旅レポ

自然と健康を感じながら――長野で冬のごほうび旅(その1)

「感じる旅長野」と題した、テーマ別で長野県を旅するプレスツアーが晩秋の信濃で開催されたので参加して参りました。第1弾としてご紹介するのは「早朝ヨガ」と「ノルディック・ウォーク」! 朝から体を動かしてお腹が空いたら、冬期限定の名物「おしぼりうどん」に舌鼓! 信州の澄んだ空気をめいっぱい吸い込んでリフレッシュしてきましたわよ~♪

日本有数のパワースポット別所温泉で朝日を浴びながらの早朝ヨガ

別所温泉の高台にある別所神社でヨガ体験をしてきました

 信州最古の温泉として知られる別所温泉は、北陸新幹線の上田駅から上田電鉄別所線に乗り換えること約30分。平安時代に書かれた枕草子に記されているほどの古い歴史を持つ信州を代表する名湯です。

六角形の七苦離地蔵尊堂
北向観音の本坊にあたる常楽寺
きれいな朝焼け
里山の情緒たっぷり
常楽寺裏手にある石造多宝塔。北向観音が出現した場所とされています

「信州の鎌倉」とも言われ、上の写真でご紹介した常楽寺をはじめとする多くの神社仏閣がある別所温泉ですが、近年は日本有数のパワースポットとして注目されているのをご存知ですか? なんでも夏至の頃の太陽の光は、上田市にある信濃国分寺、生島足島神社通って別所温泉に注がれるのだそうです。塩田平から導かれる「気」をしっかりと受け止める山々が背後にあることから、地形的にも理想の場所なのだとか。そんな聖地温泉でやってきたのが早朝ヨガ。これはもうパワーチャージできること間違いなし! ですよ。

常楽寺のすぐ近くにある別所神社の鳥居
左が本殿、右がヨガをやった神楽殿
このような小高い山の上にあります

 早朝ヨガ体験をしたのは別所神社の神楽殿。もちろん神社という神聖な場所でヨガをするなんて初めてです。インストラクターの先生が一番前で指導してくださるのですが、建物が南東を向いているので、ちょうど目の前に見える山の稜線から太陽が上がる神秘的な瞬間に立ち合うことができました。もうこれだけで早起きした甲斐があったというもの! その日最初の太陽の光を全身で感じながらのヨガは、体中にエネルギーがチャージされるような爽快感で本当に気持ちがよいのです。これはオススメ!

朝7時前。ちょうど目の前の山から朝日が上がってきました
初心者でも大丈夫。自分のペースで進めましょう

 この早朝ヨガは、別所温泉の宿泊者を対象としたプログラムで冬の間はお休み。2017年は4月16日~9月24日の日曜日の朝に行なわれます。土曜日に別所温泉の宿に泊まって、翌朝日曜日はちょっぴり早起きして神社へ、というもの。1人1000円の料金にはヨガマットのレンタルも含んでいるので手ぶらで行けるのもありがたいですね。

 宿に戻ったら温泉に浸かって身体をほぐし、その後の朝食はさぞかし美味しいことでしょう。別所神社は縁結びや恋愛成就の神社としても知られているそう。ご夫婦やカップルでの参加も、もちろんアリですよ。

今シーズンまた行きたいっ!

冬の北国街道を軽快にノルディック・ウォーキング♪

ポールを持って歩くノルディック・ウォークはフィンランド発祥のスポーツ

 さてお次は場所を上田駅前に移します。上田市といえば2016年は「真田丸」効果で大きく沸いた街。駅前の広場では真田幸村騎馬像がお出迎えしてくれます。次に紹介するノルディック・ウォークは、ここ上田駅前をスタートして上田城跡公園を通り抜け、かつての北国街道を2本のポールを持ちながら歩くというもの。江戸時代の面影を残す街道を行くツアーなので古道好きさんにもオススメです。

「あの烏帽子岳が3度白くなると里にも雪が降ると言われています」という真田丸のセリフで出てきた烏帽子岳@上田駅前のホテル
JR上田駅前にある真田幸村公騎馬像
上田市内の様子

「ノルディック・ウォーク」は、クロスカントリー選手が夏の間のトレーニングとして行なったものが起源とされる今大注目のスポーツで、ポールさえあれば誰でも気軽&簡単に始められるのが特徴です。通常のウォーキングと比べて筋力アップや腰痛防止などにも効果がある全身運動です。このプログラムには資格を持ったトレーナーさんが同行するので、しっかりケアもしてくれて安心! というわけで、さっそくウォーキングスタートです。

ポールの長さは身長に合わせて決めます
いざっ!
上田城の東虎口櫓門
こんな小径を通っていきます
今も重要な生活道路として守られている北国街道

 最初は「たかがポールでしょ」と思って歩き始めたのですが、普通に歩くのと比べて使っている筋肉が違うというのがすぐに実感しました。背筋がピンと伸びて自然に姿勢がよくなっているのが分かるのです。天気もよく青空が気持ちいい散歩日和。足取りも軽快に進みます。

ぞろぞろ
ぞろぞろ
江戸時代の参勤交代でも使われた重要な街道の面影が残る北国街道

 歩いたのは1時間半ほどで約6kmの行程。民家のすぐ裏の小径を通ったり、住宅地を見下ろす景色のいい場所を歩いたりと地形的にも変化に富んでいるので飽きることはなく楽しめました。そしてウォーキングの終点は上田市上塩尻地区。ここはかつての養蚕で栄えたエリアで、武家屋敷かと思うような立派なお屋敷が軒を連ねる集落です。心地よく身体を動かしたのでお腹が空いてしまいました。さぁお次はランチです。

冬限定の名物おしぼりうどんは脳ミソがしびれるほど辛かった!

これが私が途中でギブアップしたおしぼりうどん!

 ノルディック・ウォーク体験のあとは、バスにちょっとだけ揺られてお隣の坂城町へ。ここで特産品である「ねずみ大根」を使った郷土料理「おしぼりうどん」をいただきました。「ねずみ大根」の名前の由来は、見てのとおりねずみそっくりの見た目から。長い尻尾がかわいいですわよね。

坂城町特産のねずみ大根
お昼を食べたのは坂城町にある新田醸造さん。北国街道でいえば「上田宿」のお隣「坂木宿」にあたります
店舗1階には大正時代に作られた巨大な杉の味噌桶がいくつも
2階のレストランでいただいた、この日のランチ
うどんのおつゆに入れる薬味。味噌を入れるのがミソ!

 おしぼりうどんのおつゆには、ねずみ大根のしぼり汁が入っていて、一見甘酒のような見た目。お好みで味噌や長ネギ、かつお節などの薬味を混ぜ入れます。これに釜揚げうどんをつけて食べるのですが……。

薬味を入れたら、さぁいただきま~す♪

 ズズズズッっとすすったおしぼりうどん、次の瞬間出てきた言葉は「辛っ~!!!(泣)」。わさびのツーンとはまた違った独特の辛さで、それはもう脳天直撃なのです。すかさず味噌の残りを全部投入してみても、その辛味は変化なし。恐るべし、ねずみ大根! ちなみに辛くてギブアップという人には普通の麺つゆを提供してもらえます(私ももらいました)。

新田醸造の会長さんにねずみ大根を持ってもらってハイ、チ~ズ
辛さに打ちのめされたねずみ大根ですが、1階の売店にこんなかわいい子がいました!その名も「ねずこん」。坂城町の公式キャラクターだそうです
新田醸造さんの味噌は添加物を一切使用していない天然味噌。お土産にどうぞ

 信濃路を旅した松尾芭蕉が坂木宿に立ち寄ってこのおしぼりうどんを食べた際に「身にしみて 大根辛し 秋の風」という句を詠んでいるんだとか。よくぞ言ってくださった芭蕉さん! という感じです。とにかくこの辛さ、一度は体験してみる価値アリですよ!

お口直しに食べたみそソフトは新田醸造さんのオリジナル

 この「ノルディック・ウォーク&おしぼりうどん」のプログラムは、鹿教湯温泉や別所温泉に泊まった翌日のオプショナルツアーとして提案されたもので、3月31日までの毎週日・火・木曜日に開催されています。1人5500円の料金には、宿からの送迎バス代、トレーナーガイド料、ポールレンタル料、昼食代が含まれています。

 プチ観光気分で歴史の散歩道を健康的に歩いたあとは、郷土料理も味わえてお土産も買えちゃうという、なかなかありそうでないツアーです。老若男女どなたでも参加できるプログラムなので、ぜひこの冬の信州旅に検討してみてはいかがでしょうか。

ゆきぴゅー

長野生まれの長野育ち。2001年に上京し、デジカメライター兼カメラマンのお弟子さんとして怒涛の日々を送るかたわら、絵日記でポンチ絵を描き始める。独立後はイラストレーターとライターを足して2で割った“イラストライター”として、雑誌やWeb連載のほか、企業広告などのイメージキャラクター制作なども手がける。