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10周年の「アクアライン探検隊」で子供たちが海ほたるの舞台裏を学ぶ
NEXCO東日本の夏休み恒例イベント「2016サマーフェスティバルin海ほたる」
2016年8月9日 00:00
- 2016年8月4日 開催
NEXCO東日本(東日本高速道路)関東支社と東京湾横断道路は8月4日、東京湾アクアライン海ほたるPA(パーキングエリア)にて、「2016サマーフェスティバルin海ほたる」を開催した。このイベントは毎年開催され、事前公募の人気見学ツアー「アクアライン探検隊」や各県のPRイベント、東京湾の夕日をバックにした音楽ライブ、花火大会などが催され、夏休み中のドライブに色を添えるものとなっている。
2016年で10回目の開催となる「アクアライン探検隊」は、アクアラインのトンネル待避施設などを見学できるもので、毎年多数の応募者がある人気のツアー。今回も6月18日~7月3日の期間、事前に募集を行ない、定員350名に対し、4997名の応募があった。応募者多数のため抽選となり、約14倍の難関を突破した350名が、25名ずつ14組に分かれ、朝8時45分から約20分おきにツアーをスタート。約2時間かけて、普段見られない高速道路の裏側などを巡った。
集合場所は、海ほたる1階の木更津側にある技術資料館「うみめがね」。うみめがねは、東京湾アクアラインの建築技術やシールドマシン、風の塔などの構造が分かる模型などが展示・解説され、誰でも見学できる施設。参加者はここで「指令書」を受け取る。この指令書は、ツアー中、アクアラインのさまざまな解説のなかに答えが隠されているクイズ形式のもの。謎解きを進めることで、より「探検」の雰囲気を盛り上げる演出となっている。
技術史料館「うみめがね」
開館時間:9時~18時
入館料:無料
休館日:なし
うみめがねを出発して最初に向かったのは、もう1本のトンネルだ。海ほたるPAから川崎へ通じる9.5kmの海底トンネル「アクアトンネル」は、木更津方面から川崎方面への上り線、川崎方面から木更津方面への下り線の2つのトンネルがあり、平日の交通量は約4万台、夏休みや大型連休などの繁忙期には7万台になるという。将来、さらに交通量が増加した際に使うため、予備のトンネルを途中まで掘ってあるという。
照明もなく、昼でも足元が見えない暗いトンネルを数百m進み、床版下管理用通路(避難通路)の入口まで下りていく。避難通路は火災発生時に煙の侵入を防ぐために気圧調整されており、何枚もの防護壁で仕切られている。参加者は奥から吹いてくる風を感じなから、防護壁の扉を抜けて進んでいった。
約40cm上を本線車道が通り、頻繁にボコンボコンと車のタイヤの音が聞こえる避難通路。コンクリートで囲まれ、外の暑さを感じないひんやりとした通路を進むと、アクアトンネル内の非常口から脱出するための滑り台、非常用電話、消火設備などがまとまっている待避所があり、アクアラインの概要や緊急時についての解説が始まった。
アクアラインはトンネル部が9.5km、橋梁部が4.4km。川崎側をトンネルにしたのかは、背が高い大きな船が通れるような大きな橋は、近くにある羽田空港を離着陸する航空機の高さ制限があり、困難とのこと。また、海底も木更津側に比べて深いという。逆に木更津側までずっとトンネルということも考えられたが、トンネルの場合は避難経路をいくつか作らなければならず、莫大な費用がかかる。あとになってみれば、トンネルあり、橋がありと、ドライブする環境にはよかったかもしれないとのことだった。
待避所にある滑り台は、高速道路の非常口から下りてこられる避難設備。300mごとに上下線それぞれ33カ所、合計66カ所配置されている。待避所には避難経路案内図があり、自分がどの位置にいるか把握できるが、自分で出口に向かわずとも、待っていれば消防車や救急車が迎えに来るそうだ。消防車や救急車は、この狭くて低い通路を通れる、アクアライン専用の車両が運用されている。また、上で火災が発生しても気圧を高くしているため煙が下りてこないが、非常時には3倍くらいの強さの風になり、さらに気圧が上がるという。
待避所に設置された非常用電話についても解説があった。道路で故障や事故などの際に使い、通常のトンネルの場合は200mごと、アクアラインは150mごとに設置してある。受話器を上げると、すぐに道路管制センターにつながる。事故や故障など現在の状況を伝えれば、管制センターで救急車や消防車、レッカー車などを手配する。高速道路の路肩やSA(サービスエリア)、PAで見かけても使ったことがある人は少ないとのことで、扉を開き、電話の使い方も説明した。
最後に消火設備の解説があった。通路の天井には、青と銀の管が通っている。青い管には消防で使う水が流れ、銀色の管は泡の消化剤が入っているという。消防車が来て、ここからホースをつなぎ、消火活動を行なう。また、滑り台とは別にスロープが設置されていた。このスロープは、ストレッチャーを排出するためのもので、滑り台よりも幅が広く、逆に滑りにくくなっている。
このツアーの一番の山場となる避難通路、待避所での説明を終え、探検隊一行は地上への移動となった。来た道を途中まで戻り、階段を使って地上まで出る。180段の長い階段を上り外に出ると、風の塔を望む3階川崎側デッキに到着した。
デッキを下り、海ほたるのシンボルとも言える巨大なモニュメントまで移動。このモニュメントは、建設記念碑のカッターフェイス。海底トンネルを掘り進んだシールドマシンのカッターフェイスを復元したもので、実際にトンネルを掘ったときの刃(ビット)が使われている。実際のビットのため、摩耗が見てとれるのもポイントだ。ビットの重量は1個10kg。これが1000個使われているので、ビットだけで10トンの重さとなる。モニュメントの直径は14.14mで、実際の大きさと同じ。足元に描かれた円も同じ14.14m。実際のトンネル直径は13.9mとなっている。
続いて、「働く車」と題し、道路上をパトロールするパトロールカー、高いところを点検や維持作業をする高所作業車などを、アクアライン交通管理隊が説明。パトロールカーは、アクアラインでの事故処理、落下物の回収、故障車の援助などしている。参加者はパトロールカーの運転席に座り、マイクを使ったり、サイレンを鳴らしたりした。高所作業車では荷台に乗って高いところまで上がる体験をした。
避難通路でも説明があったとおり、アクアライン専用の背の低い消防車が車庫に展示されていた。実際、本線で火災が発生したときは、川崎や木更津から出動した消防車がそのまま向かうが、地下に救助に行く場合は海ほたるでこの専用車両に乗り換えて地下に入っていくという。
最後に、海上保安庁 第三管区海上保安本部 千葉海上保安部の大型巡視艇「たかたき」に乗船し、海上保安庁の仕事や消防活動、海や船についての説明があった。「たかたき」の名称は、千葉県夷隅郡の養老渓谷を流れる養老川上流にある高滝から、「滝のように消防ノズルから放水」をイメージして名付けられたという。消防船として火災船などの消火活動のほか、海上保安庁として海上の取り締まり、海の保全活動などの業務をする。搭載された放水銃は4基。小さい舟や漁船に乗り移る場合は、積載されたゴムボートを使う。
たかたきの船室、船橋などで説明を受けて下船し、今回のアクアライン探検隊のツアーは終了した。参加者には、名前入りの「アクア博士 認定証」が授与された。また、第10回記念オリジナルグッズがプレゼントされ、解散となった。
「2016サマーフェスティバルin海ほたる」のオープニングを彩るセレモニーでは、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、新潟県の8つの県と、NEXCO東日本、海上保安庁、自衛隊千葉地方協力本部、海ほたるPAのマスコットキャラクターが登場。4階木更津側デッキにある、幸せの鐘のスペースに15体のキャラクターが集合した。この日はキャラクターたちが海ほたるのを1日中散歩し、来場者を楽しませた。
みやげ物屋や軽食店が並ぶショッピングフロア4階には、8県の観光PRや特産品の販売を行なうブースが設置され、新鮮な果実の試食なども行なっていた。イベント実地開始は11時からだったが、午後の早い時間帯には特産品や試食品が品切れになるブースもあった。
各県の販売ブースには、その県が出題するクイズに答える「クイズラリー」の問題が設置されていた。無料で配布されているクイズラリーの解答用紙に答えを書き、全問正解すると、各県やNEXCO東日本が提供する特産品やオリジナルグッズがもらえるというものだ。
サマーフェスティバルin海ほたるは1日だけの特別なイベントだったが、それとは別に、7月29日に公開された映画「シン・ゴジラ」とコラボレーションしたキャンペーンを10月31日まで開催。ここ海ほたるで「シン・ゴジラ」の撮影が行なわれたことから、1/60サイズのシン・ゴジラ像の展示、原寸大の足跡、映画撮影時のメイキングフォトの展示などが実施されている。