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東京都で「初乗り410円」タクシー、1月30日から新運賃開始

2017年1月30日 新運賃開始

1月30日よりスタートする東京都の「初乗り410円」タクシーに向けて、東京ハイヤー・タクシー協会 会長 川鍋一朗氏(左)と東京都個人タクシー協会 会長 秋田隆氏(右)が狙いなどを話した

 東京ハイヤー・タクシー協会は1月27日、「初乗り410円」タクシーが1月30日より東京23区、武蔵野市、三鷹市で営業開始することに先がけて記者会見を実施した。会見では同協会会長 川鍋一朗氏が、料金体系や営業範囲を説明するとともに、新運賃で目指した狙いなどを話した。

 新運賃では、1.052kmまでの初乗り運賃が410円となり、現行の2kmまでの初乗り運賃の730円から引き下げる。新運賃のポイントは約2kmまでの運賃は引き下げになり、約6.5km以上の運賃は引き上げになるところ。また、約2kmから約6.5kmまでの運賃は引き下げになる部分と引き上げになる部分があるとしている。

川鍋氏が新運賃について説明した
新運賃のイメージ(国土交通省の資料)
運賃の新旧比較表(国土交通省の資料)
東京ハイヤー・タクシー協会 会長 川鍋一朗氏

 新運賃の1つめの狙いとして、川鍋氏は「少子高齢化と言われ、高齢者の方が増えて子供の数が減って、お客さまの移動に対する苦労や大変さが上がっているという認識がある。そこに対して気軽に頻繁に乗っていただく“チョイノリ需要”が喚起されて、ちょっと病院まで、買い物でちょっと乗っていただくといった、“チョイノリ需要”をとらえていきたい」と説明した。

 2つめの狙いは「インバウンド、訪日外国人の方にタクシー利用をしていただきたい。初乗り運賃で乗れる距離は世界でも有数の長さで、高いという印象。世界標準に近い価格まで下げるということで、最終的に410円というカタチとなり、ロンドンやニューヨークと比べてもリーズナブルな運賃であると感じていただけるのではないか」と述べ、この2つで「中長期的に下がっていく運送回数を少しでも上げていきたい」との期待感を話した。

 なお、新運賃初日の1月30日に関しては、新旧運賃のタクシーが混在する。川鍋氏は「前日から出庫している車両も一部混在することが予想されるので、運行の努力でなるべく減らすとともに、乗務員やお客さまへの周知徹底を図りたい」とした。また、短距離だと乗務員が嫌な顔をするのではとの懸念に対して、川鍋氏は「協会所属の会社や乗務員に対して、410円の大きな意義を教育して浸透を図っていきたい」とした。

 さらに、川鍋氏は「新運賃は東京オリンピック・パラリンピックを目指した大きなタクシー改革プロジェクトの一環。初乗り運賃410円に続きまして、運賃をより使いやすく、便利になるような動きを国土交通省の指導を得ながらさまざまな企画を考えています。秋には新しいスタイルのタクシー『ジャパンタクシー』がデビューを控えており、2017年はタクシーが大きく変わったなと感じていただける1年になるよう行動していく」と述べた。

 また、川鍋氏は「根底に流れる危機感は、この10年でタクシーの需要が3割減っていること。実は1970年をピークに輸送人員はじりじり右肩下がりで、これがずっと続いていてタクシー事業者一同、強い危機感を持っている。2007年に710円に値上げをして、さらにその後、消費税分で730円になり、値上げの都度、乗車人員が減っていっている」と話した。

 川鍋氏は、世界ではライドシェアが法律で禁止される流れがあるとし、「オリンピックが決まってインバウンド対応をしなければならない。海外で使い慣れたライドシェアのアプリを使いたいという方々がいるなかで、我々としてはタクシーを使いやすくするのが王道。ドイツや韓国ではタクシーを呼ぶアプリが国民的アプリの位置を占めている」と紹介。さらに、「法的要件を満たしたタクシーなりハイヤーなりをアプリで配車する流れが一般的であり、ライドシェアへの危機感がバネとなりタクシーの進化の方向性が明確になりつつある」との考えを示した。

東京都個人タクシー協会 会長 秋田隆氏も同席した