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愛媛県、吉祥寺で「えひめあつめ クラフト散策」開催中

ゆるキャラ「みきゃん」も応援、今治タオルや砥部焼など展示即売

2015年10月15日~28日 開催

アトレ吉祥寺本館 2階JR西口改札前 特設会場

開催時間:10時~22時(21日、28日は、10時~20時)

アトレ吉祥寺に登場した「みきゃん」

 愛媛県は10月15日~28日の2週間、東京都武蔵野市にあるJR吉祥寺駅の西口改札前 特設会場にて、「えひめあつめ クラフト散策」を開催する。このイベントは、愛媛県を代表する今治(いまばり)タオルや砥部(とべ)焼など、伝統工芸品や生活・インテリア用品を展示、即売するもの。都内で開催するのは、今回で3回目。

 愛媛県は、1年間で県内のクラフト(手工芸品)を全国に紹介していく計画で、2月に東京駅、6月に二子玉川と続く第3弾の出展となる。イベントの企画・運営をしているビジネスアシスト四国の担当者は「愛媛県は、みかんや魚などの食品が有名で、クラフトはよいものがあるのに認知度が低い。前回、前々回の開催では、“愛媛県のクラフト”に認知が足りないことを痛感した。しかし、展示品の売り上げはよく、製品自体のよさは分かってもらえた。もっとPRを進め、たくさんの人に知ってもらいたい」と語った。第4弾は、最後の成果として、11月25日から3日間、東京ビッグサイトで開催される「IFFT/インテリア ライフスタイル リビング」に出展する(入場は業界関係者のみ)。

「えひめあつめ クラフト散策」が開催されているJR吉祥寺駅
特設会場は、JR吉祥寺駅の西口改札を出てすぐ左にある
特設会場だけでなく、アトレ吉祥寺の各所に看板が設置されている

 通常、このようなイベントでの出展には手数料がかかり、宣伝をすることができても、かなりの出費を必要とする。このイベントでは、出展者(生産者、メーカー)に売り上げの100%を戻し、生産者にとって負担が少ないイベントにしているという。イベントを通し、製品や会社のPR、さまざまな客から意見をもらい今後の製品作りや活動に役立ててほしいと、愛媛県が後押しをしている。

 イベントは2週間開催され、10月15日~21日までの第1週と、10月22日~28日までの第2週で出展内容が入れ替わる。今回は、第1週に出展されるクラフトを中心に紹介する。

砥部焼

 砥部焼は、白磁に藍の呉須染付で、唐草や太陽などの絵付けをするのが特徴。奈良時代には「伊予砥」と呼ばれた砥石の産地として有名で、砥石を細かく砕いてできた土を高温で焼いたものが砥部焼となった。オーブン、電子レンジ、食洗機などでも使用でき、長年普段使いの器として使える。取材中、30年前からずっと使っているという客もブースに訪れていた。一番の売れ筋は、江戸時代に誕生したと言われる「くらわんか茶碗」。幅広の底と深い独特の形状で、これは船上で倒れにくくするためのものだという。

今治タオル

 今治タオルの品質基準は、タオル片が水中に沈み始めるまで5秒以内、洗わなくても使い始めから水を吸うタオルと定められている。今回の出展では、綿花栽培の理想郷ともいえるカリフォルニア・サンホーキン・バレーで育った高品質綿糸を使用した柔らかいタオルをそろえた。一番人気があるのは「江戸小紋」で、表ガーゼ、裏パイルのタオル。バスタオル、フェースタオル、ハンドタオルの3サイズがある。また、今治のゆるキャラ「バリィさん」のタオルも人気があるとのこと。

木製品

 無垢材でオリジナル家具・小物、オーダー家具の製作をしているメーカーが出展。売れ筋は「ニッポンノシキ」という一輪挿し。愛媛ブランド材である「媛すぎ」「媛ひのき」から、「うづくり」「無塗装」で仕上げている。うづくりとは、表面の柔らかい部分を削ることで、美しい木目を浮き上がらせる技法のこと。3つの木製パーツと試験管を組み合わせ、自由に形を作ることができる。また、茶さじやお茶請けの器、箸置きなどに使える「キノハ」は、さまざまな素材を使い、木目や色合いがすべて違って人気があるという。

タオル製品

 プラチナをナノ粒子にして繊維に付着させることで、抗菌・消臭効果があるおしぼりタオル「PLATINUM WET TOWEL」が人気だった。通常のタオルより細い糸で薄く織り上げており、片面がガーゼなので折りたたんでもコンパクト。またカラーが全30色あり、特に女性に受けていた。同様に、プラチナの制菌効果で濡れても臭くならず、細い糸で織られた薄手のバスタオルは、旅行などに持っていくと便利だと感じた。

木製品

 愛媛県産のヒノキを使った玩具「ピノキー」は、穴の空いた四角い部品と棒を組み合わせて遊べる。箱入りの「ピノキー」は、もちろん箱もヒノキでできている。元々はもっと安い売価の製品だったが、「えひめあつめ」に向けてアドバイスを受け、製品を改良して売価を上げたところ、評判がよくなったという。

砥部焼は、吸水性がない白磁に、今もなお手描きで絵付けされている
江戸時代に誕生したと言われる「くらわんか茶碗」は、幅広の底が特徴
今回の「くらわんか茶碗」は、2種類の大きさを用意
砥部焼の原料となる、砥部で産出された砥石
くらわんか茶碗以外にも、さまざまな器が展示即売されていた
特に女性客が注目していた今治タオル
「江戸小紋」は、高級料亭のおしぼりにも採用されている
高品質綿糸を使用し、軽く、薄く、柔らかい肌触りが特徴
表ガーゼ、裏パイルで厚くならず、扱いやすい
今治のゆるキャラ「バリィさん」タオルは、若い女性に人気だという
無垢材で作られたイスや小物を出展
3つの木製パーツと試験管を自由に組み合わせる「ニッポンノシキ」
置く場所や、添える小物に合わせて自由に組み替えることができる
1枚の板から、無駄なく部品を切り出して作る
「キノハ」は、同じ形でも材料の木が違うので、木目や色合いがすべて違う
プラチナをナノ粒子にして付着させ、制菌効果があるタオルは女性に人気
旅行に便利な、薄くにおわないバスタオル
約53cm×140cmの、一般的なバスタオルより大きめのサイズ
ラインアップは全30色。今治の染色工場が丁寧に染め上げている
愛媛県産ヒノキを使った、穴あき積み木「ピノキー」
タイヤのように組み合わせると、回転し、動かすこともできる
ヒノキ製の箱は、区切りを取って、別の用途で使うことも可能とのこと
ヒノキの平板積み木。どう遊ぶかは組み立て方次第
生活雑貨

 木材や鉄などを素材とし、アルファベットやアニマル柄にかたどったインテリア雑貨の出展だが、今回メインとなっていたのは、漫画家・松本零士とのコラボレーション製品。松本零士は幼少期に愛媛県大洲市新谷町に疎開しており、その時の体験が作品に影響を与えたという縁から、コラボレーションが実現したという。

アロマ製品

 約120種の品種を栽培している日本最大級のバラ園「たんばら園」直送のバラを使った「ローズウォーター」は、新鮮なバラの花びらを蒸留することで発生する水蒸気を冷やして液体にしたもの。また、切ったばかりのバラを専用乾燥室で24時間、15度の低温乾燥させたドライフラワーなどが出展されていた。

知育玩具

 ポリエチレンフォームで作られた遊具「KUMEL(クメル)」が出展されていた。KUMELは大学の研究室で生まれ、水に浮かしたり、窓に貼りつけたりと、二次元、三次元に組み合わせて遊ぶことができる。

早生ミカン、バラ生花

 クラフトの出展は1週間で切り替わるが、こちらは会期中ずっと出展されている早生ミカンとバラ生花販売。極早生ミカンは試食もあり、スッキリした味わいだった。

 「えひめあつめ クラフト散策」が開催されている特設会場は、JR吉祥寺駅の西口改札を出てすぐのアトレ本館とを結ぶルートであり、京王井の頭線連絡口でもあるため、人通りも多く、イベントが始まってすぐにも、多くの客が足を運んでいた。

 また、愛媛県のイメージアップキャラクター「みきゃん」も応援で駆け付けた。「みきゃん」は、開催中の「ゆるキャラグランプリ2015」で、現在首位争いをしている人気キャラクター。登場してすぐにも、写真や握手など、その人気振りを見せた。みきゃんは、10月15日~18日、23日~25日に、1日5回登場する予定だ。

銀河鉄道999やキャプテンハーロックが描かれた木製ポストカード
箔貼りで作られた木製ポストカード。ほかにも和紙のポストカードなどがあるという
木製の切り文字にペーパーナプキンをデコパージュしたもの
ほかにも、ヒノキのコースターなど木製小物を出展していた
切ったばかりのバラを24時間、15度の低温乾燥させたドライフラワー
日本最大級のバラ園「たんばら園」のバラを使った「ローズウォーター」
バラのドライフラワーやローズジェルなど、バラの香りが詰まった品々が並ぶ
ポリエチレンフォームで作られた知育玩具「KUMEL」
早生ミカンとバラ生花販売は、期間中ずっと出展される
色鮮やかなバラが香り立つ
スッキリとした味わいの極早生ミカン
試食もでき、多くの人が買い求めていた
極早生ミカンは、1kg、3kg、5kgが用意されていた
消費者から直接声が聞けるとあって、出展者も真剣に耳を傾ける
10月17日~18日と、23日~24日には、ワークショップが催される
応援で駆け付けた、愛媛県のイメージアップキャラクター「みきゃん」
人気キャラクターのみきゃんは、写真や握手に引っ張りだこだった

 10月17日~18日と、23日~24日には、有料のワークショップも開催される。展示即売されていない、このワークショップだけのクラフトもある。ワークショップは先着申込制で、各回定員が6名となっている。

 前述のとおり、「えひめあつめ クラフト散策」の次回開催は業界関係者のみのイベントになってしまうため、実質、今回が最後の機会となる。これを機会に、県外でなかなか出会えない愛媛の工芸品に触れてみてはいかがだろうか。

(政木 桂)