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ミズベリング・プロジェクト、首都高高架下に家庭用プロジェクターで映像を照射する実験

「日本の四季」をテーマにした映像が高架下空間に広がる

2016年2月24日 実施

 ミズベリング・プロジェクト事務局は2月24日、東京 大手町の大手町川端緑道において首都高速道路高架下への「映像照射実験」を実施。当日は17時ごろから、アーティストの中村敬氏が制作した「日本の四季」をテーマにした映像インスタレーションが首都高の橋梁や橋脚に映しだされた。

プロデューサーの山名清隆氏(左)、アーティストの中村敬氏(右)

 ミズベリング・プロジェクトは、日本の水辺に新しい活用の可能性を創造していくプロジェクトを展開しており、水辺に興味を持つ市民や企業、行政が三位一体となって、ムーブメントを起こしていくことを目的としている。

実験会場の様子

 ミズベリング・プロジェクト事務局 プロデューサーの山名清隆氏は「東京駅のプロジェクションマッピングのような大きなスケールのものがありますが、オフィシャルなカタチで閉ざされた首都高の空間をプロジェクターで映し出すのは初めての試み。これがどの様な展開をしていくと公共空間が自分たちで工夫できる空間になっていくのかを実験していきたい」と今回の実験の狙いを述べた。

ミズベリング・プロジェクト事務局 プロデューサーの山名清隆氏

 実験を前にした山名氏によるプレゼンテーションでは、水辺の活用事例として、おおさかカンヴァス推進事業で行なわれた道頓堀に寿司のオブジェを浮かべるアート作品や巨大なあひるが水辺に浮かぶラバーダックプロジェクトなど国内の事例を示すとともに、海外ではアーティストの提案でパリのセーヌ川にビーチが誕生したことなどを紹介、新たな観光客を呼びこむことに活用されていることを示した。

道頓堀に寿司のオブジェを浮かべるアート作品や巨大なあひるが水辺に浮かんだ事例を紹介

 山名氏は「公共空間を使って我々市民が自分たちだったらこんなことができるというのを持ってもいい時代になった。そんな声を行政に届けると新しいことができるじゃないかと、実際にパリとかロンドンではそういったことを考え始めていろんなことが行なわれており、日本でもそういう時代に来ている」と強調。

 また、「風景を作っているのは建物でも緑でもなく人が作っていて、人が楽しく集っているとそこに風景が生まれる。何かができたから風景ができるわけでなく、そこに楽しむ何かがあればそこに風景が生まれる」との考えを示した。

 今回の実験は、大手町川端緑道プレイスメイキング社会実験とのコラボレーションで実現した。開催場所の大手町川端緑道は、UR都市機構が事業を実施している大手町土地区画整理事業により整備された歩行者専用道となる。UR都市機構においても、周辺街来者の憩いの場となる「プレイスメイキング」を目指した社会実験を展開している。

大手町川端緑道プレイスメイキング社会実験についてのプレゼンテーションをするUR都市機構 東日本都市再生本部の田嶋靖夫氏

 実際に映像照射が行なわれ後に山名氏に話を聞くと、山名氏は「こういったことはどこでもできるわけです。みんながやろうという機運が高まることをが我々の狙いで、みなさんが勇気を持ってやるという流れを作りたい。我々がやるというより、いろんなひとがこういったことをやることになることを目指しています。プロジェクター1台で世の中は変わります」と、コメントした。

会場に集まった人が映像を楽しみながら憩いの場となるようなスペースも用意された

 なお、今回の実験については、3月3日に渋谷ヒカリエホールで開催される「ミズベリングジャパン」にて、全国で水辺の利活用に取り組む人達に向け実験内容を発表予定。

(編集部:椿山和雄)