SIMフリースマホで海外SIMを使おう!
スペイン「Tuenti」
LTE対応で高速データ通信が可能
(2016/3/4 00:00)
スペインは、旅行者でも大手通信事業者やMVNO業者のプリペイドSIMカードを購入しやすい国で、街中にある通信事業者のショップからコンビニエンスストアなどでも容易に入手できる。その中から今回は、MVNO業者「Tuenti(トゥエンティ)」が販売するプリペイドSIMを紹介する。
Tuentiは、スペイン最大手の通信事業者であるテレフォニカ傘下の携帯電話事業者、Mobistar(モビスター)の通信回線を利用するMVNO業者だ。プリペイドSIMは、TuentiのWebサイトでのオンライン購入か、スペインの街中にあるMobistarショップで購入できる。
オンラインでは無料で購入でき、SIM到着後に利用料金をチャージして使うことになる。対して、Mobistarショップで購入すると代金は30ユーロかかるが、30ユーロ分の料金がチャージされた状態で渡される。つまり、どちらの購入方法でもSIM自体の代金は無料。ただし、オンラインでの購入ではスペイン内の住所への発送となるため、短期旅行者が利用する場合には、街中にあるMobistarショップで購入するのが基本となる。今回は、バルセロナの中心街「カタルーニャ広場」のそばにあるMobistarショップで購入した。
SIM購入時には、パスポートの提示が必要となる。これは、Tuentiに限らず、スペインでプリペイドSIMを購入する場合に必要となるので、SIM購入時にはパスポートも忘れず持って行く必要がある。
ショップに入ると入り口付近に係員がいるので、「データ通信用のプリペイドSIMがほしい」と伝える。すると、MobistarのプリペイドSIMとTuentiのプリペイドSIMのどちらをほしいか聞かれるので、Tuentiがほしいと伝えるといい。
Mobistarショップでは、MobistarとTuentiの2種類のプリペイドSIMを購入できる。MobistarのプリペイドSIMは、Mobistarショップで無料で入手でき、その場でチャージを行なうことで利用可能になる。それに対しTuentiのSIMは、30ユーロ分の料金がチャージされた状態で、30ユーロで販売されている。
今回筆者がTuentiを選んだのは、データ通信容量あたりの価格がTuentiの方が安いのと、容易に容量を追加できるから。MobistarのプリペイドSIMは、データ通信容量600MBで7ユーロのプランと、1GBで13ユーロのプランが用意されているのに対し、Tuentiではデータ通信容量1GBで7ユーロのプランを用意。加えてTuentiでは、データ通信容量を使い切っても3ユーロで300MB、5ユーロで500MB、8ユーロで1GB追加できる。今回は、バルセロナで開催されたイベントの取材だったため、なるべく大容量のデータ通信を行ないたかったこともあって、Tuentiを選択したわけだ。
SIM購入時に30ユーロ分チャージされているのは先述のとおりだが、データ通信容量1GBのプランに加入することになるため、購入と同時に料金の7ユーロがチャージ残高から引かれる。つまり、チャージ残高が23ユーロの状態でSIMが手に入ることになる。
なお、このプランにはスペイン内での50分の無料通話が含まれている。また、ヨーロッパ主要国などでのデータローミングも可能。ただしその場合には、1MBあたり0.24ユーロの料金がかかる。普通に使っていると、あっという間にチャージ残高を消費し尽くしてしまうと思われるので、データローミング利用時には注意したい。
SIMカードは、最終の料金チャージ日から180日後に休止状態となり、そこからさらに180日後にSIMカード自体の利用が停止となる。チャージ残金は休止状態となっても維持されるが、利用停止となると失われてしまう。また、休止状態となっても、利用停止となる前に料金をチャージすると利用可能となり、有効期限が延長される。
SIM形状は、SIM、microSIM、nanoSIMとなる。3種類の形状すべてに対応する物ではないので、自分の使っているスマートフォンに合わせて選択する必要がある。よく分からない場合には、スマートフォンを渡してチェックしてもらえばいい。今回は、スマートフォンにASUSのZenFone 2を利用したので、microSIMを選択した。
SIMの開通作業は、購入時にショップ店員がやってくれる。同時に利用するスマートフォンを渡せば、スマートフォン側の設定もすべてやってもらえるので安心だ。ただ、メニューが日本語になっていると、店員も設定作業が行なえないので、手渡す前に言語を英語かスペイン語に変更しておくとよいかもしれない。
Tuentiは、Mobistarの回線を利用するMVNO業者で、MobistarのLTE回線にも接続できる。対応するLTEの周波数帯は1800MHz(Band3)、2600MHz(Band7)、800MHz(Band20)の3種類。このうち、日本のSIMフリースマートフォンはほとんどが1800Mhz(Band3)に対応している。今回利用したZenFone 2も同様に1800MHz(Band3)をサポートしており、実際に問題なくLTEの電波を掴んで、かなり高速なデータ通信が可能だった。
LTE接続時のデータ通信速度は、野外など状況のよい場合では、下り70Mbps前後、上り30Mbps前後。非常に人が多く混雑している場所でも、下り15~20Mbps、上り5~15Mbps程度は発揮されたので、十分快適に利用できると言える。事実、Webアクセスはもちろん、地図の表示などもストレスなく利用できた。筆者はバルセロナの土地勘がほとんどないが、Googleマップを利用した経路検索や目的地検索、食事のお店検索なども非常に軽快で、現地での行動もスムーズにこなせた。また、IPフォンアプリ「050plus」を利用して日本との間で何度か通話を行なったが、ほとんど遅延を感じることなく通話が行なえた。この点も非常に快適に感じた部分だ。
加えて、今回は仕事での渡航だったこともあって、テザリングを利用してPCを接続してみたところ、LTEに接続した状態であれば、PCでも快適な通信が行なえた。ある程度容量を気にする必要はあるが、大容量のデータを添付したメールも短時間で送信でき、終始快適な作業が行なえた。しかも、滞在場所のWi-Fi速度が遅かったこともあり、かなり役だった。
スペインでは、ここ1年ほどの間に多くのMVNO業者がLTEを利用できるようになったようだが、今回の渡航ではその恩恵を存分に受けられた。
ただし、常に快適なLTE通信が行なえたわけではない。例えば、今回チェックした限りでは、地下鉄のトンネル内ではLTEを掴むことは一度もなかった。地下鉄のトンネル内でも3Gではつながるためデータ通信は行なえるが、速度はあまり速くなく、上り、下りともに1Mbps前後となる。パケットが詰まったようにデータが流れないこともあった。また、建物内でもLTEを掴みにくく、3Gとなることが多かった。
これは、今回利用したZenFone 2で、いわゆる“プラチナバンド”に相当する800MHz(Band20)を利用できないことが大きく影響していると考えられる。特にスペインをはじめとした欧州では、石造りの建造物が多いこともあり、建物内部では途端に電波が届きにくくなることが多い。日本で販売されているSIMフリースマートフォンのなかにも、数は少ないが2600MHz(Band7)や800MHz(Band20)に対応するものが存在するので、欧州への渡航が多い場合には、そのような仕様のSIMフリースマホを選ぶようにしたい。
ちなみに、TuentiはAndroidおよびiOS向けの専用アプリを用意しており、そちらを利用すれば簡単にデータ残量やチャージ残高などの確認ができるとともに、データ容量の追加や料金チャージも行なえ、非常に便利。スペインでTuentiのプリペイドSIMを利用する場合には、Tuentiアプリも同時にインストールして活用してもらいたい。
キャリア名 | Tuenti |
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購入価格 | 30ユーロ |
カードの種類 | SIM、microSIM、nanoSIM |
対応周波数帯 | LTE:1800MHz(Band3)/2600MHz(Band7)/800MHz(Band20) 3G:900/2100MHz、GSM:900/1800MHz |
APN | tuenti.com(ユーザー名:tuenti、パスワード:tuenti、認証タイプ:PAPまたはCHAP) |
滞在時期 | 2016年2月下旬 |
使用デバイス | ASUS「ZenFone 2」 |
【お詫びと訂正】初出時、記事タイトルに誤りがありました。お詫びして訂正いたします。