大城和歌子の沖縄グルメ&スポット

沖縄の鉄軌道の歴史を凝縮「ゆいレール展示館」

 13年前の2003年8月10日、県民待望の鉄軌道が運行開始した。沖縄都市モノレール、通称「ゆいレール」だ。それまで沖縄は47都道府県中、唯一鉄軌道のない県だった。構想から40年を経て実現したモノレールの開業。その歩みを知ることができるのが、「ゆいレール展示館」だ。

 場所は、那覇空港近くの沖縄都市モノレール本社敷地内にある。ゆいレールのホームページには空港から徒歩10分とあるが、実際に歩いてみるとそんなにかからない。5分強といったところだ。構内には展示館の案内板が出ているので迷わず行ける。

那覇空港から歩いて10分弱で沖縄都市モノレールの本社に到着
敷地入り口には展示館の案内板
案内板にしたがって歩いていくと、展示館に到着

 展示館に入る。

 ……。

 誰もいない。

 入場自由。実にフランクだ(笑)。

 入口のカウンターではグッズ販売もしている。ほしいときには電話で職員を呼び出す方式だ。

展示館入り口ではグッズも販売。しかしスタッフはいない(笑)

 展示ブースに入ると、ゆいレール関連の映像上映。また、各駅の紹介パネルが掲げられている。ゆいレールの発車メロディは各駅によって違うのだが、その曲名が書かれていたり、駅周辺の見どころなども紹介されている。

ゆいレール関係の映像が見られるシアター。各駅の紹介パネルには見所や、発車メロディの曲名が書かれている

 ゆいレール誕生までの解説もとても興味深い。最初に構想が生まれたのは1965年、ゆいレール開業の40年も前だったのだ。当時の新聞記事なども展示されている。感慨深い。

 現在ゆいレールは、那覇空港駅~首里駅の15駅、約13kmを運行しているが、2019年春には浦添市の浦西まで延長することになった。その説明などもパネル紹介されている。

ゆいレール開業までの歩みが分かる資料が並ぶ。多くの人の思いが集結しているのが感じられる

 2階に上がると、まず目に入るのが錆び付いた2本のレール。

 沖縄は唯一鉄軌道のない県だったと前述したが、実は戦前までは電車や路面電車が走っていた。沖縄戦により全滅してしまった沖縄の鉄軌道。そこで使われていた線路の一部が、この錆び付いたレールなのだ。

錆び付いた2本のレールが、沖縄の鉄道の歴史を今に伝えている

 沖縄の交通機関の年表や、電車が走っていたころの地図、当時の写真など、とても興味深い展示物が並ぶ。

 なんと40年前に沖縄で自動運転システムが採用されていた!?

 1975年に開催された沖縄海洋博。この会場内を運行していたのだそうだ。ゆりかもめやポートライナーの元になっているらしい。また沖縄の本土復帰から10年後の1982年には、全国の主要駅で記念切符が発行されていたらしい。全然知らなかった……。

昔の写真や地図、沖縄に関係した鉄道の資料。新たに知ることも多く驚きと感心の連続

 ゆいレールや沖縄関連に限らず、鉄道関係の展示品がたくさんある。貴重なもの、懐かしいもの…。鉄道ファンはかなり楽しめると思う。搭乗する飛行機まで時間があるときに立ち寄ってみるのも。一度ぜひ!

ゆいレール展示館
所在地:
沖縄県那覇市字安次嶺377-2
TEL:
098-859-2630(沖縄都市モノレール株式会社総務課)
営業時間:
9時30分~16時30分(入館は16時まで)
休館日:
土・日曜、祝祭日、年末年始

大城和歌子

横浜生まれのウチナーンチュ二世。東京での出版社勤務を経て1998年11月に沖縄移住、フリーのライターとなり「和歌之介」のペンネームで活動。主に音楽系記事を得意とし、沖縄インディーズの隆盛を間近で体感した。自らも音楽活動をゆる~く展開。現在、那覇市内でレコードバー「リンドウ」を営んでいる。