【イベントレポート】ツーリズムEXPOジャパン2015

創立55周年を迎えたタイ国際航空、ビジネスクラスシート体験やCAとの撮影会を実施

日本路線の現在とこれからを日本地区総支配人にインタビュー

2015年9月24日~27日 開催

 タイ国際航空は、ツーリズムEXPOジャパン2015にブースを出展。2014年はブースを出展しなかったが、今年2015年は、1960年の創立以来55周年を迎えることもあり、単独でのブース出展となった。

 ブースでは同社の歴史や機材、ネットワークをパネルで紹介するとともに、エアバス A380-800型機およびボーイング 777-300ER型機で使用されているビジネスクラス「ロイヤルシルククラス」のシートを設置。実際に座り、リクライニングも可能で、個室風でフルフラット化できるビジネスクラスシートを体験可能な展示となっていた。

 このほか、CA(客室乗務員)との撮影会や、タイ料理の試食会などのイベントも実施した。

1960年の創立以来、55周年を迎えたタイ国際空港の歴史
32カ国61都市へのネットワークを紹介
保有機材の一覧
CAとの撮影会やタイ料理の試食会などのイベントを実施
クラスごとのサービスを紹介。今回はビジネスクラスである「ロイヤルシルククラス」のシートを展示した
実際に座ってフルフラットシートを体験できるビジネスクラス「ロイヤルシルククラス」のシート体験コーナー
タイ国際航空 日本、韓国、北米地域統括本部長 兼 日本地区総支配人 ノン・カリンタ氏(右)

 なお、今回の出展に合わせ、タイ国際航空の日本地区総支配人を務めるノン・カリンタ氏に、日本路線に対しての印象や戦略などについてインタビューする機会を得た。その内容を以下にお伝えする。

――タイへの旅というとビジネス需要のイメージもありますが、乗客の観光とビジネスの割合はどの程度なのでしょうか。

カリンタ氏:タイから日本へは8割が観光です。日本からタイへは、コーポレートトラベル、つまり法人の出張などに使っている需要が多く、約35%がビジネスの乗客で、ここ数年で堅実に伸びています。日本企業にはタイに投資をしていただいて感謝しています。

――タイへの投資という観点で言えば、2013年の洪水でアマタナコーン工業団地が大きな被害を受けました。これによるタイ国際航空への影響や、日本企業の対応についての印象を聞かせてください。

カリンタ氏:影響はほとんどなかったと思っています。日本の企業は引き続きタイに投資もしていますし、影響があったとしても、ごく短期間で終息したと考えます。テロ事件などについても同様に短期間の影響で回復しています。日本の中小企業も引き続き投資してくれています。

――タイ国際空港の路線は、スワンナプーム空港(バンコク)をハブ空港とした、ハブ・アンド・スポーク型が特徴だと思いますが、日本からの旅行先ではプーケットやチェンマイなど、バンコク以外の観光地も人気です。そういった土地への直行便は検討していないのでしょうか。

カリンタ氏:もちろん実現可能な利益を得られるフライトであればチェンマイもしくはプーケットの直行便という方向性もあります。ただ、現在、日本とバンコクを結ぶ路線を週あたり70便以上を運航することで需要を満たしていると考えています。バンコクからプーケットやチェンマイへの国内線もとても便利に乗り継げますので、その点からも今のところはバンコク路線で十分だと思います。

――バンコクでの乗り継ぎの便利さについて、もう少し具体的に例を挙げていただけないでしょうか。

カリンタ氏:バンコクに到着して、1時間から1時間半ほどでチェンマイやプーケットに乗り継ぎできます。また同じように、2時間あればヨーロッパやオーストラリアの便へも乗り継げます。地理的にもバンコクは優位性があると思います。

――タイ国際航空はボーイング 787-9やエアバス A350も発注しています。現在、例えば成田線にボーイング 787-8型機やエアバス A380-800型機といった新しめの機材を使っていますが、新機材の日本投入についてはどのように考えていますか。

カリンタ氏:福岡路線はボーイング 787型機で運航していますが、需要が大きいので冬からは少し大型のエアバス A330型機へ変更します。2016年には新機材が納入され、これらを日本に持ってくる可能性はありますが、市場の需要を十分にリサーチして最終決定する必要があります。もちろん、東京、名古屋、大阪、福岡といった路線に新機材を投入する可能性は十分あり得る話だと思います。

――現在の日本の就航地は6都市(羽田、成田、新千歳、中部、関空、福岡)ですが、特に需要の高い路線としては、どこが挙げられるでしょうか。

カリンタ氏:もちろん東京が最大の市場ですが、福岡も需要が伸びています。中部国際空港については、2014年12月にJALが中部~バンコク線を開設した影響がありましたが、運航は継続します。バンコクからのネットワークに優位性がありますし、差別化していきたいと思います。

――最後に、日本人向けサービスなどを紹介してください。

カリンタ氏:日本はとても重要な市場です。重点的にフォーカスし、日本人向けサービスの充実に力を入れています。ビジネスクラス以上では日本食提供があったり、全フライトに日本人CAを乗務させたりしています。エコノミークラスでの日本食の提供は現在はやっていませんが、機内食の改善は進めたいと思いますし、日本酒の導入も考えたいと思っています。私自身も日本酒が好きですので(笑)。

 機内映画についても、日本語対応の映画をもっと準備するよう本社に呼びかけていますし、近い将来、スワンナプーム空港(バンコク)には法人のお客様専用のチェックインカウンターも設置する予定です。

(編集部:多和田新也)