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滑走路で日の出を。新千歳空港で早朝ランウェイウォーク

開港90周年の空の日イベント

2016年9月10日 開催

新千歳空港で行なわれた早朝ランウェイウォーク。「01R」と書かれているように、B滑走路の南端から約500m歩くことができた

 例年、「空の日」である9月20日近辺には、全国各地の空港において空の日関連のイベントが開催されている。北海道の玄関口となる新千歳空港は、空の日関連イベント「SKY & AUTUMN DREAM FESTA 2016 in 新千歳空港 ~空港開港90年記念~」を9月10日~11日に開催。国土交通省 千歳空港事務所が協力する形で、さまざまなイベントが開催された。

 本記事では11日早朝に開催された「早朝ランウェイウォーク」を紹介する。

24時間空港の新千歳空港で、早朝に滑走路見学会を実施

 早朝ランウェイウォークは、24時間運用されている新千歳空港の滑走路を歩くというもので、早朝の航空機が基本的に飛ばない時間帯を使って開催された。参加人数は事前応募で当選した70人(うち2人欠席)で、応募数は2倍の140人程度あったとのことだ。

 歩くことができる滑走路は、新千歳空港のB滑走路で、滑走路の長さは3000m、幅は60m。開催時間は5時~6時の1時間で、5時前に国交省 千歳空港事務所に集合。そこから国交省が用意したバスに乗り、実際の滑走路に向かった。

早朝ランウェイウオーク専用バスを特別運行
68名が参加
国土交通省航空局のキャラクターである「くにまる」くんも参加
参加者を下ろすとバスは先行してゴール地点へ移動
参加者は思い思いの方向へ歩いて行く。全体的な制御は国交省のスタッフによって行なわれていた

 国交省の説明によると、新千歳空港は24時間空港として運営しているが、深夜や5時台の早朝時間帯には、緊急対応以外で離着陸する機体はないという。新千歳空港は3000m×60mの滑走路を2本持ち、A滑走路(01L/19R)を主に離陸用として、B滑走路(01R/19L)を主に着陸用として使用しているという。両滑走路とも補修などの定期作業を深夜時間帯に行なう必要があり、A滑走路が定期メンテナンスならB滑走路を、B滑走路が定期メンテナンスならA滑走路をすぐにでも使える状況にしている。今回、B滑走路が選ばれたのも、A滑走路のメンテナンスを行なっていたためだろう。そのためB滑走路にバスで移動中には、「航空機の緊急着陸の場合、滑走路脇にすぐに待避してもらいます」という車内アナウンスが流れていた。

 B滑走路の南端にバスが到着したのは5時ちょっと過ぎ。日の出時刻は5時10分のため、日の出直前に到着した形だ。ここから北に向けて500mほどのウォーキングを行なった。

 実際に運用されている滑走路を初めて歩いた感想は、「意外と修理跡が多く、汚れているな」ということ。アスファルトには排水のための横溝(グルービング)が刻まれており、進行(離着陸)方向と直角になることからグリップ力向上の効果もありそう。ボーイング 777-300ER型機ではMaximum Design Landing Weight(設計上の最大着陸重量)が25万1290kg(約251トン)となっており、各タイヤに分散するとはいえ、この滑走路面に200トン以上の荷重が着陸時にはかかってくるわけだ。

滑走路のグルーブを横方向から。雨上がりのためかとてもきれい

 そのためか、各所にパッチワークのような補修跡が見られる。サイズもまちまちで、工法もまちまち。毎日点検して不良箇所を確認。不良箇所には修理のための記載を行ない、夜間に補修工事を実施するとのこと。普段、飛行機に乗客として乗っているだけでは気がつけない場所を見られるのも、このランウェイウォークの楽しみだろう。

滑走路で見かけた各種パッチ。これは縦長
正方形やいろいろ
ひび割れのチェック。この後、この数字を元に補修が行なわれる
ペイント部分についたブレーキ痕
滑走路脇にあるさまざまな標識。これらに近づくことは不可
滑走路に埋め込んである航空灯火。南端近くには多く配置されており、接地帯灯となる。「TOSHIBA」と書いてあった
歩いているうちに日が昇ってきた
500mを頑張って歩いた「くにまる」

 500mの散歩は、30分程度、朝日が昇りきったあたりで終了。バス出発時点では小雨が降っていたものの、滑走路に到着したときには雨は止み、雨上がりの気持ちのよい風景の中のランウェイウォーキングとなっていた。