなく、通常の速度とスローモーションとを交互に繰り返すようなメリハリのある動画も簡単に作れるのもEX-FR100の優れたところだと語った。

素早く正確にけん玉を操るパフォーマンスを見せたKENDAMAN
スローモーションを取り入れた撮影が簡単にできるため、誰にでもけん玉の動きが分かるようになる

ヨガのポーズに耐える様子も生々しく。モリパークでアクティビティ体験を撮影

 発表会終了後には、会場となった東京都昭島市にある「モリパーク アウトドアヴィレッジ」の施設を利用し、ボルダリングやヨガ、けん玉などを体験しつつ、それらをEX-FR100で撮影できる機会が設けられた。ここではその様子を写真と動画でお届けしたい。

仁井田氏自身がアウトドアヴィレッジでボルダリングした際の映像を公開
デモンストレーターがリードクライミングで手本を見せる
16mもの高さのある壁を余裕で登り切った
発表会参加者も体験中。こちらはより安全で手軽なトップロープというスタイルでチャレンジ
ヨガ体験の会場
ヨガをしている自分の姿を静止画+動画のインテリジェントインターバル撮影で記録に残す
EX-FR100は1人に1台用意された
アクティビティごとに適した撮影スタイルに変えられるインテリジェントインターバル撮影のメニュー画面
プレビュー画面
EX-FR100による撮影サンプル(1)-犬のポーズで必死に耐える筆者(クリック後、拡大ボタンを押すとオリジナル画像が表示されます)
EX-FR100による撮影サンプル(2)-木のポーズでうまくいかない筆者(クリック後、拡大ボタンを押すとオリジナル画像が表示されます)
綱渡りしている様子を足元から撮影
けん玉にもチャレンジできる
オリジナルのサンダルを作ることができるワークショップも開催
スティックを使った自撮り
寒さに強いEX-FR100は、冬山のキャンプでも活躍
水しぶきがかかるカヤックでももちろん使える

(日沼諭史)