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JAL、2016年3月期第3四半期の連結業績は当期累積で過去最高の営業/経常利益を達成

2016年1月29日 発表

日本航空株式会社 取締役専務執行役員 斉藤典和氏

 JAL(日本航空)は1月29日、2016年3月期(2015年4月~2016年3月)第3四半期の連結業績を発表した。

 第3四半期まで(2015年4月~12月)の累積営業収益は、国内線旅客収入の増加などから、前年同期比0.1%増加、前年同期から10億円増収の1兆234億円。営業費用は円安とサービス強化などのコスト増はあったものの燃油市況が大幅に下落したことで前年同期比3.5%減、307億円減少の8533億円。

 結果、営業利益は対前年同期比23%増、317億円増となる1700億円。営業利益率は16.6%で前年同期から3.1pt上昇。経常利益は前年同期比24%増の1704億円、純利益は同20.1%増の1436億円となった。第3四半期までの累計において営業利益、経常利益は過去最高であるという。

 2016年3月期の連結業績予想は、2015年10月30日に上方修正した業績予想に沿って順調に推移していることから現状では変更をせず、営業利益2040億円、純利益1720億円を予測。配当金は純利益から法人税などの調整額を除いた額の25%を充当するという従来からの考え方を踏襲し、1株あたり119円になるとの見込みを発表した(前年は同104円)。また、第3四半期単独の営業利益は、予測よりも25億円上回っており、余談は許さないとはしたものの、通期の2040億円は達成できるという見通しを示した。

日本航空株式会社 取締役専務執行役員 斉藤典和氏(左)、日本航空株式会社 執行役員 日岡裕之氏(右)

 国際線旅客事業では、ASK(有効座席キロ)は前年同期比1.1%増、RPK(有償旅客キロ)は旺盛なインバウンド需要も貢献し同6.1%増、座席利用率は前年同期から3.7pt上昇の79.1%。有償旅客数は対前年比4.5%増加。北米や東南アジア路線を中心に引き続きインバウンド需要が順調なほか、「JAL SKY SUITE」の好評によるビジネス需要が堅調に推移したことや円安といった収益増要因の一方で、燃油サーチャージ収入の減少で単価が前年同期比4.3%減少。これにより、旅客収入は前年並みの3459億円となった。

 海外からの顧客は、4~12月で43%、10~12月で41%となっており、前年4~12月期は38%で構成比が約5pt上昇。方面別で特に伸びが大きい地域として、東南アジア(約30%増)、中国(約20%増)、アメリカ(10%以上増)を挙げた。

 一方、4月から12月にかけて海外からの顧客は17%の伸びを示しており、そのうち中国発が20%以上の伸びとなっているが、10~12月に限定すると4%程度と減速しているという。ただしこれは「中国経済の影響ではなく、中国からの訪日需要はあいかわらず高いが、一部の人がクルーズで来るようになったり、JALが就航していない日本のいろんな地点に来ていたりするため、JALが直接関係する路線の伸びが全体よりも若干低いのではないか」との見方を示した。また、10月25日から羽田空港発着の中国便増便があり、需給が緩んでいることも第3四半期の伸びが鈍化している要因に挙げた。さらに2月8日の春節を前に、1月から需要を盛り返しているという。

 このほか、現在成田~パリ便を期間減便していることについて、パリ線の搭乗率は2015年12月は50%台だったことを明かした。2015年10月は約80%、2014年12月は約70%とのことで、2015年11月に発生したテロの影響はあるとし、ビジネス需要は5月頃、観光需要は8月頃に回復するのではないかとの見通しを示した。ただし、パリ線を除く欧州路線に特段の落ち込みはなく、テロの影響はパリ便に集中しているとした。

 国内線旅客事業では、ASKは前年同期比1.1%減の一方で、RPKが前年同期比1.2%増、座席利用率は68%と前年から1.5pt上昇。加えて、個人顧客の利用増大やJAL SKY NEXTの好評から単価が上昇。ウルトラ先得運賃の新設などによる需要喚起効果や訪日旅行客増加により有償旅客数も増加。旅客収入は前年同期比3.0%増の3841億円を記録した。

 為替は1ドル=121.6円で前年同期比15.8%の円安。シンガポールケロシンは前年同期比42.3%安となる1バレルあたり65.9ドル、ドバイ原油は同46.6%安の1バレルあたり52.8ドル。円安や搭載量による増加要素はあったものの、市況の下落で燃油コストは前年同期比19%減、423億円の減少になったという。

 このように、燃油費用は下がった一方で、円安というコスト増要因があり、国際線においては燃油サーチャージ収入が下がって減収。総合的には燃油や為替の影響はほぼ差し引きゼロで、旅客数増や利用率と単価上昇などが増益決算の要因であるとした。

(編集部:多和田新也)