ニュース

「浅草六区オープンカフェ 2016」の第2期はネットで投げ銭が可能に

ストリートパフォーマーをITで支援する取り組み「ワイヤレスゲートグランプリ in 浅草六区」

2016年9月30日 変更

 六区ブロードウェイ商店街振興組合は、“興行街”浅草六区の再生に向けた社会実験「『浅草六区オープンカフェ2016』~道路法の特例を活用した社会実験(第2期)」を9月30日から10月30日までの金曜、土曜、日曜、祝日に実施する。道路空間の活用に関する効果を明確にし、国家戦略特区の事業認定を目指す。初日となる9月30日には報道陣を集め、概要を説明したほか、取り組みを応援するためのゲストとして林家ペーさんが浅草六区の魅力を語った。

ストリートパフォーマーを応援するデジタルサイネージ

 浅草六区オープンカフェ2016の第2期の期間中、「浅草六区ブロードウェイ」と呼ばれる通りにカフェセットやパフォーマンスステージを常置する。ステージの横に置かれるデジタルサイネージが第2期の取り組みの一つ、パフォーマー応援サービスとなる。

 パフォーマーはそれぞれIDカードを持っており、パフォーマンスステージに登壇する際、IDカードをデジタルサイネージにあるリーダーにかざすと、芸人のプロフィールなどが表示される。演目や芸人の名前が書いてある「めくり」をデジタル化したようなもので、現在の「いいね数」や同時に開催される「ワイヤレスゲートグランプリ in 浅草六区」の順位なども表示できる。

 また、同様の内容は無料Wi-Fiの「FON」の接続ページにも表示され、スマートフォンやタブレットを現地で「FON」に接続することで、手元の端末からその場で行なわれているパフォーマーのプロフィールを確認し、さらにPayPalやBitcoinによってネットで「投げ銭」も可能となっている。投げ銭はその場で行なえるほか、自宅に戻るなど離れた場所から「投げ銭」をすることもできる。

 同時に開催される「ワイヤレスゲートグランプリ in 浅草六区」は、ワイヤレスゲートが特別協賛。投げ銭を「いいね!」数に換算し、パフォーマーの順位を競うもの。ネット経由は100円が100いいね!、ステージの投げ銭BOXに入れられた現金は100円が50いいね!としても計算し、10月30日まで実施し、最終日にはグランプリを決定する。

 また、デジタルサイネージは非常時には防災・減災のツールとしても活用される。通常はパフォーマーの情報を表示しているが、災害が発生した際は、減災のための情報取得方法のひとつとして活用、すぐに画面が切り替わるという。これは10月14日に行なわれるイベント「災害に備えまSHOW」において実演予定という。

設置されるデジタルサイネージ
FONのワイヤレスききとカードリーダーなど
説明してくれたのは株式会社ワイヤレスゲート カルチャー事業プロジェクト プロジェクト長の細江裕二氏
パフォーマーはステージ横のデジタルサイネージにパフォーマーIDカードをかざしてからパフォーマンスを披露する
各ステージの横にはデジタルサイネージが置かれる
パフォーマンス中にパフォーマーの情報を確認することができる。この写真ではいいね!数が表示しているが、開始直後の状態なのでまだ0点

そのほかの浅草六区オープンカフェ2016(第2期)の取り組み

 また、浅草六区オープンカフェ2016の第2期には、「六区セントラルスクエアビジョン遠景自撮りサービス」六区セントラルスクエアの上部にカメラを設置、その上部にある大型モニターをファインダーとして、上から自撮りができる。

 自撮りはそばにいるスタッフが持つリモコンでシャッターを押し、専用サーバーに画像が保存され、スマートフォンから画像をダウンロード可能となる。今後、カメラ設置場所を増やし、リモコンを貸し出せば街のあちこちでひとりで写真が撮れるようになるなどの応用が考えられる。実施場所は六区セントラルスクエア前で、初日の9月30日12時~13時のほか、10月15日13時~14時、10月22日14時~15時、10月28日15時~16時。

区セントラルスクエアのテラスフェンスにカメラが設置してあり、上のディスプレイに表示される
スタッフが持っているリモコンでシャッターが押される

 さらに、観光案内ロボットが3種類、合計4体が登場するイベントを浅草六区ブロードウェイと六区セントラルスクエアにて10月28日~30日のそれぞれ11時~17時に実施する。

浅草六区ブロードウェイはクルマや自転車の通行禁止時間がある

林家ペーさんらが登壇した開始会見

発表の場となった六区ブロードウェイ ステージ(まるごと日本入り口前)

 9月30日には、報道向けに浅草六区ブロードウェイ ステージで概要が説明された。地元となる六区ブロードウェイ商店街振興組合 代表理事 熊澤永行氏が登壇した。

六区ブロードウェイ商店街振興組合 代表理事 熊澤永行氏。林家ペーさんによれば、先代の林家三平さんが亡くなるまで通った店の店主とのこと

 熊澤氏は繁栄と衰退を経た浅草六区の歴史を振り返ったあと、浅草六区オープンカフェ2016について「観光客が休むところがない。ここで一服つけてもらう。ただ、休むのではなく、まわりの店でテイクアウトでも買い、広い通りで、いろいろなパフォーマンスを見て、楽しんでいただく」という狙いを説明、特区については「国の方から、この地域では、ある程度制限を緩和しましょうよということ」と説明、「認可がおりた暁には、毎日、(ストリートパフォーマンスなどの)こういうことができるようになってくる」と期待される効果を示した。

台東区長のメッセージを代読した台東区都市づくり部まちづくり推進室 課長 浦里健太郎氏

 また、地元の台東区長から「オープンカフェでさまざまイベントを楽しんでいただくとともに、商店街での買い物を楽しんでいただきたい。今後とも、台東区は、国家戦略特区における道路法の特例の活用を目指して、支援していく」とのメッセージが寄せられた。

台東区議会議長 太田雅久氏

 区議会からは議長の太田雅久氏が「昭和の時代は、すれ違うのにも一苦労するたいへんな賑わい」と最盛期を紹介、「浅草の歴史や伝統、芸能文化というものを培ってきた興行街である浅草六区が、新しい賑わいも演出できると確信している」と期待を寄せ、区議会として応援を約束した。

林家ペーさん

 応援に訪れた林家ペーさんは、今回の取り組みを「ナウい、新しい雰囲気のオープンカフェ、歩行者天国のようなところで、お茶を飲みながら……」と話し、浅草六区の楽しさや、家族などたくさんの人を連れてきてほしい街だと紹介した。林家ペーさんは現在、浅草六区の通り沿いにある浅草演芸ホールに出演中で、「東洋のカーネギーホールという、浅草演芸ホールに出てるもんですがら、たまには寄席にもきてください」と宣伝、「一流芸能人が300人いるなかで、社長から声かけていただいた」と自分を紹介して場を和ませた。

自分が出演する浅草演芸ホールを指差し「たまには寄席にもきてください」
ワイヤレスゲート株式会社カルチャー事業プロジェクト プロジェクト長 細江裕二氏

 最後は、「ワイヤレスゲートグランプリ in 浅草六区」に特別協賛するワイヤレスゲートからカルチャー事業プロジェクト プロジェクト長の細江裕二氏。ワイヤレスゲートは4月から浅草の街にFON Wi-Fiを核飲食店、施設に導入。Facebookでログインすれば、無料で利用できるWi-Fi環境を整備しているという。細江氏は常設の劇場ができて130周年という節目に、路上で活躍するパフォーマーを応援サービスを企画・実施するとした。

 パフォーマーIDカードを使って、デジタルサイネージにパフォーマーさんの個人のプロフィールを表示することについては、「通りがかりの人がパフォーマンスを見て、感動して、あの人だれ? となったときに、パフォーマーを知っていただく機会ができる」と効果を指摘、今回の取り組みが、パフォーマーの新しい登竜門になればよいと希望を語り、ワイヤレスゲートとして浅草六区を「通信という技術をもちながら、応援していく」と述べた。

アートパフォーマーのファイター氏
アートを実演、最初は真っ白なボードが……
スプレーで色を乗せていく
ペーパーで色をにじませ
丸いもので覆ってまわりを黒くスプレー
地球が登場した
さらに星を描く
最後のスプレーの一吹きはワイヤレスゲートの細江氏
完成したアート
関係者と林家ペーさん。後ろに並ぶのはストリートパフォーマーたち