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西武園ゆうえんち、開業日発表会見。「特徴がない・古いイメージを逆手にとった」リニューアル

2021年5月19日 開業

リニューアル後の開業日を発表。オープンは5月19日

 西武鉄道は4月13日、埼玉県所沢市でリニューアル工事を進めていたレジャー施設「西武園ゆうえんち」のグランドオープンを5月19日に決定したことを発表した。

 記者会見には西武園ゆうえんち 代表取締役社長である藤井拓巳氏、協業する株式会社刀のエグゼクティブ・ディレクターである近藤正之氏、西武園ゆうえんち マーケティング課長である高橋亜利氏が出席し、リニューアル内容などを説明した。

 グランドオープン日の発表にあたって藤井氏は「懐かしいけど新しい、新しいのになぜか懐かしい、西武園ゆうえんちが多くの人の心をエモーショナルに揺さぶり、温かい幸福感を感じていただける場所になることを願っています」と話し、「ご来園いただく際には、ぜひとも西武鉄道でいらしてください」と付け加えた。

株式会社西武園ゆうえんち 代表取締役社長 藤井拓巳氏

 2020年に70周年を迎えた西武園ゆうえんちの入場者数は近年減少傾向にあり、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)の再建に貢献した森岡氏が設立したマーケティング集団「刀」と協業してリニューアル工事を進めていた。2020年1月にリニューアル会見を開いた際には、昭和レトロでも新しい体験ができる、心温まるテーマパークにする構想を刀 代表取締役CEOの森岡氏が語っていた。

 今回の発表においても西武園ゆうえんちとしての特徴を前面に打ち出す仕掛けとして、近藤氏は昭和の熱気に包まれた新設施設が重要な役割を担っていることを紹介した。

「西武園ゆうえんちは“顔”と呼べる特徴がなく、利用客の選択肢に入ってこない。選ばれるためには特徴的な仕掛けを作る必要がありました」と話し、古いと言われているイメージと資産を活かし、上手に逆手にとれるような方策を検討した答えであるとした。いろいろなマーケティング活動を行なうなかで聞かれた声を検証すると、昭和の時代にあったお節介なくらいの人と人とのつながりや、人情味のある温かさに飢えているのではないかと仮説を立てるにいたり、10代や20代の人たちが新しく感じる昭和レトロな雰囲気をいかにして最高のエンタテイメントに昇華できるかに注力したと説明した。

株式会社刀 エグゼクティブ・ディレクター 近藤正之氏

 続いて、リニューアル工事の責任者としてブランド設計を担当した高橋氏が施設の概要を説明した。

 今回のリニューアルにあたり、直結する西武鉄道山口線(レオライナー)の駅は「西武園ゆうえんち」に改名。また、従来は3か所あった入口を1か所に集約している。これは、後述する体験を最大限にする施策であると説明した。

 エントランスを抜けて最初に利用客を迎えるのは「夕日の丘商店街」。ここは、昭和時代(1960年代)を緻密に再現した商店街で、特徴はいたるところでライブパフォーマンスが繰り広げられることだ。泥棒とお巡りさんが捕り物劇を繰り広げたり、なんの変哲もない八百屋や魚屋などの主人がとんでもないパフォーマンスを披露したりする予定という。

 また、この商店街で利用できる飲食店などは独自の通貨である「西武園通貨」を使って買い物を体験するのだが、今では見られない貨幣価値に新しい体験が生まれるとしている。西武園通貨は「百園」と「拾園」の2種類で、拾園=120円換算となる。このほか、懐かしさあふれるポン菓子の実演や、口上に思わず吹き出してしまうバナナの叩き売りなど、商店街全体が一大アトラクションとして機能する。

株式会社西武園ゆうえんち マーケティング課長 高橋亜利氏
発表したキービジュアル。昭和のノスタルジックであるが心温まるエモーショナルな体験ができることをコンセプトにしている(画像提供:西武園ゆうえんち)
リニューアル後の園内のマップ(画像提供:西武園ゆうえんち)
園内で使われる西武園通貨(画像提供:西武園ゆうえんち)©TEZUKA PRODUCTIONS
喫茶店など飲食店では、昔懐かしいクロケット、スパゲッティー・ナポレターナ、ライスオムレツなどが楽しめる(画像提供:西武園ゆうえんち)
西武園通貨を使った体験もアトラクションであるとアピール

 夕日の丘商店街を抜けた先には、大観覧車や回転空中ブランコ、バイキング、メリーゴーラウンドなどが並ぶアトラクションエリアになる。これらの施設は以前からあるものだが、商店街で熱狂的で心温まる体験をしたあとの状態で最新の音響効果をプラスすることで、懐かしいけど新しい体験ができると高橋氏は説明している。入口を分散させずに1か所にしたのはこのためである。

従来のアトラクションもまた違った感覚で楽しめることを説明

 アトラクションエリアに隣接するのは新設された「レッツゴー!レオランド」だ。主にファミリー層をターゲットにしたエリアで、西武グループと懇意にしている手塚プロダクションの協力を得て、鉄腕アトムやジャングル大帝レオなどが登場するアトラクションを用意している。アトラクションは「レオとライヤの夕日列車」「跳べ!ジャングルの勇者レオ」「レオとライヤのジャングルダンスパーティー」「アトムの月面旅行」の4つで、ほか「巨大すごろく」「トリックアート」が利用客を楽しませる。ここでしか購入できない限定グッズを販売する「レッツゴー!バザール」も併設する。

手塚治虫の人気キャラクターで構成される「レッツゴー!レオランド」©TEZUKA PRODUCTIONS

 最後に紹介したのは今回初めて発表されたアトラクションである「ゴジラ・ザ・ライド大怪獣頂上決戦」だ。

 夕日の丘商店街を見下ろす小高い丘に設置された映画館のなかで楽しめるこのアトラクションは、「ALWAYS 三丁目の夕日」「永遠の0」「STAND BY ME ドラえもん」など数多くの映像作品を手掛けてきた映画監督 山崎貴氏と、USJにおいてマルチクリエイターとして活躍してきた刀のシニア・クリエイティブ・ディレクターである津野庄一郎氏がタッグを組んだ注目のアトラクションだ。

 ストーリーは、東京に現われたキングギドラが埼玉方面に進出し、さらには謎の巨大生物も接近しているなか、ゲストは特殊災害対策部隊「特災対」の特殊装甲車に乗りこみ、激闘のまっただなかに放り込まれるというものだ。体中が揺さぶられ、これまでの遊園地のものとは思えない迫力あるスリリングな体験ができることを紹介した。

「ゴジラ・ザ・ライド大怪獣頂上決戦」は10分におよぶ映像アトラクション(画像提供:西武園ゆうえんち)TM&©TOHO CO., LTD
登場するゴジラはアトラクション用に新たに山崎監督がデザインしたもの TM&©TOHO CO., LTD

西武園ゆうえんち

所在地: 埼玉県所沢市山口2964
営業時間:
10時~17時(平日)
10時~19時(休日)
料金: 1日レヂャー切符(入園+アトラクションフリー)
大人(中学生以上)4400円
子供(3才~小学生)3300円

 新型コロナウイルス感染防止対策としては、「遊園地・テーマパークにおける新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」に基づき、各施設の清掃や消毒、換気などの感染対策を徹底して行ない、来園人数を予測して密にならないよう、ショーの時間や回数を調整するとしている。従事するスタッフに関しては、開業前に全員がPCR検査をして陰性であることを確認の上、開業後も定期的にPCR検査を実施する予定だ。