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世界最大規模の観光イベントも開催される「ジャパン・トラベル・ウィーク」

9月24日~10月1日の8日間。9月25日には東京駅前に青森ねぶたが登場する「JAPAN NIGHT 2015」

2015年9月1日 発表

「ジャパン・トラベル・ウィーク」の記者会見の様子

 日本政府観光局(JNTO)は9月24日~10月1日にインバウンド商談会「VISIT JAPAN トラベル&MICEマート2015」を東京ビッグサイトで開催する。また、日本観光振興協会と日本旅行業協会(JATA)も、9月24日~9月27日に旅イベント「ツーリズムEXPOジャパン2015」を同じく東京ビックサイトで開催する。この2つのイベント開催期間である9月24日~10月1日の8日間を「ジャパン・トラベル・ウィーク」として両イベントの相互連携を図る。開催に先駆け、9月1日に国土交通省観光庁長官 久保成人氏をはじめ、関係者が一堂に会して記者会見を行なった。その様子をレポートする。

 なお、MICEとは、企業等の会議(Meeting)、企業等の行なう報奨・研修旅行(インセンティブ旅行)(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字のことであり、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称を指す造語である。

国土交通省 観光庁長官 久保成人氏より冒頭の挨拶

国土交通省 観光庁長官 久保成人氏

 冒頭の挨拶で国土交通省観光庁長官 久保成人氏は以下のように述べた。

 「9月24日より『ジャパン・トラベル・ウィーク』がスタートいたします。期間中は、世界各国の地域から政府観光局、旅行関連団体、企業が集結する、世界最大規模の国際観光イベントが開催されるのは喜ばしく思っております。私どもはこれまで個別に行なわれておりました観光イベントを、2014年より同時開催し、この期間を『ジャパン・トラベル・ウィーク』として称して観光立国ニッポンの象徴として世界に向けて強力に発信していくことにいたしました。本イベントは、国内観光、アウトバウンド、インバウンドの3者を一体で開催することに大いなる意義があります。

 今回の会場では、『VISIT JAPAN トラベル&MICEマート2015』の旅行商談会や国内外の旅行情報の展示、ステージパフォーマンスなど様々なプログラムが行なわれます。こういった三位一体の形で同時開催することで、例えばMICEの旅行商談会に参加した海外のバイヤーの方が『ツーリズムEXPOジャパン』の国内からの出展社と商談をするなど、国内外の方の意見交換が活発化するなど、多様な交流機会の創出が期待されます。

 また、本イベントでは、国民の皆様方の旅行機運の醸成によって、例えば風評被害が懸念されている箱根方面や、海外では円安基調が長引くことによる旅行需要の後退が見られる海外旅行、特に韓国方面の旅行などの需要喚起など、様々な期待をしております。

 一方、日本の観光立国の実現のためには、日本と世界の国々との間で国際相互交流の実現が必要不可欠です。世界の観光に関するリーダーが集うこのイベントは、このような点でも意義深いものとなっています。参加された方々同士での交流を深め、世界各地に日本を発信する機会としたいと考えております。この一環で、25日の夜には『JAPAN NIGHT 2015』を開催いたします。観光庁では、JNTOや日本観光振興協会、JATA、各自治体の関係者と連携し、このイベントを成功させ、国民の皆様方の旅行意欲の醸成にさらなる弾みを付けていきたいと思っております」

日本政府観光局 理事長 松山良一氏より「VISIT JAPAN トラベル&MICEマート2015」の説明

日本政府観光局 理事長 松山良一氏

 日本政府観光局理事長 松山良一氏より「VISIT JAPAN トラベル&MICEマート2015」について以下のように説明が行なわれた。

 「『VISIT JAPAN トラベル&MICEマート2015』はインバウンド商談会とFAMトリップの2本柱で構成されています。インバウンド商談会では世界の20カ国から360名の海外バイヤー、そして日本の400社のセラーが一同に会しまして、3日間にわたり、8000件の商談を行なう予定です。

 訪日旅行のトラベルマートと同じ会場で2014年より規模を拡大して『MICEマート』を開催します。国内MICEセラー30社、海外のバイヤー25社を迎えて成長が期待されるMICE分野で日本を強くPRしたいと考えています。

 FAMトリップに関しては、北は北海道、青森から南は九州まで海外バイヤーの皆様に対して日本各地の魅力を見るだけではなく、体験して頂く機会を幅広く提供するつもりです。2015年は商談会場のみならず、FAMトリップの実施中もフリーWi-Fiを整備して商談会の様子、FAMトリップで訪問する日本各地の魅力、これを海外バイヤーを通じてSNSを活用した情報発信などにも期待しています。

 JNTOは、2015年よりVISIT JAPAN事業の主体として、訪日旅行市場の拡大に向け中核的役割を担うことになりましたが、今回の『VISIT JAPAN トラベル&MICEマート2015』もJNTOの主催として開催することになりました。『ツーリズムEXPOジャパン』との同時開催は2014年に引き続き2年目になります。『JAPAN NIGHT 2015』をはじめ、国内旅行、インバウンド、アウトバウンドに携わるキーパーソンが一堂に会し、交流する機会を設けるのはこれまでにない相乗効果が期待できます。

 インバウンド2000万人時代を迎え、インバウンドも新たなステージに入ったと思います。量的な拡大も大切ですが、観光の質の向上も必要です。また、地方創生にいかに貢献するか、受け入れ体制をいかに整備するかという挑戦が続きます。『ジャパン・トラベル・ウィーク』の開催を通じ、心が1つになった観光業界が官民で力を合わせて、こうした課題を克服して行ければと思います」

日本観光振興協会 会長 山口範雄氏より「ツーリズムEXPOジャパン2015」の概要説明

公益社団法人日本観光振興協会 会長 山口範雄氏

「ツーリズムEXPOジャパン2015」の組織委員会委員長を務めている日本観光振興協会 会長 山口範雄氏より同イベントの概要の説明が以下のように行なわれた。

 「国内観光需要の喚起に向けて『旅フェア』、海外旅行需要の喚起に向けて『旅博』というものが別々に行なわれていましたが、この2つのイベントがそれぞれの実績を持ち寄って、強みを発揮するということで、いわば観光立国実現に向けたオールジャパン体制での取り組みが昨年より始まっています。2015年も観光業界、その他産業界、省庁、地域、関係団体の連携により、9月24日~9月27日の4日間に『ツーリズムEXPOジャパン2015』開催します。

 2015年のポイントは3つあります。1つ目は、イベントの規模です。特に展示会に関しては、2014年を超える1145の出展社が予定されています。国内地域に関しては47都道府県すべてから出展が予定されています。産業界からも従来の業種に加え、音響関連や自動車部品、皮革関連の出展も予定されています。これを見ると名実ともに観光は裾野が広い産業であるというのが分かります。2014年の来場者は15万8000人でしたが、2015年は17万人を目指しています。

 2つ目は『ジャパン・ツーリズム・アワード』を新たに設定し、観光における優れた取り組みに対して、各部門から優秀な案件を表彰します。その中から最も優れたものを大賞とします。すでに選考を進めていますが、どの案件も力の入ったものです。こうした表彰によって、広く観光の素晴らしさを周知をし、国民に観光に対する理解を促進していくものと考えています。

 3つ目は、“新たな連携”です。2015年より『プレミアム・ディスティネーション・パートナー』と『プレミアム・ディスティネーション・サポーター』という制度を新設しました。海外や国内のプロモーション施策と連携をしながら『ツーリズムEXPOジャパン2015』の集客力や牽引力を活用してもらうことでパートナーやサポーターとなる国や地域、取り組みにへのプロモーション効果を最大化するプログラムです。2015年は青森県にパートナーとなって頂き、東日本旅客鉄道にサポーターとして協力して頂くことになりました。多くの皆様に『ツーリズムEXPOジャパン2015』にお越し頂き、観光の力を実感することで、観光立国の実現に向けた国民運動に繋げていきたいと思います。

 インバウンドの旅行者の増大は、日本の経済に対しても大きな効果に繋がっているのはすでにご承知の通りです。これに負けずに国内の観光に関しても、4月~6月で数字が伸びています。国内とインバウンドの旅行形態を融合し、それによって地域における自然や文化、風習、食など、生活全体として地域が持っている観光資源を新たに築く、掘り起こすといった。そして観光資源化を考えていきたいと思います。国内、海外、訪日の三位一体で展開をする『ツーリズムEXPOジャパン』は、出展社、商談会参加者、世界の観光関係者などが一堂に会し、情報交換や意見交換ができるワンストップサービスの機能が整います。こうしたことを踏まえ、国の基本施策である、“観光立国”や“地方創生”に結びつけるべく、大きな裾野を持った観光産業の位置づけを拡大をするべく努めていきたいと思います」

日本旅行業協会 会長 田川博己氏より「ツーリズムEXPOジャパン2015」の事業詳細と「JAPAN NIGHT 2015」の説明

一般社団法人日本旅行業協会 会長 田川博己氏

 続いて「ツーリズムEXPOジャパン2015」の実行委員会委員長の一般社団法人日本旅行業協会 会長 田川博己氏より、同イベントの事業の詳細と「JAPAN NIGHT 2015」について以下のように説明が行なわれた。

 「私の方からは『ツーリズムEXPOジャパン2015』の実行の中身について話します。2016年のリオ五輪まで1年を切りました。オリンピックが終わるときに“トウキョウ・ジャパン”とコールされます。いよいよ2016年からは全世界から日本が注目されます。2014年から始まった『ツーリズムEXPOジャパン』ですが、2016年は「ホップ、ステップ、ジャンプ」のジャンプの年にしたいと思います。従って2015年はステップの年として新たなプログラムに取り組むチャレンジをしていきたいと考えています。

 『ツーリズムEXPOジャパン』を構成する事業の1つである、国際観光フォーラムでは、国連の世界観光機関と連携を図りながら、“ツーリズム&カルチャー”、旅と文化をテーマにしたいと思います。文化の保存と活用、そして観光の役割について議論を深めていきたいと思います。新しい取り組みとして、ASEAN地域に焦点を当て、ASEAN経済共同体の発足でツーリズムがどう変わるかというテーマで『第1回アジア・ツーリズム・リーダーズフォーラム』を開催します。将来的に世界の観光産業のリーダーが集って討議をしていくグローバルなフォーラムを目指したいと思います。2016年以降もしっかりとバージョンアップしていくつもりです。

 『ジャパン・ツーリズム・アワード』に関しては、国内、訪日領域、海外領域、国際領域と4つの部門を設けて部門優秀賞と部門賞を決定いたしました。部門優秀賞から大賞を1点、国際領域ではUNWTO賞を1点、9月24日に表彰式を行ないます。

 商談会に関しては、アウトバウンドのバイヤーが200名、セラーが400名、国内はバイヤーが80名、セラーが230名を超える登録がありました。国内外から1000名が会す大規模な商談会になる予定です。この商談会は、実務に則したネットワーキングの場としても注目されています。従来以上に商談会の中身を濃くしていきたいと思います。世界の国地域、日本全国から出展する展示会では、最新の観光情報が収集できるだけではなく、ご当地丼の選手権や出展社の指向を凝らしたステージパフォーマンスなど、ご来場される皆さんに楽しんで頂けると数多くのイベントを準備しています。

 2014年はお子様連れのご家族が多く来場されました。ご家族にも安心して楽しんで頂けるように、子供と一緒に休憩できるスペースや、ベビーカーの置き場などを設ける予定です。

 『JAPAN NIGHT 2015』については、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えた東京で、今後の都市空間の活用モデルとなる「都市型MICE」として国際都市東京を舞台に魅力ある日本の地域コンテンツを発信したいと考えています。開催場所は東京の国家戦略特区である、丸ノ内の行幸通りをウェルカムプラザとして活用し、中通りをエクスペリエンスアベニューとして、東京のシンボル空間、国際的なおもてなし空間として位置づけ展開をしたいと思います。また、国家戦略でもある『地方創生』のショーケースとして、青森県をパートナーとして、東京から地方創生を併せて発信をしたいと思います。東北復興のシンボルとして、ねぶたの運行を行なう予定です。1700名の招待者に日本の文化、伝統芸能を体験していただき、海外の方に日本のおもてなしを実感して頂きたいと考えています。一般の方々にもストリートパフォーマンスなど、一部ご覧いただける場も用意しています。このイベントが国内外に発信されることで、参加者だけではなく世界にその意義を伝えられると嬉しく思います」

青森県知事 三村申吾氏より「プレミアム・ディスティネーション・パートナー」について説明

青森県知事 三村申吾氏

 「プレミアム・ディスティネーション・パートナー」として参画する青森県の知事 三村申吾氏より目的などを以下のように説明した。

 「観光振興は地域が外貨を獲得するための最も有効な手段です。とりわけ、東日本大震災からの創造的復興を進める青森県、東北全体にとりましても、国内外からの誘客拡大は、復興を先導する役割でもあることから、今回の機会を最大限に活かし、国内外からの観光のトップリーダーの方へ地方ならではの魅力を存分に情報発信していきたいと思います。

 青森県は2015年4月に就航20周年を迎えた青森~ソウル線にくわえ、台湾チャーター便や青森港に寄港するクルーズ客船が増加するなど、インバウンドのアクセスが充実してきております。2016年3月には、北海道新幹線が新青森駅~新函館北斗駅間で開業します。両駅の所要時間は約1時間です。函館には台湾との直行便が毎日就航しており、北京と天津から週に2便が運行されています。今後、函館を経由して外国人観光客が東北を訪れるのも容易になります。インバウンドに関して、青森県が東北エリアに送客するゲイトウエイになると考えています。北海道新幹線の開業併せて『津軽海峡でつながる物語』をテーマに2016年7月~9月に『青森県・函館ディスティネーションキャンペーン』を実施します。青森県と道南エリアのそれぞを組み合わせ、陸海空の多様な交通機関を利用して2つのエリアを周遊する海外の旅行会社に提供し、旅行商品の造成に努めている最中です。

 『JAPAN NIGHT 2015』で青森ねぶたを運行いたします。今回はねぶた名人である千葉作龍氏の作で、題材は『古事記 日本創世』です。“東日本大震災から4年を経て、再び日本を創世し、平和な世を築きあげたい”との願いを、ねぶたにこめたいと千葉氏は語っていました。

 今回の『ジャパン・トラベル・ウィーク』を通じ、青森県を世界各国に青森県や東北ならではの気候や風土が生んだ伝統文化の素晴らしさを発信していきたいと考えています」

「JAPAN NIGHT 2015」で運行を予定されている千葉作龍氏作「古事記 日本創世」の下絵

東日本旅客鉄道 代表取締役副社長 深澤祐二氏より、「プレミアム・ディスティネーション・サポーター」の説明

東日本旅客鉄道株式会社 代表取締役副社長 深澤祐二氏

 東日本旅客鉄道 代表取締役副社長 深澤祐二氏より、「プレミアム・ディスティネーション・サポーター」として「青森県・函館ディスティネーションキャンペーン」をはじめとした同社の取り組みについて以下のように説明した。

 「JR東日本としては『地域に生きる』という標語のもと、地域の活性化、観光振興、首都圏における産直市など様々な取り組みで地域の活性化を取り組んでおります。東北については『行くぜ東北』キャンペーンを継続的に行なっています。いよいよ、2016年春には、北海道新幹線が新函館北斗駅まで開業します。さらに、それを受けて、『青森県・函館ディスティネーションキャンペーン』を青森県や地元のみなさま、JR各社、旅行会社と一緒になって展開をいたします。東日本大震災以降、東北各県のディスティネーションキャンペーンを開催してきました。震災の直後の青森県をはじめ、2015年4月~6月に福島県のディスティネーションキャンペーンを実施し、東北を一巡しました。東北の復興に効果があったと私どもは自負しています。ディスティネーションキャンペーンは地元の皆様に地域の魅力を掘り起こして頂き、磨き上げて頂いて、おもてなしをして頂くという町おこしという側面も持っています。それを通じて東北地区を元気にしていこうというものです。2015年7月~9月までプレ・ディスティネーションキャンペーンとして、「青森県・函館観光キャンペーン」を青森県と一緒に展開しています。今回の『JAPAN NIGHT 2015』でねぶたが東京駅前で運行をするということで、その熱気が東京駅前で再現するのは意義深いと思っております。この『ツーリズムEXPOジャパン2015』をスタートとして、2016年春の北海道新幹線開業、『青森県・函館ディスティネーションキャンペーン』と青森件や道南地域と一体となって、様々な取り組みをしていきたいと思います」

関係者のフォトセッション。右から一般社団法人日本旅行業協会 会長 田川博己氏、公益社団法人日本観光振興協会 会長 山口範雄氏、国土交通省観光庁長官 久保成人氏、日本政府観光局理事長 松山良一氏、青森県知事 三村申吾氏、東日本旅客鉄道株式会社 代表取締役副社長 深澤祐二氏

(編集部:柴田 進)