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銀座駅、56年ぶり大規模改良を写真で紹介。天井を見ると現在地が分かる仕組みも

2020年10月16日 公開

東京メトロは銀座駅を含む5駅をリニューアル

 東京メトロ(東京地下鉄)は10月15日の終電後、リニューアルした銀座駅を報道公開した。

 2017年に開業90周年を迎えた銀座線では、「伝統×先端の融合」を路線コンセプトとして全駅でのリニューアル工事を実施しており、各駅に特徴的なデザインを採り入れるとともに、ホームドアやバリアフリー設備の整備を行なっている。

 今回、工事を終えたのは銀座駅のほか日本橋駅、京橋駅、青山一丁目駅、外苑前駅の計5駅で、10月16日始発から運用を開始。なお、バックヤードなど一部施設の工事は2023年まで引き続き行なう予定になっている。

 銀座線の開業に伴って1934年に誕生した銀座駅は、1957年に丸ノ内線(開業当時は西銀座駅)、続いて1964年に日比谷線が開業し、3路線の乗り換え駅になった。2019年の乗降人員は25万7440人と同社管理駅で4番目でありながら、バリアフリー設備の追加など小規模な改良が行なわれたのみで、抜本的には手つかずの状態が続いていた。だが、今回の銀座線のリニューアル工事に伴い、日比谷線、丸ノ内線を含めてデザインコンセプトを統一。大規模な改良を行なっている。

 銀座線のリニューアル工事においては、エリアごとに浅草駅~神田駅を「下町」エリア、三越前駅~京橋駅を「商業」エリア、新橋駅~赤坂見附駅を「ビジネス」エリア、青山一丁目駅~渋谷駅を「トレンド」エリアと、デザインコンセプトを設定。

 銀座駅はそのものずばり「銀座」エリアとし、「憧れの町」「人と街をつなぐ光のゲートアベニュー」がコンセプト。それぞれの路線においては「移ろいゆく銀座」を表現するべく、ラインカラーに合わせた光環境を設定している。

 また、デザイン面では銀座に漂う「上品さ、優雅さ、高級感」を感じられるようなものとし、「綺麗で銀座らしい駅へ」「乗換を分かりやすく」「バリアフリー設備整備」「パブリックアート」をポイントに据え、改札まわりやホームを中心に手が加えられている。

改札

 銀座線の改札口まわりは、銀座のまちの玄関口として上品で暖かみのあるホテルエントランスのような雰囲気を目指した。切符売り場などのレイアウトを変更するとともに、天井まわりの空調ダクトや電気配線類を整理することで閉塞感の解消が図られている。

銀座線改札口。ラインカラーとなるレモンイエローの光柱で彩られる。天井まわりの改修により頭上高は2.1mから2.2~2.3m程度にアップしている。
改札内に設置されるオリエンテーションサイン。頭上の風景を描いたサインを設置することで今居る場所を少しでも分かりやすくという配慮
オリエンテーションサインは時間によって表情が変化。始発~7時および16時~19時、7時~16時、19時~終電の3パターンを用意している
銀座駅の光柱は銀座線57本、丸ノ内線49本、日比谷線27本の合計130本
よく見るとGINZAの頭文字「G」をかたどったデザインになっている
丸ノ内線。こちらはチェリーレッドのラインカラーで彩られる
日比谷線はシルバーホワイト
改札外コンコースには無料で利用可能なワークステーションを用意。各テーブルにはAC100Vコンセントを備えている

銀座線ホーム

 格式ある銀座にふさわしい上品で落ち着きのある空間に仕上げた。ホーム側壁には1920年から現在、そして2027年までのまちの移り変わりが描かれている。

ホームドアの設置とともに床と天井を淡いベージュで統一。洗練されたイメージを演出する
銀座方面のホーム側壁
浅草方面のホーム側壁

出入口

 2015年に開催した「銀座駅デザインコンペ」の最優秀賞のアイデアを具現化。周囲をガラスで覆うことで違和感なく街に溶け込みつつ、ラインカラーのライトアップにより存在感を主張している。

新意匠となったA3出入口。銀座線銀座駅には14か所の出入口があるが5か所がすでに更新済み。今後、ほかの出入口も工事予定だという

パブリックアート

 今回リニューアルを実施した5駅にはパブリックアートを設置しており、銀座駅には吉岡徳仁氏による「光の結晶」がお目見えした。636個のクリスタルガラスを使ったこの作品は、「地球に生きるものとして世界がひとつになる」という平和の願いが込められている。

銀座駅B6出口付近に設置された光の結晶
アーティストは光をテーマとした作品に定評がある吉岡徳仁氏
反射面の異なるクリスタルガラスを選別することで世界地図を描いているという