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福岡県、7人の著名人による「福岡WEB小説『ぴりから』」で新たな形の観光プロモーション開始

福岡を題材にした7編の短編小説で県の新たな魅力を発信

2016年2月12日 発表

豪華な執筆陣が揃った「福岡WEB小説『ぴりから』」

 福岡県は2月12日、都内で記者発表会を開催し、福岡を題材にした「福岡WEB小説『ぴりから』」を発表した。

 福岡WEB小説「ぴりから」のWebサイト上では、起業家・堀江貴文さん、モデル・田中里奈さん、放送作家・鈴木おさむさん、「ビリギャル」著者・坪田信貴さん、フリーアナウンサー・小林麻耶さん、「伝え方が9割」の著者であるコピーライター・佐々木圭一さん、直木賞作家・東山彰良さん、とさまざまなジャンルの著名人7人による短編小説を毎週1編ずつ公開。福岡の名所・名物を織り込んだ内容で県のプロモーションと観光誘客を行なう。2月12日には1作目として堀江貴文さんの作品「1991年俺のDESIRE」が公開された。

福岡WEB小説「ぴりから」の意義について説明する福岡県の小川洋知事

 新プロモーションの発表会では福岡県の小川洋知事が登壇。「福岡県ではこれまで以上に多くの皆様方に県の魅力を知っていただき、実際にお越しをいただいてそのよさを実感してもらいたいと考え、(執筆者の)佐々木圭一さんにご相談しました。一緒に情報発信の方法について検討を進めていたなか、このWeb小説のお話をいただいたわけです」と、「ぴりから」を始めるきっかけについて説明した。小説のタイトルおよびサイト名の「ぴりから」は、福岡の名産品である辛子明太子のような「ピリッとスパイスの効いた短編小説」をイメージしたという。

 小川知事は「ぴりから」に続き、福岡県の新しい公式ガイドブックである「ふくおか本」について紹介。「『ふくおか本』にはとっておきの絶景スポット、特産品の紹介はもとより、地元の人だけが知っている隠れた名店のほか、思わず人に伝えたくなる福岡県の食とその歴史にまつわるうんちくが散りばめられ、今までにないユニークなガイドブックに仕上がっております。福岡WEB小説『ぴりから』をスマホで読み、そして『ふくおか本』を片手に実際に福岡県に足を運んでいただきたい」と話した。

7つの短編小説から構成される「ぴりから」
福岡県による新たなオフィシャルガイドブック「ふくおか本」

執筆者たちが自身の作品を紹介

 小川知事の説明に続き、「ぴりから」の執筆陣が登場。今回の「ぴりから」に作家の1人としてだけでなく、企画のクリエイティブディレクターとして参加した佐々木圭一さんは、「僕はちょっとひねくれたところがありまして、“おもしろWeb動画みたいなのは作らないぞ”と思ったんです。今、いろんな自治体でおもしろWeb動画を作っていてその競争になっているので、違うところでやっていきたいと思い今回の小説企画を考えました」と、プロモーションの手段としてWeb小説を選んだ理由を語った。

 佐々木さんは「ぴりから」のコンセプトとして、ピリッとしていて福岡のスポットを織り込んだ内容であるのに加え、前の作品の登場人物や場面が次の作品に出てくるなど、人物や場面が連動する仕掛けを設けている、と説明。「読みごたえのある内容になっている」と話す。

発表会では作者が7人揃って作品紹介を行なった
今回のプロモーションを企画し、執筆陣の1人でもあるコピーライターの佐々木圭一さん

 また、それぞれの執筆者が小説の背景や福岡県に対する思い、執筆における苦労談などを説明。1作目を書いた堀江貴文さんは、「モヤモヤしている感じで、ビジョンはないけど何かやりたい、何かやりたいけど何か分からないし、自分の世界が中心で何でもできると思っているけど何もできていない。そして彼女もいない」という高校時代の鬱屈した自身を題材としたといい、「多分、7割ぐらいが実話で、オチも実話なんです」と話した。

 2作目を担当した田中里奈さんの作品「とこやさんの魔法」は、福岡県にある美容室を舞台に、美容室で働く妹と東京でキャリアウーマンとして働く姉を題材にした温かい小説だという。小説は初挑戦という田中さんは「書き出しが難しくて、何て書けばいいんだろうと思って、自分が今まで書いたものをひっぱり出して読みました」と苦労した点について話した。

 3作目は鈴木おさむさんの「恋木神社」。福岡県にある恋の神様として実在する神社を舞台にした女性の恋愛と友情の物語。鈴木さんは「僕はけっこうパワースポットに行くのが好きでして、福岡県ならどこがあるだろうと思って調べたら、恋木神社があるんだということに気が付いたんです」とコメント。「小説を見たことで行ってくれる人がいいなと思います」と話した。

「おもしろい企画が大好きなので」と執筆を引き受けた理由について話す堀江貴文さん
堀江さんの小説は高校時代の実話を元になっているとのこと
カリスマ読者モデルとして人気の田中里奈さん
「本が好き」という田中さんの作品はファンタジーとリアルが織り交ざった作品
「子供が寝付いた時に書きました」と鈴木おさむさん
佐々木さんに「恋愛運が上がりそう」と評された鈴木さんの作品は恋愛小説

 4作目を担当する坪田信貴さんと5作目の小林麻耶さんは、ともに自身の職業を題材にした小説を執筆したとのこと。塾講師の坪田さんが書いた作品は太宰府天満宮が舞台の「誰かのために引いたおみくじ」で、受験を題材にしたハートフルな内容だという。坪田さんは、「読んでいただきたいのは親御さん。僕自身、受験の仕事をしているので毎年、太宰府天満宮に行くのですが、全国の親御さんとかお子さんたちが集まってくるんですよね。福岡県だけでなく全国の家族の思いの集積地だなと思っていて」と、太宰府天満宮に対する自身の思いを語った。

 5作目である小林さんの「ニュースワイドの時間です。」はアナウンサーの物語。福岡育ちの女の子が東京に出て、アナウンサーとしてニュースを担当したあとの出来事を描いたストーリー。堀江貴文さんが作品に約7割、実話を入れたという話を受け、小林さんは「私もけっこう実話が入っています。妹を出して、姪っ子を出して、主人公を報道番組のメインキャスターとして登場させているので、7割ぐらいは自分だと思うですが、どこまでが自分の話でどこまでがフィクションかは読者の方の想像にお任せしたいと思います」と話した。

小説を4回書き直すことになったという坪田信貴さん
作品は塾講師としての坪田さんの思いがこもった内容
先日、歌手デビューしたばかりだが、「ぴりから」で作家デビューも果たした小林麻耶さん
小説は、主人公の設定が小林さん本人にそっくりという内容の作品だ
佐々木圭一さんの作品は、自身のベストセラービジネス書を小説化したもの

 そして、今回のプロモーション企画のまとめ役を務める佐々木圭一さんは6作目「伝え方が1割の男」を執筆。自身の著書「伝え方が9割」の内容を小説化した作品だ。福岡でデザイン事務所を経営するコミュニケーション下手な男の危機を、伝え方が上手なインターンの女の子に救われるという物語だという。

 そして締めくくりになる7作目は福岡に在住している東山彰良さんの「恋する学園」。19世紀のコメディ作家であるP.G.ウッドハウスのスタイルでユーモア小説を書いてみたい、というコンセプトで書かれた作品で、イケメンと2番手の男子が本命の女の子と福岡県の二見ヶ浦でダブルデートする物語だ。東山さんは、先の佐々木さんの小説が役に立つ内容と表現したうえで、自作を「読んでも読まなくてもどうでもいい本です。何の役にも立ちません」とユーモラスに説明した。

福岡県在住の直木賞作家・東山彰良さんは今回、ユーモア小説に挑戦
東山さんの作品は、昔からよく行っていた福岡のスポットを織り込んだ作品とのこと

 また、執筆者と作品の紹介に続き、「ぴりから」のプレゼントキャンペーンも紹介。「ぴりから」サイト上で小説に関するクイズに答えた人のなかから1名に、辛子明太子をモチーフにした万年筆カバー「めんぶらん」が当たるというもの。この「めんぶらん」は、万年筆ブランドとしておなじみのモンブラン公認の万年筆カバーとのこと。

 最後に佐々木さんが「7人の作家が魂を込めて書きました、福岡WEB小説『ぴりから』。ぜひ楽しんでいただけければと思います」と改めてを紹介し、発表会を締めくくった。

モンブランと福岡県がコラボする形で生まれた「めんぶらん」

(丸子かおり)