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JALが接客コンテスト「N-1グランプリ 2016」開催、成田地区のトップ3を選出して11月の全国大会へ

“NARITAのナンバーワン”へ向けて選抜者9名が接客を披露

2016年9月2日 実施

 JAL(日本航空)グループのJALスカイは9月2日、成田地区の接客ナンバーワンを競う「N-1グランプリ 2016」を成田オペレーションセンターで開催。2016年で4回目となる本コンテストは、同社で以前から行なわれていた「アナウンスコンテスト」から始まった伝統行事だ。

 中期経営計画の目標「顧客満足度No.1を達成」を実現するために路線やネットワークの展開とともにヒューマンサービスの向上に努める同社が顧客に寄り添い新鮮な感動を与えるサービスを体現する「NARITAのサービスナンバーワン」スタッフを決定するプログラムだ。チェックインカウンターやゲートなどで業務を行なう従業員約900名から選抜、推薦された代表者たちのなかから 「お客さまに“寄り添い”“JALフィロソフィ”を価値観として体現する安全とサービスのプロフェッショナル」を選出する内容となっている。

 開会式では同社成田事業所長の石橋正二郎氏が登壇。「自分が楽しい気持ちで接客することでお客さまにもその感情が伝わる。スキルなども大切だが、まずはオペレーションを楽しんでほしい。そして我々の金メダルである“Service Specialist”バッジを目指して下さい。また、応援団も気合いが入っているので、そちらも見どころですね。皆でいい時間にしましょう」と挨拶。

 本コンテストで入賞すると、11月に行なわれる全国の空港からの代表者が集う本戦「第5回空港サービスのプロフェショナルコンテスト」の出場権が与えられる。ここでシルバーのバッジをファイナリストとなり手にすることができると、ゴールドの“Service Specialist”バッジを持つ接客の指導を行なう教官になる道が開ける。接客のプロとなるための登竜門的な意味合いも持っているのだ。

株式会社JALスカイ 成田事業所長の石橋氏が「楽しむこと」を強調した
接客のスペシャリストの証、ゴールドの“Service Specialist”バッジ
Pontaキャンペーン中にちなんで会場にはポンタも制服姿で応援に駆けつけた
Pontaにちなんで司会者も動物つながりでレッサーパンダとリスのコスプレで場を盛り上げる

アナウンスは定型とイレギュラーの2本で審査

 一次審査は「アナウンス」。利用者が知りたい情報を知りたいタイミングで提供できているか、そして感謝やお詫びの気持ちを込めてアナウンスしているかどうかを判断。出場者9名は別室に移動し、一人一人が個別に会場に入場。定型アナウンスは日本語と英語合わせて1分15秒以内。イレギュラーアナウンスは日本語と英語合わせて3分以内で実技を行なう。

 なお、イレギュラーアナウンスは直前にお題を与えられ10分間で作文。イレギュラーの想定は「雪のためソウル・仁川空港の滑走路が閉鎖。1時間後に天候確認を行なう。現在の時刻は18時。JL959便、ソウル行きは18時40分発の出発ゲート担当」を想定。このような状況のなか、どのようにアナウンスするかで審査する。

 トップバッターは成田事業所 第2部チェックイングループの山本伶氏。「とても緊張していますが、精一杯頑張ります」とコメント。日本語の定型アナウンスは以下のとおり。

「おはようございます。日本航空よりご案内いたします。ご出発のお客さま、早朝からのご利用ありがとうございます。ただ今より、お手続きを開始いたします。○番カウンターまでお越し下さい。今日も、ワンワールドアライアンスメンバー、日本航空をご利用くださいまして、ありがとうございます」。

 続いて個人で文章を制作したイレギュラーアナウンス。日本語と英語で行なった。

「日本航空より、ソウル・仁川へご出発のお客さまへお知らせとお詫びを申し上げます。ソウル・仁川空港行き、18時40分発、959便は、ただ今、ソウル地方大雪の影響により滑走路が閉鎖しているため出発が遅れる見込みです。私どもも早い天候の回復を望んでいますが、今のところいつ出発できるか見込みがたっていない状況でございます。このあと1時間後の19時、午後7時に天候確認を行ない出発の時間を決定致します。新しい情報が入り次第すぐにアナウンスにてお知らせいたします。恐れ入りますが次のご案内まで61番搭乗口にてお待ち下さい。なお、ラウンジをご利用いただけるお客さまはラウンジにてお休みください。せっかくのご旅行、大切なお仕事のおり皆さまを長い間お待たせすることとなり申し訳ございません。何かご不明な点、ご心配な点がございましたら、私山本もしくはお近くの日本航空係員にお尋ね下さい」。

成田事業所 第2部チェックイングループの山本伶氏

 続いては、成田事業所 第1部チェックイングループの平坂彩氏。「とても緊張していますが、精一杯頑張ります。心を込めて接客させていただきます」と意気込みを語った。そして定型とともに、“一次閉鎖”という言葉を使い、出発への含みを持たせたイラギュラーアナウンスを披露。

「日本航空よりソウル・仁川行き、959便18時40分発のお客さまへお知らせとお詫びを申し上げます。現在ソウル・仁川空港は大雪の影響により一次滑走路を閉鎖しております。このため皆さまの出発が遅れる見込みでございます。申し訳ございません。私どもも一刻も早い天候の回復を望んでおりますが、皆さまにご安心してご出発していただけるよう現地の天気の回復をまって出発することとなりました。1時間後の19時の天候を確認し、この後状況ならびに皆さまの飛行機へのご案内のご時刻をお知らせいたします。ソウル・仁川行きのお客さまは80番付近の搭乗口にてお待ちください。せっかくのご旅行、大切なお仕事のおり皆さまのご出発が遅れまして誠に申し訳ございません。何かご不明な点、ご心配な点がございましたら、どうぞご遠慮なく私平坂、もしくはお近くの日本航空係員にお尋ね下さい」。

成田事業所 第1部チェックイングループの平坂彩氏

 そして、成田事業所 第3部プレミアムグループのリー・ジェナリン・アキ・ルビオ氏。「初めてのN-1で緊張しますが、支えて下さる多くの皆さまの温かいアドバイスを胸に頑張ります。いつもどおりの自然体の私で笑顔を忘れず楽しみたいです」とコメント。定型とともに、お詫びを心から表わす表情が印象的なイレギュラーアナウンスを披露した。

「日本航空よりお客さまへお知らせとお詫びを申し上げます。ソウル・仁川行き、18時40分発、959便はまもなく皆さまを飛行機へとご案内するお時間ではございますが、ソウル地方、雪の影響により皆さまの出発が遅れる見込みでございます。ただ今、仁川空港では大雪のため滑走路が閉鎖いたしました。私どもも一刻も早く天候が回復することを願っておりますが、皆さまをお待たせすることとなります。なお、1時間後の19時頃、午後7時頃に新しい情報を皆さまにお知らせする予定でございます。恐れ入りますが今しばらく64番搭乗口付近でお待ち下さい。本日は大切なお仕事、ご旅行のおり出発が遅れまして大変申し訳ございません。何かご心配な点がございましたら、どうぞお気軽にお近くの日本航空係員にお尋ね下さい」。

成田事業所 第3部プレミアムグループのリー・ジェナリン・アキ・ルビオ氏

 3名が終了したところで応援団から「アナウンスはイレギュラーアナウンスでそれぞれの気持ちがきちんとこもっていたことが印象的だった。いくら文章がよくても気持ちが入ってなければ伝わらないものなので、今までの3人はとてもよかった」と感想も。

 そして4番手は成田事業所 第3部プレミアムグループの近藤沙貴氏。柔らかで安心する声質で安心を生み出すイレギュラーアナウンスが印象的だった。

「日本航空よりお知らせとお詫びを申し上げます。ソウル行き18時40分発、959便はソウル地方が雪のため出発が遅れる見込みでございます。ただ今、ソウル・仁川空港においては雪のために滑走路が閉鎖されている状況です。そのため、こちらの便は、ここ成田空港にて地上待機することとなりました。この後19時に天候確認を行ない、新しい出発時刻を決定する予定でございます。改めてのご案内は19時30分頃を予定しております。大変恐れ入りますが次のご案内まで61番搭乗口付近でお待ち下さい。なお、ラウンジをご利用いただけるお客さまはよろしければラウンジ内でお待ち下さい。本日は大切なご旅行、お仕事のおり出発が遅れることとなり大変申し訳ございません。何かご心配な点がございましたら、お近くの日本航空係員にお尋ね下さい」。

成田事業所 第3部プレミアムグループの近藤沙貴氏

 そして前半ラストは成田事業所 第1部チェックイングループ池谷早織氏。「皆さんの応援に応えられるように頑張ります」と一言。アナウンスの途中でお辞儀をするなど動きを取り入れたイレギュラーアナウンスが印象的だった。また、3分ぴったりにイレギュラーアナウンスが終わり会場からどよめきも。

「日本航空よりソウル行きのお客さまへお知らせとお詫びを申し上げます。ソウル行き18時40分発、959便はソウル地方雪の影響により出発が遅れる見込みでございます。ただ今雪のためソウル・仁川空港の滑走路が閉鎖されてり、皆さまの便を含め飛行機が到着できない状況でございます。1時間後に天候を確認し、新しい情報をアナウンスにてお知らせいたします。次のご案内は19時15分頃を予定しております。恐れ入りますが62番搭乗口付近にてお待ち下さい。本日は大切なご旅行、お仕事のおり出発が遅れまして誠に申し訳ございません。私どもも天候の回復を願っております。(お辞儀)滑走路が開き次第、すぐに出発ができるよう私どもも準備を進めて参ります。何かご不明な点、ご心配な点がございましたら、お近くの日本航空係員までお知らせ下さい」。

成田事業所 第1部チェックイングループの池谷早織氏

 後半は成田事業所 第2部カスタマーグループ池田有梨沙氏よりスタート。「ピンチヒッターとして急遽出場ですが、楽しく1日頑張ります」と抱負を語った。3分ジェストで終えた聞きやすく感情のこもったイレギュラーアナウンスと、定型アナウンス時の爽やかな笑顔が特徴的だった。

「日本航空よりお知らせとお詫びを申し上げます。日本航空ソウル行き959便はソウル地方悪天候のため出発が遅れます。只今お調べしたところによりますと、ソウル地方では大雪により安全に離着陸ができないため仁川空港の滑走路が閉鎖されているとのことです。そのためソウル行き959便は1時間後の19時の天候調査の結果を見て、今後の運行を決定いたします。改めてのご案内は19時30分にいたしますのでいましばらくお待ち下さい。なお、ラウンジをご利用いただけるお客さまはラウンジでお待ち下さい。本日は出発時刻に合わせて空港にお越しいただいたのに関わらず出発が遅れることとなり申し訳ございません。(お辞儀)何かご心配な点、ご不明な点がございましたら、こちらの便を担当いたします池田、またはお近くの日本航空係員までお声掛け下さい」。

成田事業所 第2部カスタマーグループの池田有梨沙氏

 7番手は成田事業所カスタマーグループの西村美沙氏。「笑顔で自分らしくベストを尽くします」と話し、周囲をまんべんなく見渡しながら丁寧にゆっくりとアナウンスする様子と合間合間の笑顔に安心感があった。イレギュラーアナウンスは以下のとおり。

「日本航空より、ソウル行きをご利用のお客さまにお知らせとお詫びを申し上げます。ソウル行き18時40分発、日本航空959便はソウル地方悪天候により出発が遅れる見込みでございます。ただ今、ソウル・仁川空港では滑走路が一次閉鎖されており、こちらの便は管制の指示が出るまで成田空港にて待機することになりました。皆さまに安心してご出発していただけるよう、天候の回復を待って出発をする予定でございます。
本日はお急ぎのところ出発が遅れ誠に申し訳ございません。新しいご案内は19時、午後7時頃アナウンスにてお知らせいたします。恐れ入りますが今しばらくお待ち下さい。何かご不明な点、ご心配な点がございましたら、お気軽にお近くの日本航空係員までお知らせ下さい」。

成田事業所 第1部カスタマーグループの西村美沙氏

 8番手は成田事業所 第2部プレミアムグループ尾野彩佳氏。ひときわ大きな声援で会場にウェーブが起きるなど大盛り上がりのなか、「緊張しますが、今まで練習を手伝って下さったり、応援して下さった周りの皆さまに感謝しながら、私らしく接客ができるように頑張ります」とコメント。持ち時間きっちりと言い間違えなく確実で聞きやすい定型アナウンスとイレギュラーアナウンスが光っていた。

「日本航空よりソウル・仁川へご出発のお客さまへお知らせとお詫びを申し上げます。仁川行き959便は仁川空港滑走路閉鎖のため出発が遅れる見込みでございます。ただ今、大雪のため安全に離発着が行なえない状態となっております。私どもも早い天候の回復を願っておりますが、今のところいつ出発ができるか見込みがたたない状況でございます。本日は出発の時間に合わせてお越しいただいたのにも関わらず長い間お待たせすることとなり誠に申し訳ございません。(お辞儀)皆さまに安心して出発していただけますよう、天候の回復を待ち、この後1時間後の19時に出発時刻を決定いたします。新しい情報が入りましたらすぐにアナウンスでお知らせいたしますので搭乗口61番付近にてお待ち下さい。なお、ラウンジをご利用いただけるお客さまは、どうぞラウンジにてお休み下さい。出発時間が決まりましたら、少しでも早く出発していただけますよう私どもも全力をあげて準備を進めて参ります。何かご不明な点、ご心配な点がございましたら、私尾野、またはお気軽にお近くの日本航空係員までお知らせ下さい」。

成田事業所 第2部プレミアムグループの尾野彩佳氏

 一次審査ラストは成田事業所 第3部トラフィックグループ佐藤綾氏。「とても緊張していますが、いつもどおりの接客ができるよう頑張ります。Cサテ魂を見せます!」と意気込みを語り、イレギュラーアナウンスともに余裕のある時間配分と現在の状況を簡潔に伝えるアナウンスを行なった。

「日本空港よりお知らせとお詫びを申し上げます。ソウル行き18時40分発、959便はソウル地方大雪の影響で出発が遅れます。大切なお仕事、ご旅行のおりお待たせすることとなり申し訳ございません。現在、ソウル・仁川空港は大雪のため滑走路が閉鎖されている状態でございます。新しい出発時刻は現在決まっておりませんが19時に天候を確認をし、今後の運行の判断をいたします。皆さまへの次のご案内は19時30分頃を予定しております。大変恐れ入りますが66番搭乗口付近にてお待ち下さい。なお、ラウンジをご利用いただいているお客さまはラウンジにてお待ち下さい。ご不明な点、ご心配な点がございましたら、私佐藤、または66番搭乗口係員にお気軽にお知らせ下さい」。

成田事業所 第3部トラフィックグループの佐藤綾氏

 全9名の定型、イレギュラーアナウンスに共通していたのは、同社が考えるアナウンスの基本要素である“正しさ”“優しさ”“分かりやすさ”をしっかりと感じられたことだった。また、顧客との密接なタッチポイントであり、企業イメージにもつながる場面で、安心感を与え、信頼を得ることができるよう随所に工夫が散りばめられていた。

 なお、アナウンスを行なうスタッフによって、次のアナウンスの時間の告知に余裕を持たせていたり、出発をにおわせる表現や逆にまだ何も決まっていないと事実のみを知らせるなど表現の違いも興味深かった。また、顧客からの質問を受ける場合に自らの名前を言うか言わないか、ラウンジ情報を追加するかなど細かいプラスαの部分もそれぞれ個性がありアナウンスの奥深さも知るできる時間であった。

多くの言語が飛び交うカウンター前を完全再現

 休憩を挟み、午後1時過ぎから二次審査の「ロールプレイ」が開始。チェックインカウンターでの一場面を想定し、接客対応の様子を披露した。ここでは、サービスのプロとして、チェックインカウンターを訪れる顧客の要望に気付き、気持ちに寄り添ったサービスを提供できているかどうかが評価ポイントとなる。

 再び「このスタッフに会いたい! JALを利用したい」と思ってもらえるような気持ちよい接客とサービススキルなどを総合して全体の印象を審査する。なお、今回のシチュエーションは、チェックインカウンターにて以下のような状態でスタートする。

1組目:英語が堪能ではない乗り継ぎ利用の中国籍の顧客と中国語を交えてコミュニケーションを取りながらパスポートやチケットの確認、手荷物のチェックと席の希望を聞きながら手続きを行なう(主に中国語と英語)。

2組目:妊娠中の女性と子供の顧客が渡米をする際の手続きを行なう(主に日本語)。

3組目:エコノミークラスのカウンターに間違って並んでしまったアメリカ国籍のビジネスクラス利用顧客の対応(主に英語)。

4組目:激安ツアーでアジアへ向かう女子旅2人組の手続き業務(主に日本語)。

 どのような顧客が手続きに訪れるのかは事前に知らされておらず、通常の業務と同じ状態で対応。スムーズなオペレーションと、利用者のニーズに応えながら8分間で何組まで対応できるのかも評価の基準となる。1組目の対応中にチェックインカウンターの列が長くなるという演出もあり、かなりの心的なプレッシャーも与える内容だ。

 トップバッターは第3部プレミアムグループの近藤沙貴氏。2個の荷物の預け入れと窓側の座席の希望を丁寧な接客でこなし、続く子供連れにはPontaのステッカーもプレゼント。預け入れの荷物のバッテリをはじめとする危険物の有無を確認。妊娠中の女性にはゆっくり座れる座席とクッション代わりとなる枕の追加を提案した。

会話を楽しみながら、顧客の体の状態もチェックし即座にお勧めの座席などを提案する対応力を見せた近藤沙貴氏

 成田事業所 第2部カスタマーグループ池田有梨沙氏は、中国語を交えながらまた、段ボールの中のお菓子についての言及やスムーズに1組目の顧客の希望を汲み取り、席を案内する姿が印象的だった。順番を待ちきれずに前に出て来てしまった子供に気が付き対応し、倒れたポールに触れた顧客に対して「お怪我はございませんか?」など周囲の状況へ対応する場面もあった。また、子供との会話もかなり盛り上がっていた。

池田有梨沙氏は、終始笑顔で、顧客の会話から危険物や持ち込みのできない物の話につなげるテクニックは流石の一言だった

 3番手は成田事業所 第2部プレミアムグループ尾野彩佳氏。ジェスチャーを交えながら1組目の顧客を対応。座席についても窓際か通路側かの希望を聞く際に両手を使い分かりやすく説明していた。また、2組目の妊娠中の女性に対し「おめでとうございます」とお祝いの言葉をかけながら機内での水の提供も案内。“しろたん”のぬいぐるみを抱えた子供に気づき“しろたん”柄のマイレージカードを進めるシーンも。途中でビジネスクラス利用の顧客が異なるレーンに並んでいたことが判明して質問された際も、そのまま並んでいただければ次にこちらでチェックインできると伝えるなどスムーズに業務を行なっていた。

ラウンジの案内をはじめ、マイレージカードのご案内など8分間の中に要素が盛りだくさんだった尾野彩佳氏

 成田事業所 第1部カスタマーグループの西村美沙氏は中国語を交えて危険物持ち込みや預け荷物の中身を顧客に質問。座席もすんなりと決まり、言語に対する対応力を見せた。2組目の子供と窓際と妊娠何周目かを聞き女性にお勧めの座席をセッティング、搭乗口までの荷物の手伝いの有無を聞くなどの細かい気遣いも見られた。また、3組目のビジネスクラスの客に対しても席に関してはもちろん、ラウンジのWi-Fiについてのアナウンスがあった。

中国語を使いながらスムーズに手続きを完了。言語の違いに関係なく業務をこなした西村美沙氏

 二次審査の前半ラストは成田事業所 第2部チェックイングループの山本伶氏。どの言語がOKなのかを1組目の顧客に確認し、最初に意思疎通の手段を探っていたのが印象的だった。2組目の少し疲れ気味の子供を気遣いつつ、英語を褒められて「次は英語で話しましょう」と話しかけたり、希望の座席が取れずに変更ができたら声をかけますと伝えるなど丁寧な対応が目立った。

利用者とかなりコミュニケーションを率先して笑顔溢れる時間を作っていた山本伶氏

 15分間の休憩を挟み二次審査も後半戦に。第3部トラフィックグループ佐藤綾氏。応援も大盛り上がりで始まり、そのままの勢いで1組目は滞りなくご案内。6カ月目になる妊娠中の女性に対しても「お手伝いが必要になりましたら、お声かけ下さい」と一言を添えつつ、ペットボトルを持参していたため持ち込めないことにも言及。途中で3組目の顧客に話しかけれつつ次の対応を約束。持ち込み荷物についての説明と日本での滞在についてとWi-Fiアクセスポイントについても詳しく解説するなど深い部分まで会話を持って行く様子も見られた。

顧客との会話の中でWi-Fiの詳細を説明したりと限られた時間でも相手の利便性を考えた対応が感じられた佐藤綾氏

 7番手の成田事業所 第1部チェックイングループの平坂彩氏は、終始笑顔が輝く対応が印象的だった。1組目に対しては、果敢に話かけて日本での滞在が楽しめたかを聞くなどコミュニケーションを率先して取ろうとする姿勢を感じられた。また、窓際の席の希望を取る際はジェスチャー大会になるなど会場がほんわかした雰囲気に。妊娠中の女性に対しては「長旅ですが、できる限りお手伝いします」と安心させる言葉をかけたり、子供に対しては飛行機に乗るのが初めてと知ると「一番景色がきれいに見えるところをご案内しますね」と優しく話しかけ、飛行機ステッカーもプレゼント。3組目もパスポートを受け取り、危険物の確認と座席についてまで説明が進み充実の8分間だった。

時間を有効に使いながら、笑顔でたっぷり利用者と会話をする姿を見せてくれた平坂彩氏

 ラストから2番目の成田事業所 第1部チェックイングループ池谷早織氏も、ジェスチャーを使いながらの分かりやすい会話を心掛けていた。また、ゆっくりとした口調で座席についてやバゲッジタグに関しても説明し、相手の希望を汲み取っていた。さらに、カウンターから搭乗ゲートまでのルートも案内。2組目の妊娠中の女性に対しても「ギャレーの近くの席で気分がわるくなったと聞きましたが、トイレの近くなどを含めご希望はありますか?」と聞くなどの配慮もあった。

池谷早織氏は、かゆいところに手が届くような気配りでフライトがより快適になる案内を行なっていた

 二次審査ラストは成田事業所 第3部プレミアムグループのリー・ジェナリン・アキ・ルビオ氏。応援団も熱が入っており、手づくりのうちわやボードが会場に踊った。1組目の案内では、箱の中身をゆっくり聞いたり、一つ一つの動作を丁寧に行なっていた。また2組目は帰りのチケットの用意がないことからロサンゼルス移住を聞き出すなど、自然な形で会話から気になる点を洗い出していた。さらに3組目のビジネスクラスの顧客から2組目対応中に話しかけられるとほかのスタッフを呼ぶなどの臨機応変な対応も見られた。

もう一人のスタッフを呼び利用者の対応をお願いするなど、チームワークも感じさせる場面もあったリー・ジェナリン・アキ・ルビオ氏

 全員に共通していたのが、会話のなかから利用者の希望をスムーズに聞き出す姿勢と、作業中の時間を有意義に使ってより楽しい時間を演出している姿だった。また、さまざまな言語の利用者に対して、ジェスチャーや単語などをフルで使い少しでも深い理解を得ようと積極的に相手と関わっていく業務が新鮮だった。

うれしさで思わず涙も、入賞者3名が決定し代表選へ

 1時間程の時間をかけて入賞者が決定し表彰式がスタート。業務部PSプロシージャーグループグループ長の横田麻子氏が「本当に出場者の緊張が感じられる1日でした。この大会をきっかけにますます成田のアナウンス、お客さまへの対応が切磋琢磨されていくと思いますので、これからも頑張っていきましょう。全国大会へ代表として出場する3人は成田の進化を発揮してください」と挨拶。

業務部PSプロシージャーグループグループ長の横田麻子氏
審査委員長の業務部部長 大八木淳子氏

 続いて審査員長の業務部部長 大八木淳子氏が各入賞者を発表。第3位は成田事業所 第1部チェックイングループの平坂彩氏。「サービスに正解はないとよく言われますが、自分自身もコンテストに出場するにあたって改めてサービスとは何か、自分らしいサービスとは? を考えるよいきっかけとなりました。緊張はしましたが、普段どおりの対応ができたのはとても自信になりました。中国語での対応は、お客さまに寄り添うサービスを行なううえでの今後の自分の課題だとも感じました。また、話を伺うだけでなく、その先にお客さまが日本航空に対しどのようなサービスを希望しているのかを汲み取り近づけて行けるよう頑張っていきたいです」と語ってくれた。

 第2位は成田事業所 第3部トラフィックグループの佐藤綾氏が入賞。「素敵な先輩方や同期のなかでまさか入賞できるとはおもいませんでした。今回の受賞は仕事の励みにとてもなります。イレギュラーアナウンスの作文に苦労しましたが、ロールプレイ審査ではとてもワクワクして自分自身も楽しめましたのがよかったと思います。成田空港のWi-Fi接続についても実際の業務で聞かれることが多いため、ロールプレイで聞かれた際にきちんと説明できたのはよかったです。11月に本戦に出ますが、成田から始まったコンテストなので成田の強さを見せたい。そして国際線は成田にあり! を伝えて行きたいです」と代表選への想いも語ってくれた。

 そして優勝者は成田事業所 第2プレミアムグループの尾野彩佳氏。花束、賞状とともにティアラが進呈され、涙を流してそれを受けとる場面も。「本日は本当にありがとうございます。業務の前後や毎日の練習に付き合ってくださった先輩や仲間たちに感謝の気持ちでいっぱいです。プレッシャーのなかやりきったとも思っていたので優勝できてうれしいです。練習の中では自分の口癖にも気付け、その部分を直せたり収穫もたくさんありました。今回のコンテストでは、私は笑顔がポイントなのでそこは忘れずに意識しました。個人的にはロールプレイングで“しろたん”好きのお客さまに“しろたん”イラストのPontaのマイレージカードの話ができたのはよかったです。」とコメント。

入賞者の3名。左から2位の佐藤綾氏、優勝した尾野彩佳氏、3位の平坂彩氏

 表彰式の最後には、審査員長の業務部部長大八木淳子氏が総評。「N-1グランプリは4回目。元々は成田空港で働くスタッフが接客をよくしていこう、まずはアナウンスからということで「アナウンスコンテスト」が始まりもう10年ほど経ちます。それが全国の空港に広がり、今や「空港サービスのプロフェッショナルコンテスト」という大きな大会になっています。成田はチームワークが本当にあります。今回のコンテストのために先輩から指導され学んだことを今後後輩にも伝えていってください。そして成田の接客世界一を目指してこれからも全員で頑張っていきましょう」と締めた。

 仕事や旅で成田空港を訪れた際に必ず通るチェックインカウンターやゲート、そして常に耳にするアナウンス。安心を感じるのは日々のスタッフの努力と学びの姿勢から生まれているのだと、本コンテストで改めて感じることができた。空港利用の際にちょっと意識してスタッフとコミュニケーションをとってみれば、きっと空の旅がより一層楽しくなりそうだと期待が高まるコンテストだった。

出場者全員で記念撮影