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ANA、訓練施設「ANA Blue Base」見学ツアー受付開始。一足早く体験してきた!

2021年12月10日 開始

ANAが訓練施設「ANA Blue Base」の見学ツアーを開始する

 ANAは、羽田空港そばの総合訓練施設「ANA Blue Base」(東京都大田区羽田旭町10-8)において、有償の見学ツアーを12月10日に開始する。本稿では、それに先駆けて行なわれた報道公開の様子をお伝えしていく。

 ABB(ANA Blue Base)は、羽田空港周辺や関東近郊などに点在していた訓練・教育・研修施設を1か所に統合したもので、施設自体は2019年3月に竣工、同4月15日から正式運用を行なっている。当初、一般見学開放は2020年6月を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で延期しており、1年半を経て待望の公開にこぎ着けた(関連記事「ANA、総合訓練施設『ANA Blue Base』公開。一般見学開放は2020年6月を予定」)。

1回90分、最大10名の見学ツアー

 ツアーは1日3回(各90分)で、専任のナビゲーターが同行して順路を解説しつつ案内する。現在は感染症対策もあって、1回のツアーは最大10名までに制限しているため、説明を聞き返したり、質問してみたりといったこともしやすい雰囲気になっているようだ。

 ツアーのコースは、空港のカウンターや出発ロビー、搭乗ゲートなどを模したエントランスに始まり、施設の概要を説明するシアター、感染予防対策について説明するエリアなどを経て、メインの訓練エリアに続いていく。ABBは同社のパイロット、CA(客室乗務員)、グランドスタッフ、整備士、グランドハンドリングスタッフ、貨物スタッフらが実際に訓練を行なう場であるため、ツアー参加者はその様子を見学専用エリア(施設3階の通路)から見下ろす形になる。

 最後にフォトスポットでの撮影タイムが設けられており、実機のコクピットやチェックインカウンターなどで思う存分記念撮影が行なえる。このあと、ツアーは360度シアターでのエンディング映像を上映して終了する。

 以下、その流れを写真とともに紹介する。

総合訓練施設「ANA Blue Base」。最寄り駅は京浜急行空港線 穴守稲荷駅
ANA Blue Base見学ツアー向けの入口

エントランスからオリエンテーションまで

 見学ツアー向けの入口から入るとすぐにカウンターがあり、ここで受付を行なってチケット、ロッカーの鍵などを受け取る。施設内は基本的に荷物は持ち込めないので、ロッカーに預けて行動する。ツアーの最後にフォトスポットがあるので、スマートフォンやカメラは携行しても問題ない。

 ツアーが始まると出発ゲート前さながらの搭乗アナウンスがあり、チケットのQRコードを読み込ませてゲートを進む。機内に乗り込むときのようなテンションの上がる演出だ。

 エレベーターで3階まであがると、「Tour Base」と呼ばれるシアターで概要や注意点などのオリエンテーションがあり、続いてANAの感染症対策の取り組みを紹介するブース「ANA Care Promise Station」を見学する。

出発ゲート前をイメージしたエントランス
入口入ってすぐのカウンターで受付
チケットとロッカーの鍵を受け取る
ロッカーは番号とともに海外空港の3レターが割り当ててある
ツアーが始まるまでに滞在するロビー。同社の歴史を振り返る映像が上映されていた
グッズを展示する「ANA Blue Base SHOP」。非接触化のためABBで購入することはできず、オンラインストアを案内している
搭乗開始さながらのアナウンスでツアーがスタート
チケットを読み込ませてゲートを通過する
感染症対策の取り組みを紹介するブース「ANA Care Promise Station」

訓練エリア

 訓練エリアは大きく6つに分かれており、チェックインカウンターやセルフチェックイン端末、自動手荷物預け機など、空港と同じ設備を備えるグランドスタッフ向け設備「SPECIA」。主にパイロットやCAが緊急着水訓練を行なうプール。飛行機の揺れを再現できるモーションモックアップを含む、4機の保安訓練用設備「Cabin Emergency Evacuation Trainer(CEET)」。

 さらに、貨物スタッフ・グランドハンドリングスタッフ向けの訓練設備(2022年4月以降稼働)、整備士が主脚やエンジン、シート、翼などの実物を使って整備作業を学ぶ「Maintenance Training Mock-up」、パイロットが実機同様のコクピットで訓練を行なうためのフルフライトシミュレータ、と順に見学していく。

 訓練エリアの最後には、コクピットと管制塔のやりとりなどを映像と音で体験できるシミュレーション映像を上映するブースも設けられていた。

空港と同じチェックインカウンターなどの設備が備え付けてある
見学用通路の反対側には、そのエリアの職種を説明するブースがある。実際に使っている制服や道具なども紹介している
取材中にちょうど緊急着水訓練を行なっていた
揺れる機内を再現するモーションモックアップで緊急脱出訓練も行なえる
手前に見えるのはさまざまな形状の貨物を再現したもの。貨物スタッフ・グランドハンドリングスタッフ向けの訓練は2022年に開始予定
エンジンやメインギアなどの実機を使って作業手順を学ぶエリア
奥にはシートや翼も見える
整備士の解説ブースでは数字にまつわるトリビアが
エアバス A320型機、ボンバルディア DHC-8-Q400型機のフライトシミュレータ
施設内にはこのほかの機材向けのシミュレータもあり、全22台が稼働中とのこと
悪天候時の様子を再現したシミュレーション映像を通して、パイロットと地上のやりとりを体験できるブース
見学ツアーは長い一本道なので迷わない作り

フォトスポット

 ツアーの最後に訪れる「Experience ANA」では、エアバス A320型機から下ろした実機のコクピット、空港とまったく同じチェックインカウンター、実際に座れるビジネスクラスシート、触れる飛行機のタイヤ、PBB(旅客搭乗橋)の操作盤など、実際に触れることのできるフォトスポットが用意されている。ここでツアーの思い出を写真に残そう。

フォトスポット「Experience ANA」
チェックインカウンター
実際に触れる飛行機のタイヤ
トーイングトラクターの顔出しパネル
搭乗橋の操作盤も
実際にレバーやボタンを操作できる。画面も一部反応する
座れるビジネスクラスシート
最新式と同じというギャレー
エアバス A320型機から下ろした実機のコクピット
JA8381という登録記号を確認できる
各フォトスポットにはタッチパネルの解説スクリーンが用意してあった

安心して乗ってもらうには「どんな訓練をしているか見てもらうのが一番」

 前述のとおり、ABBは2019年4月から訓練施設として稼働しているが、見学ツアーは2017年に発案、2018年に企画・作り込みを始めている。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて2020年6月のオープンは見送っていたが、感染状況が落ち着いたことから、感染予防対策を徹底しつつ、12月10日のツアー開始を決定したという。今のところツアーを1日3回、1回最大10名としたのも、密を避けるための設計だ。

 こうした見学ツアーを企画した背景について、ANAホールディングス 広報・コーポレートブランド推進部の日高かおり氏は、普段利用している飛行機をより安心して乗ってもらうためには、「私たちがどんな訓練を日々行なっていて、どれほど真剣に取り組んでいるかを見ていただくのが一番」と説明する。一方で、訓練に取り組む社員たちがツアー参加者に「見られている意識」を持つことで、より緊張感を高める狙いもあるという。

ANAホールディングス株式会社 広報・コーポレートブランド推進部 コーポレートブランドチーム 日高かおり氏(左)、全日本空輸株式会社 ANA Blue Base業務推進部 業務推進チーム 岡田友樹氏(右)

ANA Blue Base見学ツアー

開催日: 月・火・木・金曜
休館日: 水曜、土日祝、年末年始
開催時間: 10時~11時30分、13時~14時30分、15時30分~17時(各回90分)
催行人数: 各回1~10名
料金: 大人1000円、中高生800円、小学生500円
予約: インターネット予約のみ