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WILLER TRAINS、京都丹後鉄道のリニューアル特急車両「丹後の海」出発式実施

11月16日までの運行スケジュールも発表

2015年11月13日 運行開始

 WILLER TRAINS(ウィラートレインズ)は11月13日、京都府宮津市にある宮津駅で、京都丹後鉄道のリニューアル特急車両「丹後の海」の出発式を開催した。式典には、WILLER TRAINS代表取締役の村瀬氏、車両デザインをしたデザイナーの水戸岡氏、宮津市長の井上氏らが参列し、新車両の門出を祝った。

 「丹後の海」は、KTR8000形気動車「タンゴ・ディスカバリー」をリニューアルした車両で、JR九州(九州旅客鉄道)の「ななつ星in九州」などのデザインを手がけたドーンデザイン研究所の水戸岡鋭治氏が内外装のデザインを担当。外観は藍色メタリック仕上げ、内装は木をふんだんに使った和テイストな仕上がりとなっている。2編成4両をリニューアル予定で、先に完成した1編成2両が同日13日から運行を開始するにあたり、出発式が執り行なわれた。

 出発式では、WILLER TRAINS代表取締役の村瀬茂高氏が挨拶し、「いよいよ、念願の『丹後の海』が今日から運行を開始します。『丹後の海』に乗って、京都からこの北近畿へ来ていただき、たくさんの方々が、美しい自然、おいしい食、この丹後の素晴らしさを、存分に楽しんでいただきたい。『丹後の海』は、日が当たると、丹後のきれいな海を象徴するような非常にきれいな藍色メタリックの塗装になっており、北近畿全体のシンボルとして、地域活性化を促進していきたい。今後、たくさんの方々が、この車両をご利用いただけることを願っています」と語った。

 デザインを手がけた水戸岡鋭治氏は、「おもしろい、楽しい仕事をさせていただいた。この車両は、観光客はもちろん、地元の人へのプレゼントだと思っています。地元の人が、来て、乗って、見て、触って、そして中で話をして、飲んで食べて……。というように、楽しい時間と空間を作れるように、地元の子供が乗って『鉄道って、こんなに楽しいんだ』と思えるように提供したつもりです。この鉄道とバスや船が繋がり、この地域独特の旅を提供して欲しいと思う」と述べた。

 また、「今回は、ただ美しい車両を作るというのが目的ではなく、上下分離、公設民営のプロジェクトとしての第一歩。このプロジェクトが失敗すると、日本中の公設民営にも影響がある。ぜひ、見事な運営で、京都丹後鉄道が日本一になって欲しい」と現実的な話を切り出すと、和やかに話を聞いていたWILLER TRAINS代表取締役の村瀬茂高氏の表情が改めて引き締まった。

 最後に、宮津市長の井上正嗣氏が挨拶し、「丹後の海はすばらしい海。その思いを乗せた列車が、丹後や京都を走る。これは地域にとって、非常にうれしいこと。京都北部、丹後鉄道の温泉の市町では、“海の京都”の観光圏を日本の顔になるように整備を進めている。現在、『海の京都博』を開催(11月15日まで)しているが、その締めのタイミングで、“海の京都”を象徴するような列車『丹後の海』が地域を走るのは、今後の“海の京都”の観光圏を大きく発展させていく大きな弾みになる。今後の地域の活性化に大きく繋がっていくと確信している。京都丹後鉄道は地域沿線にとって、なくてはならない公共交通。これを機会に、一層協力して、守り、育てていかなければならないと、決意を新たにした」と述べた。

「丹後の海」出発式は、京都丹後鉄道の宮津駅2・3番線ホームで執り行なわれた
式典開始を厳かに待つ参列者たち
式典が始まり、参列者に挨拶をするWILLER TRAINS株式会社 代表取締役の村瀬茂高氏
デザインを手がけた水戸岡氏の挨拶に、表情が引き締まる代表取締役の村瀬氏
テープカットを待つ参列者。左から、WILLER TRAINS株式会社 常務取締役の小高直弘氏、北近畿タンゴ鉄道株式会社 代表取締役の松村憲次氏、ドーンデザイン研究所 代表取締役の水戸岡鋭治氏
テープカットを待つ参列者。左から、宮津市長の井上正嗣氏、WILLER TRAINS株式会社 代表取締役の村瀬茂高氏、WILLER TRAINS 宮津駅長の土出尚登氏
「丹後の海」について、水戸岡氏と談笑する宮津市長の井上氏

 来賓挨拶が終了すると、会場となる宮津駅3番線ホームに「丹後の海」が入線。ただし、宮津駅始発ではなく、福知山駅を8時53分発、9時59分網野駅着の特急「たんごリレー」1号として方向転換を含め宮津駅に停車するもの。停車した「丹後の海」から、運転士の小島芳明氏、車掌の森明仁氏が下車し、アテンダントから花束を贈呈された。

 続いて、デザイナーの水戸岡鋭治氏、宮津市長の井上正嗣氏、WILLER TRAINS代表取締役の村瀬茂高氏、同常務取締役の小高直弘氏、同宮津駅長の土出尚登氏が参列し、関係者によるテープカットが行なわれた。拍手が落ち着くと、一日子供駅長の今井セイゴ君が宮津駅長の土出尚登氏と共に出発合図をし、宮津幼稚園、宮津天橋立観光旅館協同組合おかみの会に見送られて「丹後の海」が出発した。

 「丹後の海」は、11月13日~16日の期間、1日8便運行される(11月13日のみ7便)。17日~20日は車両点検のため運休し、21日以降は現在調整中とのこと。出発式に先だって行なわれた発表会と内覧会の模様は、追ってお伝えする。

「丹後の海」運行ダイヤ

日程:11月13日(金)~16日(月)
編成:1号車(指定席)、2号車(自由席)

特急たんごリレー2号:宮津駅(6時50分発)~福知山駅(7時20分着)
特急たんごリレー1号:福知山駅(8時53分発)~網野駅(9時59分着)
特急たんごリレー4号:網野駅(11時14分発)~福知山駅(12時27分着)
特急たんごリレー3号:福知山駅(12時55分発)~天橋立駅(13時30分着)
快速 丹後路:天橋立駅(13時33分発)~豊岡駅(14時36分着)
特急たんごリレー6号:豊岡駅(15時37分発)~福知山駅(17時14分着)
特急たんごリレー5号:福知山駅(19時10分発)~天橋立駅(19時50分着)
普通:天橋立駅(20時44分発)~西舞鶴駅(21時23分着)

3番線ホームに「丹後の海」が入線してくる。車内は、福知山駅から乗車した多くの乗客ですでに賑わっていた
停車した「丹後の海」から、運転士と車掌が下車する
アテンダントの武藤氏、奥田氏から、花束を贈呈される運転士の小島芳明氏、車掌の森明仁氏
宮津駅からの出発が近づき、テープカットが執り行なわれた
出発時刻を確認する宮津駅長の土出尚登氏と、一日子供駅長の今井セイゴ君
定刻通り、出発合図を出す。一日子供駅長の今井セイゴ君は、多くの報道陣にカメラを向けられて、やや緊張気味
宮津天橋立観光旅館協同組合おかみの会のみなさん
元気に旗を振って「丹後の海」を見送る宮津幼稚園の園児たち
合図を受けて「丹後の海」が出発。宮福線から宮豊線へ乗り入れるため、スイッチバックで発進する

(政木 桂)