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NEXCO東日本、8月は圏央道開通などで通行量増加も、台風や休日日数の影響で微増に

今冬から2017年度にかけてのリニューアル工事についても紹介

2016年9月28日 実施

 NEXCO東日本(東日本高速道路)は9月28日、2016年度5回目となる定例記者会見を実施。8月の営業概要や、北海道を中心に被害が発生した台風10号に伴う影響、現在進めているリニューアルプロジェクトなどについて説明した。

 夏休み期間となる2016年8月は、日平均の通行台数が前年比101.1%の306万6000台、料金収入(税含まず)は前年比100.9%の821億7800万円となり、前年から微増という結果になった。この結果について同社は、「台風が8月に4つ、休日日数の減少もあり、圏央道の新規供用などの影響などもあって全体では増えているが、この程度の増加に留まった」との見方を示した。

 また、8月のSA(サービスエリア)/PA(パーキングエリア)の売上高は、前年を3.1%下まわり、前年比96.9%の176億9400万円。飲食商品販売は135億6800万円(前年比2%減少)、ガソリンスタンドは41億2500万円(6.6%減少)。売上高減少の理由は、台風や休日日数の影響のほか、ガソリンスタンドは「各油種とも単価が17円程度低下した」ことを挙げている。

東日本高速道路株式会社 代表取締役社長 廣瀨博氏

 今回の定例会見で、NEXCO東日本 代表取締役社長の廣瀨博氏は、冒頭で台風10号に伴う被害者に対してお悔やみ、お見舞いを述べ、この影響について説明した。

 台風10号では特に北海道で大きな影響が発生。廣瀨氏は「NEXCO東日本管理の道東自動車道が通過する北海道十勝地区では記録的な豪雨となり、河川が氾濫して住宅が流され、国道やJRの橋が多くの場所で落橋するなど甚大な被害が発生した。道東自動車道トマムIC(インターチェンジ)~十勝清水IC間において、約380mmの豪雨と、道路区域外からの土石流などで多くの被害が発生して通行止めを余儀なくされた。高速道路、国道およびJRの不備不通によって、札幌エリアから十勝地区への移動ルートがすべて途絶する大変な状況になった」と、災害発生当初の状況を説明。

 この事態への対応として、「昼夜連続で復旧作業を行なった結果、台風通過の翌日9月1日の午前8時、8月29日の21時55分から止めていたトマムIC~十勝清水IC間を含めて、通行止めをすべて解除することができた。通算で58時間05分の通行止めとなり、ご迷惑をおかけした」との対応結果を紹介した。

 なお、通行止めの国道38号および国道274号の代替路として、道東道 占冠IC~音更帯広ICを迂回路として乗り降りする車両に対する無料措置は、現在も継続している。

 長野自動車道 安曇野IC~麻績IC間にある小仁熊橋で開始されたリニューアル工事については、「2015年度から高速道路ネットワーク機能を長期にわたって健全に保つことを目指した高速道路リニューアルプロジェクトを本格的にスタートさせた。今般、関東近郊では初の大規模更新事業である橋梁の床版取り替え工事を、長野道 小仁熊橋で着手した。延長約200mの鋼橋で、上下線合わせて4000m2の老朽化した鉄筋コンクリート床版を、耐久性の高いコンクリート床版へ変更する工事を、昼夜連続の対面通行規制により実施している。上りについては12月30日までの予定で進めている。下りについては、2017年のGW(ゴールデンウィーク)空けから、同じく昼夜連続の対面通行規制で実施する予定」と説明。

 この影響で、週末や休日を中心に渋滞の発生が予想されていたが、その状況について、「9月17日の土曜日には、下りで最大8.2km、通過に約90分を要する渋滞が発生した」と紹介。「隣接するNEXCO中日本とも協力し、関東圏だけでなく中京圏も含めて、テレビやラジオのCM、現地でのチラシ配布による事前の工事情報や渋滞情報の迅速な提供を行なう。利用時には当社Webサイトやハイウェイテレフォン、ラジオなどでリアルタイムの情報を確認して、できるだけ渋滞を避けてご利用いただければありがたい」と呼びかけた。

長野自動車道 小仁熊橋の床版取り替え工事現場(2016年9月13日撮影)

 今後のリニューアル工事については、今冬から2017年度にかけて、札樽自動車道の大野橋(朝里IC~銭函IC間)、東北自動車道の広瀬川橋(仙台宮城IC~泉IC間)、上信越自動車道の閼伽流山(あかるさん)トンネル(碓氷軽井沢IC~佐久IC間)、北陸自動車道の正善寺トンネル(名立谷浜IC~上越JCT/ジャンクション間)で実施していく。

 また、質疑応答では、国土交通省の高速道路ナンバリング検討委員会による高速道路ナンバリング導入について、実際に導入された場合の取り組みを問われ、「状況を見守りながら、ご利用の多いところや、行き先が複雑なJCTなど、お客さまの立場で急ぐべきところを優先順位を付けて作業を進めていきたい。また、東京オリンピック・パラリンピックに向け、地方にも出かけていただきたいと思っている。NEXCO東日本としては、東北地方や新潟、北海道も含めて、ボリュームはあるが優先順位を付けて進めていく」とした。

 このほか、東日本大震災の復旧工事に関して、東北支社と関東支社からの発注について談合が行なわれ、それぞれ9月6日と9月21日に公正取引委員会から入札参加業者に対して排除措置命令や課徴金納付命令が出されたことについて、「NEXCO東日本としては、談合等の不正行為に対して厳正に対処していく方針」との姿勢を示し、9月6日に発表のあった東北支社発注の工事への入札参加業者20社に対しては、9月16日に競争参加資格停止措置をとったことを明らかにした。

 また、HDI-Japan(ヘルプデスク協会)による電話問い合わせ窓口格付け調査で最高評価となる「三つ星」を5年連続で獲得したことも発表。この評価について、「過去、大手企業1400社のうち、三つ星認定証獲得しているのは1割ほど、5年連続は2016年8月末現在で、過去8社のみ。価値の高い認定をいただいた。スタッフ一人一人がお客さまのニーズに的確に答え、スムーズで丁寧な対応を続けてきた成果を高くご評価いただいたものと思っている。これからも、お客さまを第一に考え、安全安心快適便利な高速道路空間を引き続きご提供できるよう努める」とコメントした。