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【書籍紹介】そんな肉を食べる国が!?……の驚きにあふれたエッセイ集~「世界のへんな肉」/白石あづさ著

発売日:2016年10月31日

価格:1296円

「肉」……この言葉から、動物の体を構成する物質としての意味と、食べ物としての意味とのどちらを想像するかは人それぞれだろう。後者は「食肉」として分けて表現されたりもするが、日常会話ではどちらも「肉」の一言で表わすことが多い。では、この2つを常に結びつけてイメージしているだろうか。

 日本人になじみのある牛、豚、鶏、魚あたりが目の前にいたら食べ物としての肉も想像するかもしれない。鹿や馬、猪、羊、一部の昆虫なども食べ物の対象として見る人がいるだろう。しかし、これらはあくまで日本の文化に親しんでいる者の視点であって、文化が異なれば視点も異なる。そんな異国の肉文化を楽しく綴ったエッセイ集が、新潮社から10月31日に発売された「世界のへんな肉」だ。

 著者の白石あづさ氏は、地方紙記者経験後、世界を約3年間放浪。その後、フリーライターとして活動し、これまでに南極や北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)を含む100カ国以上を巡ったという生粋の旅好き。2008年に小学館から発売された「世界のへんなおじさん」に続く単行本となる。

 そんな著者が世界で出会った“へんな肉”を紹介している「世界のへんな肉」。内容は驚きの連続だ。中南米ではアルパカやアルマジロ、ヨーロッパではビーバーやライチョウ、アジアではヤギの脳みそにカエルの子宮と、世界のさまざまな食文化に触れることができる。

 とりあげられている肉は、ときに美味しかったり、ときにまずかったりと、これまた正直に書かれているのだが、この本はそうした“へんな肉のレビュー”だけではなく、現地の人たちとのやりとりや、著者の珍道中……もとい旅の思い出も読みどころだ。その土地に根ざした食文化を営む人たちと、意外な食文化に遭遇した著者とのやりとりが軽妙な筆致で綴られており、文化や常識の違いを引き立たせている。

 きっと、読み終わったころには好奇心で満たされ、まだ見ぬ土地へと旅立つ気持ちを押さえられなくなるだろう。

「世界のへんな肉」

価格:1296円
出版社:新潮社
著者:白石あづさ
判型:四六判
ページ数:191ページ
ISBN:978-4-10-350471-9