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中央道小仏トンネルの渋滞解消に向けた「新小仏トンネル」現場公開。上り線は八王子JCTまで3車線に

2020年11月5日 公開

中央道小仏トンネルの渋滞解消を目指す渋滞対策現場。下り線の小仏トンネル出口付近に工事車両用の出入口が設けられる

 NEXCO中日本(中日本高速道路)八王子支社は11月5日、中央自動車道(E20)に建設する「新小仏トンネル(仮称)」の工事現場を報道公開した。

 中央道の相模湖IC(インターチェンジ)~八王子JCT(ジャンクション)間では、休日を中心に上り線側が小仏トンネル、下り線が相模湖付近を先頭に渋滞が慢性化。2018年には年間で194日(うち休日97日)と、2日に1回を上回るペースで渋滞(※時速40km以下で低速走行あるいは停止発進を繰り返す車列が1km以上かつ15分以上継続した状態)が発生しており、特に同年10月21日(日)から22日(月)にかけては、39.4kmもの長い車列ができあがった。

新底沢大橋、新小仏トンネルの新設で八王子JCTまで3車線化

 こうした渋滞を解消するために下り線には相模湖BS(バス停)付近~相模湖IC間に登坂車線を新設、上り線では小仏トンネル前後の3車線化を行なう渋滞対策事業を進めている。

 今回公開したのは上り線側で、新設区間は約5km。既存の登坂車線を延長し、新底沢大橋(仮称、457m)、新小仏トンネル(2304m)などを新たに設けることにより、八王子JCTまでを3車線化する。この新設部分は1車線運用となるものの、将来既存の小仏トンネルが改修を行なう場合などを考慮し、幅員は2車線化が可能な8mを確保する。

新底沢大橋(仮称、数値は設計値)

橋長: 456500mm
橋台: 2基
橋脚: 4基
最大支間長: 115000mm
最大橋脚高: 49200mm

新小仏トンネル(仮称)

工法: NATM(新オーストリアトンネル工法)
道路規格: 第1種第3級B
設計速度: 80km/h
車線数: 1車線
有効幅員: 8m
計画交通量: 5万8600台/日

 通常、こうした取材は施設ができあがってからになるのが普通だが、今回はその前段階となる工事用道路の建設現場およびトンネル掘削開始予定地点が公開された。

 この工事用道路はトンネル掘削現場周辺へのアクセス道路の幅員が狭く工事用車両の通行に適さないことから、中央道本線から現場に出入りすることができるようにするためのもの。本線から分岐した車両は転回場所で向きを変えたあと、小仏トンネル上で既設本線を横切り、作業用の横坑に向かうというルートを利用することになる。一見ムダに見える構造だが、トンネル出口近くに減速~転回を行なうスペースがないための苦肉の策といえる。

 一方のトンネル掘削予定地点はまだ藪の中で、トンネルの「ト」の字もない状況。今後、2020年末に向けてセメントプラントなどの周辺施設整備や工事用進入路の構築を行ない、2021年春ごろからトンネル工事が始まる予定になっているという。そのあとはまず工事横坑を掘削したあと、西側本坑(296m)、東側本坑(2008m)の掘削となる。

作業車両用の出入口は下り線の小仏トンネル出口の先に設けられる
盛り土を崩し仮設のスロープを建設中
奥に見える部分が転回場
山中の限られた場所での作業となるため作業員用通路もなかなかにハードな作り
下から見た仮設スロープ
奥から侵入してきた車両は広場部分で転回、手前に見えるスロープを下ってトンネルに向かう
スロープのすぐ横には下り本線がある
土留めをする矢板を埋め込むためのマシン
スロープ部の基礎にはH形鋼が使われている。手前のドリルはH形鋼を埋め込むための穴をあけるためのもの
車両は転回所で向きを変えて既設道路を上がってくる
本線出入口横を通って
トンネル脇から奥に見えるガードレール部分で本線を横断
上り線の脇を下っていく
藪の中へ
上り線のシェルター
そのシェルター脇から作業横坑を開け西側本坑、東側本坑と掘削する

 中日本高速道路 八王子支社 八王子工事事務所 副所長 専門副主幹の馬場弘ニ氏は、「現在、中央道上り線、小仏トンネルを先頭にする渋滞の対策として、9月に本体工事を発注しました。これでようやく渋滞対策事業が動き始めたという状況です」と現状を説明。

「将来的にトンネルを先頭にした渋滞を極力なくすようにと頑張っているところです。一刻も早く渋滞対策事業を完成させて、皆さまにスムーズに中央道を走っていただけるよう努力していきたい」と工事へ向けたコメントを述べた。